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何事も適温がある

例え話ではないです。そのままの話です。笑

以前ラジオで「おススメの調理器具はありますか?」という質問を頂いた返答として「温度設定付き電気ケトル」をご紹介しました。Amazonで試しに検索してみたら、今ではだいぶ品種も増えてきましたね。手ごろな価格のものも出て来ててよかったです。以前は結構高かったんですよ。

これを何に使うのかと言えば、飲み物によって温度を変えて使いましょうという話です。乳児がいるご家庭なら粉ミルクを解くのに少しでも温度が低い方が冷ましやすいとか、お菓子作りで50℃くらいの湯煎でチョコを溶かしたいとかいろんなニーズがあると思いますので、そういう使い方も勿論あります。

各飲み物の適温とは?

そもそも適温とは何なのか、私が言っているのは「一番美味しく作れる温度帯がある」ということです。興味がある方は騙されたと思ってやってみてください。いつもの飲み物が「ん?」ってなるくらい美味しく変化します。
それでは早速ご紹介していきます。

①ドリップコーヒー

ドリップコーヒーを楽しむ、つまり挽いた豆を使っている方が使うお湯の温度は高めなら90℃くらい、低めなら80℃くらいがおススメです。(あんまり細かくなっても楽しくないので多少上下は可)
90℃だと豆の苦味や酸味といったコーヒーらしい特徴が立つ仕上がりに、80℃だとそれがマイルドに出てきます。苦味の強い深煎りの豆なら温度は低め、元々マイルドな浅煎りなら高めの方が良いかもしれません。私はいつも浅煎りを90℃くらいで淹れています。
なお、ドリップの場合はお湯は最後まで落としてはいけません。雑味を持って行ってしまうので、ペーパーフィルターの中に少しお湯が残ったままで外してください。

また、コーヒーはホントに面白い食材で、お湯の温度のほか、ちょろちょろゆっくりお湯をかける時と、ドバッとお湯をかけるのとでも全然味が変わりますし、ドリップでは無くフレンチプレスなんかを使っても全然濃厚さが変わりますので、お好きな方は是非色々試してみてください。

②煎茶

お茶は香りや苦味、そして旨味や甘味と色々抽出しないといけない素材です。コーヒーは割とコーヒーらしさ(苦味や酸味)の強さに好みが分かれますが、日本茶は割と美味しいものは皆さん一致するような気がします。煎茶なら温度は80℃くらいが良いように思います。
コーヒーよりややこしいのは抽出時間です。コーヒーのドリップなら落とせばおわりですが、お茶は湯に泳がせます。
煎茶なら大体一分くらいが目安で、高級なものほど温度は低め、時間は短めになります。また、2杯目以降も美味しく飲みたいなら、一回目のお湯は急須に残らない様に出し切って下さい。残るとそこに濃すぎて苦ーい美味しくないお茶が出来上がってしまいます。

③玉露

高級なお茶代表です。玉露は繊細です。なので玉露のお湯は60℃くらいには下げたいところです。抽出時間は2分、つまり煎茶より優しいお湯でゆっくり出す感じです。
某茶舗さんで教えてもらったのですが、お湯は湯呑を移すたびに10度くらい下がるそうです。つまり熱湯を最初の器に注げば90℃過ぎに、そのまま次の器に移せば80℃くらいになるということです。沸騰したお湯からスタートして4回やれば計らなくても大体60℃になるというわけです。こうすると器も温められていいいですねという話です。

④ほうじ茶

私ほうじ茶好きでよく飲むんですが、みんなの味方ほうじ茶は少々雑に扱っても美味しく出てくれます。熱湯でOK!ただし30秒くらいですぐ出してしまいましょう。抽出時間の経過とともにどんどん味が変わって行くので、少しずつ全部の器に注ぐ「回し注ぎ」が一番適しているのは実はほうじ茶です。

⑤紅茶

紅茶は100℃でじっくり抽出です。茶葉でもティーバッグでも同じです。ティーバッグだとカップに直接作ると思いますが、出来れば蓋をして3分くらいじっくり待つのが良い様です。
なお、紅茶は鉄分が入ると台無しになるので、硬水のミネラルウォーターは使わないようにした方が美味しいです。日本の水は基本的に軟水なので、水道の水なら大丈夫です。

⑥ウーロン茶

ウーロン茶は半発酵、紅茶は全発酵と言われます。私達醤油の世界の様に微生物を使っているわけでは無く、茶葉の中にある酵素をつかって美味しさを引き出しており、その進み具合で紅茶とウーロン茶が分かれるということです。その発酵した旨味を引き出すにはやはり100℃の熱湯でじっくり3分程は蒸らすのが良い様です。

ちなみに日本茶の場合は「煎茶」と名がつくように加熱してその酵素が働かない様にすぐに止めています。これを「酵素の失活」といいますが、知らなくてもお茶は美味しいので、流してください。笑

中国茶は一度熱湯を注いで、すこし茶葉が開いたら一煎目は捨てるというのが常道であるとされていますが、これはホコリ落としの意味もあり、今では衛生管理も向上したので要らない説もあります。
いずれにせよ中国茶はこれまた日本茶以上にかなりたくさん種類があり、適温は茶葉によって異なるようなので、興味があったら是非中華街のお茶屋さんに出かけてみてください。淹れ方も店員さんが教えてくれます。
価格帯の違うお茶の香りがどう違うのか聞かせてくれたり、「は?」ってなるくらい高いもの(100g1万円以上とか)もあったりして楽しいですよ。買えないけどw

⑦水だし

水出しコーヒー、水出し緑茶、よく聞きますよね。コーヒーでも触れましたが、温度が高い方が苦味などがガッツリ出てくる傾向にあります。従って水出し系は「苦くありません」。こう聞くと美味しそうですが、水出しで作ったお茶を温めても味がスカスカで美味しくありません。苦味って実は嫌なものとは限らないのです。ここが料理や食の世界の面白いところです。
夏の暑さでウンザリしているところに、サッパリした水出し緑茶を良く冷やして飲むので美味しく感じるんですね。食事の時の気温や湿度って大事ですね。

飲む時の適温

最後に飲む時の適温ですが、大体人間60℃くらいの食べ物が「あつあつだ~」と美味しく感じるポイントなので、飲むときにはそれくらいがよいです。ですから、玉露はそのままでいいですが、ほうじ茶などはちょっと冷まして飲んだ方が味わいが良く分かります。コーヒーメーカーには加熱機能がついていることが多いですが、そのまま加熱し続けると味を損ねますので注意が必要です。(朝事務所などで大量に淹れたコーヒーがあまり美味しくないのはこれなんですよね)


ざっくりまとめるとこんな感じになります。
ちょっと手間ですが、温度をちゃんと管理すると、程よい苦味のコントロールと旨味の抽出が上手くいって、いつもの飲み物がびっくりするくらいランクアップするので、是非一度試してみて頂きたいと思います。

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