見出し画像

そして展示会は無くなった

1月8日に東京都などに非常事態宣言が出され、様々なイベントが中止となっています。

食品展示会とは

私達食品業界には卸企業主催の展示会があります。家庭向け商品と業務店向け商品で分かれていて、家庭向けの方が品種も多く大規模になる事が多いです。毎年1月頃に春夏向け商品の展示会、7月頃に秋冬向けの商品の展示会が開催されます。主にメーカーが出展ブースを構え、小売のバイヤーさんや二次卸さんが来場します。

大手メーカーさんは造作付きの大きなブースを仕立てたりするので結構華やかで、お祭り感があります。メーカーの人間は終日立ちっぱなしだし、卸企業の営業さんは気を遣われていて大変なんですけど、バイヤーさんや各社の役員クラスなどはなかなかお目にかかれないので貴重な機会です。

昔はこの食品展示会のそこかしこで商談が行われたそうですが、今や各社新製品商談は個別に別途行うのが多くなっています。

メーカー同士も当然ブースを回っており、「資料くださーい」ってお互いよくやってます。他社が何作ってるかって気になるし、あとからホームページ検索したりするより、試食させてもらってその場で詳細資料貰う方がいいんですよね。

私も競合他社のみならず、食品売り場全体でどうなって行きそうか肌感覚を合わせる為に必ず行くようにしています。「あー、みんなリニューアルに力入ってるなー」とか「外食店コラボが流行ってるなぁ」とか全体を見るようにしています。

食品展示会も中止に

御多分に漏れず、そんな食品展示会も中止になりました。1000社を超える出展ブースがあり、1000人を超える来客があるイベントですから、仕方がありません。とはいえ、メーカーとしてはお客さんとの接触機会が失われるのは勿論、業界の動きを感じにくくなっているのも困りものです。

「大手がやること見て良いものが作れるのか?」と問われれば反論に困りますし、次の展示会の時には流れに変化が出ていることもしばしばで、後追いするのもリスクです。しかし、ファッショントレンドの様なもので、業界の注目点に沿って行っていると商談しやすいのも事実なのです。

オンライン展示会というものも行われたようですが、メーカー側はアピールが難しく、バイヤーさんもwebページの切り替えが手間だそうで、すんなり定着とも行かないような話を伝え聞いています。

商売というのはここが難しい所で、オンラインにしただけでは同様の効果が得られるわけでは無いんですよね…。

感染拡大を抑えるには接触を減らすことが第一なのは間違いないのですが、必要最低限の事務的なやりとりからはイノベーションも生まれませんし、悩ましい限りです。デジタライゼーションが進んだりするのは歓迎しつつも、こういうものは1日も早く正常化することを願うばかりです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?