見出し画像

「貸し」と「借り」

時には~昔の~話を~しようか~(加藤登紀子「ときには昔の話を」映画「紅の豚」ED)

「紅の豚」に出演されていた森山周一郎さん亡くなられましたね。ずっとポルコが一番好きなジブリキャラです。ご冥福をお祈りいたします。

立派にダメな社会人としてスタート

さて本題です。私は以前全く別の会社で働いていました。フツーに就職活動して、フツーにいっぱい不採用通知貰って、なんとか某社に滑り込みました。就職氷河期だったんですよね。そして配属面談で「君は行きたくない部門はあるか?」と人事部長に聞かれて「何やってるか良く分からないので強いて挙げれば人事ですかね」と答えるくらいには空気の読めない子でした。

そんなKYを極めた子は人事に配属されました。(爆笑)

報復人事ではないです(のちに確認)。単に適性を見られたようで、実際自分でも合ってると思いました。そして本社ではなく事業所に着任するのですが、ここで本当にたくさんの方とお仕事をさせて貰い、貴重な経験をいっぱいしました。5年在籍しましたが、同期の中で誰よりも濃い5年を過ごした自信があります。そんな沢山の学びの一つが本タイトルです。

理屈屋さんと義理人情屋さんに板挟まれる

事業所には工場も研究所も開発部門もありました。人事ですのでセキュリティのワイルドカードを持たされ、色んな所に出入りして管理職の皆さんとお話をさせて戴くのですが、やはり技術系の方は合理的な進め方を好むし、製造現場の技能系の方は義理人情を重んじる傾向がありました。

人事の仕事は大体嫌われます。管理部門ですから、「アレやってください」「コレやったらダメです」みたいな話が多く、基本的に通常業務の邪魔ですからね。でも何らかの理由があってそういうお願いをしなければならないので話を通さねばなりません。しかし「メールで一斉送信ババババーッ」とかやろうものなら即座に電話がかかってきます。「なんだこれは」と。「聞いてない」と。「分かりにくい」と。

なので理屈屋さんには理屈屋さんに合うように、義理人情屋さんには義理人情屋さんにご理解頂けるように根回ししておくことが大切です。根回しって結構批判されること多いですけど、結果的に見ると一番早いんですよ。

しかしそんな中にあってここぞという一番に共通して効くのは「貸し借り」でした。

つまりは信用

私が幾度となく助けてもらった言葉。

「しゃーねーなー、こないだも世話になったしなぁ」

これです。これを聞かせて貰えると、ああちゃんと仕事が出来てたんだなぁと嬉しくなります。そして「よろしくお願いしゃーす」と深々とお辞儀をして帰るのです。

何か問題が起きて向こうが駆け込んできた時はチャンスです。「相談したい」と呼び出されたらすぐに行きます。要望を完全には叶えられなくても、出来る限りのことをしたのが分かれば、相手は恩に着てくれます。見返りは求めちゃいけません。映画「シン・ゴジラ」でも國村隼さんが言ってたでしょう?

「礼は要りません。仕事ですから。」

これですよ!!!…いけません自分に酔ってきました。話をもどします。これが「貸し」です。あとはこちらが困った時にはいつか先方がちゃんと返してくれます。見てくれている人はいるものです。「貸し」は相手が「借りが出来た」と思ってくれなければ成立しません。つまりは普段からの信用の積み上げということです。

最後に大事なこと

「貸し借り」とは言いますが「借り貸し」とは言いません。「give and take」とは言いますが「take and give」とは言いません。そうです、「いつも先ずは自分から」です。先に取り立ててはいけません。信用はいつも後払いです。そして必ず払ってもらえると思ってもいけません。貸倒損失が出るくらいでちょうどいいのです。

長くなりましたが、これは社会人なりたての頃に覚えた信条の一つで、今でも変わらず持っています。当時至らぬ私に色んなことを教えてくれた皆さんには今でも感謝しています。そして今私の部下にも同じように社外に対しても社内に対してもこの信条を持って欲しいなと思って時々話します。

大変な時期ですが、もう少ししたら新社会人もデビューですね。よく「信用される社会人に」なんて訓示も出ると思いますが、つまりはこういうことだと思うのですよ。説教臭くて申し訳ないんですが、でもこういう「お互い様」の考え方が思い出されれば、最近よく見る「分断」とかも少しは和らぐと思うんですよね。そういう意味で、仕事に限らず広く使える話だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?