外食に人が戻らない

世間的には新規陽性者数も死者数も落ち着いてて「あ~アフターコロナやわ~」って気がしますけど、外食業界はそれどころではございません。外食業界には居ませんが、多少なりともご縁のある業界に居るものとしてすこし触れます。

アフターコロナ

去年の今頃は確か高齢者のワクチンを用意している頃で「アフターコロナの社会はこうなる!」みたいな特集がそこかしこで見られたかと思いますが、その未来に今私達は立っています。まぁ実際ああいったヨタ予想とは大分違いますよね。

まず百貨店は漸く売り上げ回復が成ってきました。外国人観光客分が未だに無いままですので、継続できるかは分かりませんが、H2O(阪急阪神)さんと高島屋さんは19年の同月、つまりコロナ前を超えたそうです。

他方、自宅生活で盛り上がったNETFLIXは会員数を減らしているようです。

新型コロナの感染が拡大している頃に起きた変化と逆のことが起きているのがこういったことかと思います。

アフターコロナがこない分野

一方でアフターコロナっていつ来るんですか?という業界もあります。
例えばコンビニ。

戻してはいますが、実は2020年に5%くらいマイナスしているので、セブンイレブンさんだとザッと計算した感じ恐らく現在2019年比98%くらいです。その原因の一つがリモートワークだと言われており、元々ドル箱だった都市部の店舗の売上がふるいません。

もっと深刻なのが外食業界です。業界全体を見ると19年比で6割まで落ち込み、4月後半くらいから少しずつ戻ってきて今7割くらいです。戻ってきているとはいえ、これはまだまだ相当厳しいはずです。

協力金で儲かった説

「外食業界は新型コロナウイルス感染拡大防止協力金で潤ったのでは?」という話があります。実際当社の取引先でもそんな話も聞きましたが、もう今後は非常事態宣言もそうそう出てこないと思いますので、焼け太りなんてことは起こりませんし、それはそれとして、新型コロナウイルス感染症特別貸付を公庫から受けている場合は、返済開始猶予期間が1年ですので、そろそろ返済が順次スタートしているはずで、売上7掛けの中で返済していくのは大変なはずです。
大手飲食業は融資は受けていないでしょうが、協力金で決算は赤黒トントン近くまで持ち込めていた企業も多かったので、放っておけば大赤字になります。

居酒屋のワタミグループはコロナで既存店舗が立ち行かず、持ち帰り需要を見込んで唐揚げ専門店に挑んでいましたが、今年の頭から閉店が始まっており、既に半分以下の店舗数になっているそうです。厳しいですね。

外食で減っている要素とは?

外食はもともと26兆円くらいある産業だと言われていました。その内8兆円がコロナで吹き飛んだという試算もあります。それだけの需要が無くなった要素は「外国人観光客の消失」「内食へのシフト」「祭りや大規模イベントの消失」「テレワーク」だと言われています。
最後のテレワークは「家を出ないのでお昼ご飯を外食で済ませることが無くなった」ということです。ウーバーイーツの様な配達の利用はあるでしょうが、何分割高なので元の需要が置き換わることはありませんでした。

テレワークについては東京都の調査ではコロナが小康して居る今もってしても全体の2割くらいが継続しているのだそうです。その2割のお昼ご飯はもう外食に帰ってきません。先日はこんなニュースもありましたね。

また、外食については外食そのものの回数が減っているのもありますが、お客の2周目が無くなっているという話をそこかしこで聞きます。居酒屋だと以前は9時くらいに客が入れ替わるのですが、9時以降の客が消失しています。みんな二軒目に行かず、早く家に帰るようになってしまったようです。鉄道会社が終電を繰り上げたままにしていることも影響しているかもしれません。

歓楽街をみてて思うのは、元々人気があった店と間に合わせ需要を満たしていた店との格差が物凄いことになっており、「満席の店」と「一度も満席にならない店」が併存しています。特に安価で席数が自慢だった店については私は「大学生は飲まなくなり、テレワークの会社は職場懇親会が激減して根本的に世界が変わった」という仮説を持っていて、そう外れていないのではないかと思っています。

外食業界で底堅かったのはマクドナルドと回転寿司くらいで、強いと言われたcafeと焼肉も一部を除いて散々、そして強い前者も昨今の原料費運送費高騰で利益の確保は簡単では無くなってきました。

気に入っているお店には出かけよう

なんだか不景気な話をだらだらと並べてきましたが、私が言いたいことは「皆さんお気に入りの店があるなら、ちゃんと行ったほうが良いですよ」ということです。「コロナも終わってここまで持ちこたえたのなら大丈夫だろうと思っていたら、なじみの店が突然閉店した」なんてことはこれからも沢山起きると思います。

もちろん私達もコスト削減や売り上げの多角化(持ち帰りや外販など)に協力していきたいですし、実際山の様に案件を頂いています。外食できなくなったら寂しいですからね。がんばります。

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