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食品の原料表示見てますか?

今回は食品の原料表示をテーマにすこしお話をします。

みなさん原料表示、というか商品パッケージやボトルラベルの裏側って見ていますか?最近は使用原料に気を使われる方もとても増えてきているので、意識してご覧になっている方も多いかと思います。

表示しなければならないことは決まっている

食品の表示については「食品表示法」という法律で定められています。これにより、「お酒の表示はこうしなさい」「生鮮食品はこうしなさい」「加工食品はこうしなさい」といった感じで事細かに定められています。現在所管は消費者庁です。

前回しょうゆのエントリでも少し触れたJAS(農林規格)を定める「JAS法」と、食品の衛生管理を定めた「食品衛生法」、国民の健康を促進するための「健康増進法」(トクホなんかが含まれていた)の3つにバラバラに含まれていた食品の表示についての規定を一つにまとめ、分かりやすくしたのが「食品表示法」です。

色々と規定がたくさんあるのですが、特に直接商品を手に取ることになる皆さんが良く見るであろう部分が、「原料表示」や「栄養成分表示」や「賞味期限」ではないでしょうか。

原料表示規定

表示は生鮮や米穀などジャンルによって本当に違いますので、私達「加工食品」の場合のお話をします。まず、基本原則は「重量順」です。たくさん使っている順、ということです。体積的にたくさん鰹節を使っていたとしても、砂糖の使用量の方が重たい場合は砂糖を先に書きます。

既に混ぜてあるような複合原料を使っているときは、その中身の重量順で()でくくって書かねばなりません。その場合もいくらたくさんあっても簡単に「その他」と書いてはいけません。その他で許される場合はちゃんと決まりがあります。

また、皆さんの関心が高いであろう「添加物」ですが、簡単に言いますと添加物は添加物とハッキリ欄を設けるか、改行するか、/(スラッシュ)の後ろに書くことで添加物とはっきり分かるようにすることが定められています。トップ画像は当社の「かつおしょうゆ」の原料表示ですが、昆布とアルコールの間に/が入っていますよね?アルコール以下が添加物という事です。

当社では腐敗を防止するため、ごく微量にアルコールを使用している製品があります。もちろん食後の運転には影響しない量ですし、大人と同じものを食べる年齢くらいになったお子さんが使っても何ら問題はありません。もっと小さいお子さんの場合も問題はありませんが、どうしても気になるようなら煮物の様に加熱して頂ければ揮発します。

添加物はみなさんの関心の高さと比例するようにして本当に厳しく規定されていますし、食品に使用してよい添加物はすべて定められています。特に防腐剤についてはいろいろとご批判も多いですが、カビが発生すると「発がん性物質」が生成されます。防腐系の添加物を使わないにこしたことはありませんが、添加物は人体に影響がない範囲で科学的に使用が認められ、使用してよい量も規定されているのに対し、カビは健康に有害ですので、やむを得ず使っている所がある点は是非ご理解いただきたいなと思います。

栄養成分表示

カロリーが気になる今の時代、みなさんもしかすると最初に見るのはこれかもしれません。栄養成分表示についてはまず「熱量(カロリー表示のアレ)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量」の5つを必ず書くことが定められています。カロリー表示をするのに炭水化物も表示するの?と思われましたか?熱量は脂質やたんぱく質由来のものもありますので、別計算なんです。この表示数値の計算式も色々と規定されています。

賞味期限

「賞味期限」と「消費期限」が違うの知ってました?実は製造後急速に劣化、つまり傷みやすいものは「消費期限」、なだらかに品質変化するものは「賞味期限」と表記することになっています。

ではその期限はどのように設定されているのかというと、作り手であるメーカーが決めます。これまでの知見や、実際に保存性テストをするなどして各社で設定しています。基準は、やや曖昧ですが「消費者が美味しく食べられる範囲」ですので、必ずしも腐敗するか否かがデッドラインではなく、そのもっと手前、風味がおかしいと感じられたり、本来の味ではないと感じられる変化が出るラインで設定されることが多いのではないかと思います。

実は全部で9種類書かねばならない

3つだけ触れましたが、実は食品表示法で定められている「書かねばならない項目」は「商品名称(品名ではなく一般名称)、保存方法、賞味期限(消費期限)、原料名、添加物、内容量、栄養成分、事業者名(製造者や販売者、輸入者など)、製造者名(製造場所)」の9項目を書かねばなりません。

他にもまだあります。アレルゲンを含む食品はそれも書く必要がある場合があります。特に「えび、かに、そば、牛乳、たまご、落花生、小麦」の7つは重篤なショック症状が起きる場合があるので必ず書かねばなりません。この他書いた方が良いと推奨されているアレルゲンは21品目あります。

ここまで来たらご想像も出来るかと思いますが、ハッキリ言ってラベルの紙面が足りないです。笑

しかし、消費者の皆さんに分かりやすくなるように規定されているのだから、当然小さい文字では許されません。基本は8ポイント以上の字の大きさで書くこと、ということが定められています。もー書くのも大変。

どんどん改正される表示法

消費者の要望を汲む形で消費者庁が時代に合わせてどんどん改正するので、ここ最近は2~3年ですぐに基準が改正されます。その度に私達製造者はラベルを更新して法律を遵守するように努めています。当社も決して大きい企業ではありませんが、専属の担当者をつけています。

今回は食品表示法のごく一部だけ触れました。興味がある方は消費者庁の食品表示ガイドをご覧ください。何かと批判が出ることもある食品表示ですが、消費者のみなさんを守るために本当に細かく規定されていますので、スーパーやコンビニの店頭で商品を手に取った時、法律を定める消費者庁や対応するメーカーの努力にもちょっと思いを致して頂くと、私たちもとてもありがたく思います。笑

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