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ナスをどう楽しんでもらうか?

なんだかラジオ絡みの投稿タイミングがホントにすぐ来る気がする…。おかしい…5週に1回のはずなんだが…。

さてKiss FM KOBEさんで放送して頂いている「丸天開発室」のコーナーですが、今回のお題は「ナス」でした。兵庫県は県外の方からは神戸市の港町のイメージが強そうですが、実は神戸市の郊外や阪神間の北隣では結構農業が盛んです。しかも阪神間という一大消費地が近いので鮮度も良く、もっと広がって欲しいものです。今回のナスもあのあたりが産地だそうです。

ナスの有利不利

ナスの不利は何と言っても「そのものに全く味が無い」ということでしょう。苦くも無いけれど甘くも無い、生食にはあまり向かず、香りも無い。厳しいことを言えばあのボリューム感とトロトロになる独特の食感が無ければホントに居るのかいないのか分からなくなる野菜です。(カリウムなど栄養的に良い点はあります)
有利な点は油との相性がよく、油をしっかり使って火を通すと甘味が増した様に感じることです。

本企画に置いての今回のナスの最大の問題点

このラジオの企画で私が自らに課していることがあって、それは「既にあるプレミックス調味料で作れるものはやらない」という縛りです。各社しのぎを削って製品開発していますからどれも美味しいですし、大量生産しているのでそちらの方が安いですしね。
そして、ナスはなんといっても人気野菜なので既製品は本当にたくさんあります。

万事こんな有様です。この他煮びたしみたいなものは濃縮つゆを使えばいいので和風料理一般も全滅です。

さぁ困りました。

マンマの教え

私のマンマ(母親)は家でシッカリ料理をする人です。家族のことを思って色々作ってくれる人です。その影響を色濃く受けたのが私で、昔から物を作る事が好きだったので自然と料理を手伝うようになり、大学時代の下宿生活ではずいぶんと色んなものを教えてもらいました(FAXでレシピ送って貰ったりしていた笑)。
そんな彼女の料理の中で私が強烈に印象に残っていたレシピの一つが梅干しを入れた「ナスの煮びたし」でした。種を抜いた梅干しを入れて煮ることでさっぱりとした味になり、冷蔵庫で冷やすと夏は大層美味しいのですこれが。

このレシピを今回伝えたいなと思ったのですが、このナスの難点は「食卓でメインを張れないこと」です。母親は何品も作る人でしたが、今や共働き世帯が6割とも言われている中で、このコーナーでは食卓のメイン、あるいは準メインを張れるプランを出来るだけ示したいと思ってやっています。ですからもう少し工夫した方がよさそうです。また、梅干しを入れるだけなので市販の濃縮つゆで作れてしまい、その点でもNGです。

私はナスの揚げびたしも好きなので、夏っぽく薬味を効かせるレシピにすれば、おそらくご飯の相手になるだろうと考えました。揚げるのは大変なので揚げ焼き(あるいは炒める)程度の油にすればナスが吸うし、油過多にもならず健康にも良いだろうと考えました。開発部にはその様に指示しました。
その結果、担当者が揚げ焼きにした後そのまま煮るという手法を取ってくれたので、通常の揚げびたしの様に「漬け込んで寝かせる」という時間が必要無くなり、時短レシピになりました。試食の結果ごはんにもよく合う味付けで仕上がったので、これでこちらは仕上がりです。

三國シェフの魔術

もう一つは以前自分で作ってみて度肝を抜かれたレシピを紹介したいと思いました。それはオテルドミクニの三國シェフのこちらのレシピです。

ナスと言えばなんとなく和風か中華のイメージがみなさん強いと思うのですが、フレンチにするとナスはこうも全く違う存在に変身するのかと軽い感動を覚えました。イタリアンによくあるようなトマトも伴わず(例えばナスとトマトのパスタみたいな)、乳製品(生クリーム)との相性がいいとは想像もしませんでした。

特にこのレシピは「焼きナスの香ばしさ」が「燻製風」という変身をするのが一番驚異的で、焼きナスの恰好をしているといかにもな焦げ臭なんですが、姿がフレンチになると都合よく「燻製料理かな?」って認識してしまう人間の感覚のいいかげんさを示す点もとても面白かったのです。

この料理はパンと合わせるだけなので食卓のメインを張れるものではありませんが、魚のポワレだとかムニエルだとかハンバーグだとか、洋風のメインディッシュを作った時に、ご飯でなくパンを主食に据えた時の食べ方としてとても良いと思うのです。野菜も増やせますし。

調味料としてキー材料になっているアンチョビは家庭ではあまり使われないので、調味料に入れれば専用調味料となる点と、玉ねぎと一緒に炒める工程を調味料に入れ込むことで端折れるので、良い調味料になりました。

今回の対立軸

そんなこんなでナスの2案が完成しました。毎回対立軸を明確に設定することにしているのですが、今回は「想像しやすいスタンダードな和風VS意外な洋風」ということにしました。
皆さん味も想像しやすいスタンダードなものを好む傾向にあると思うので、若干カナッペが不利かなとも思うのですが、視聴者さんは料理好きの方も多い様なので、「いつものと違うものも食べてみたい!」という意見にも期待したいと思います。

さて結果や如何に?

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