見出し画像

アート(芸術)との付き合い方

芸術は好きですがわかりません。わかりませんが、自分には関係のない世界だと思わず、接するポイントは持ってたほうが良いですって話です。

芸術と触れる

先日久しぶりに美術館に行きました。新型コロナの流行で美術館も非常に苦労されたようですから、今でも事前チケット制にしていて大変そうですが、人が増えたのは良いことです。私も久しぶりに素晴らしいラインナップの絵画に触れる機会があって気持ちが良かったです。

美術館や博物館に行く趣味は無いし、舞台や演劇を見たことも無い、音楽ライブにも行ったことも無い、という人も結構いると思います。「芸術とは?」って聞かれるとこういったものがイメージされると思いますが、そんな「ザ・アート」なものに触れていないと「別に芸術なんて人生に要らなくない?」と思うかもしれませんが、実は大きくとらえると世の中はアートに溢れています。

例えば私達の業界である調味料の世界一つとってみても、スーパーの棚に並んでいる商品は全て、各社で散々デザインが議論された結果のものです。「棚に並べた時にどう見えるか」「消費者の印象はどうか」「伝えたい価値は一目でわかるか」そんなことをああでもないこうでもないと議論して出来上がったのがあれらの製品です。
道を歩いていても目に付く道路標示は、言葉も拙い幼児でも、高速で走り抜けるドライバーでも出来るだけ一目で直感的に分かるようにデザインされています。
元々デザインなんか意識されていない建物でさえ、古くなって朽ちていく様に芸術性を見出す好事家も居ます。もうこうなってくると自然の結果なので人間の恣意性なんか関係ないですね。笑

意識するしないに関わらず、世の中はアートに溢れていて、日々接しています。別に意識していなくても何ら不都合は無いのですが、でも意識しているといつもの道がちょっと楽しくなったりします。

アートは難解である

アートと相対する時に一番厄介なのは「よく分らない」ということです。例えば有名なピカソのこれまた有名な「ゲルニカ」という作品はこれです。

多くの人はこれを見て「なんか不気味だけど何が描いてあるのか分からない」という感想を持つと思います。実はこれはスペイン内戦に遭遇したピカソが反戦の意を込めて戦争の悲惨な情景を描いたものだとされていますが、そんなの解説聞かないとわかりません。笑 私も分かりませんでした。

でも個人的には別に分からなくていいと思っています。美術館に行けば名作には解説がついていますから、興味があれば読めばよいのです。美術史専攻の学生じゃないのだし、覚えておく必要はありません。大切なのは「なんか不気味だけど」って瞬間的に感じたことだと思うのです。

実はこの絵の実物は3.49 m x 7.77 mという超巨大作品です。この不気味感がそのサイズで目の前に迫ってくる迫力というか訴えかけるものは物凄いものがあります。このサイズの写真で不気味なのだから、現物は不気味なんてものではありません。子供なら逃げだしたくなっても不思議ではありません。

好きか嫌いか

でもそれでいいのだと思います。「恐怖を感じた」と思うことが大切で、調べれば反戦の作品であることがわかり、「そうだな戦争は恐ろしいものであり、よくないよな」と思います。それこそがピカソの願いだったんじゃないかなと思います。

調べることまでしなくても、アートに触れていれば「あ、これは好き」「あ、これは嫌いかな」という風に自分の中での感想が分かれていきます。「影の描き方が素晴らしい」とか「○○という作品との違いは…」とかそんなものは詳しく知りたい人が考えればよいのです。単に「好き・嫌い」がハッキリしてくればよいのです。私も有名な作品でも嫌いなものもあるし、有名じゃなくても「なんかいいなこれー」って思うことも多々あります。
例えば有名なレオナルドダヴィンチの作品でも、有名な「モナリザ」

よりも「白貂を抱く貴婦人」の方が好きです。

特に理由は無いです。そんなもんでいいと思っています。笑

大切なことはあまり構えずに、そして頻度良くアートを意識することだと思います。美術館に行ってもいいし、身近なもののデザインなどを改めて見てみてもいい。そうすると自分の好き嫌いの傾向が分かってきます。分かってくると次に大切なことが出来ます。

好きなものに囲まれて暮らすことが出来る

自分の好きなものが分かってくれば、好きな物ばかり選んで周囲を固めることが出来ます。それは別に高価な物じゃなくてもいいのです。「ランチョンマットは100均で見たこれが好き」「今年バーゲンで買ったスカートはこれがよかった」そういうことを重ねることはすなわち自分を大切にすることにつながります。男性の友人の中にたまに「どんな服を着たらいいか分からない」というファッションセンス的な悩みを持っている人が居ますが、彼らはセンスが無いのではなく、今まで好き嫌いで服を見てこなかっただけなのです。今からでもいくらでも好き嫌いは選べるので、本屋でファッション誌を立ち読みすることを勧めたりします。

昨今、理不尽ないじめだったりブラック職場だったりいろいろありますが、時には逃げたり場を変えたりすることも大切です。でもその決断をする時には「私はここに居るのは嫌」と思えることが必要で、その根っこは「私を大切にしよう」と価値を見出すことにあります。そのためには「これが好き」で自分を表現できることもとても意味があることだと思うのです。なんとなくあるものを使う、間に合わせで買う、のではなく、自分の中で好き嫌いをハッキリ持つことは良い事です。他人に否定されるものではないし、また同じように何か知らない物を好きな誰かを大切にすることもできます。

「あいつが嫌い」みたいな話になると世間ではモメがちですが、アートは誰もが嫌いで良く、誰もが好きでも良いものです。一番モメないし罪が無いんですよね。

子供たちにとっては美術館や博物館なんて実に退屈かもしれませんが、読者の中にもし親御さんがおられたら、是非たまにはそういった場所に連れて行ってあげて欲しいと思います。私も子供の頃は嫌いでしたが、時々連れて行ってくれていたことを今ではとても親に感謝しています。

最後に、今の様にインターネットが便利な時代だと、名作が日本にやってこなくても見れちゃうのですごいですね。ちょっとご紹介しておきます。いきなり美術館に行くのは緊張する!なんて方なんかには地ならしにいいかもしれません。とはいえ、やはり現物を目の前にするのがオーラを感じてよいので、どんな作品展でも良いので、できれば足を運んでみてください。

他にもたくさんあるようです。コロナで各地で充実したのもあるかもしれませんね。是非「〇〇美術館 オンライン」なんかで検索してみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?