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レタスをどう楽しんでもらうか?

投稿数が最近少ないので、先日タケノコの話をしたと思ったらもう次のレタスの食べ方をどう考えたかのお披露目タイミングになってしまいました…。

Kiss FM KOBEの朝の番組「シャカリキ」で放送中の「こちらひょうご食材 丸天開発室」で、兵庫県農林水産部さんから指定を頂いた次の食材は「レタス」でした。

私も知らなかったのですが、兵庫県では淡路島でかなりたくさん作られているそうで、そんな背景もあっての指定だったようです。

レタスの問題点

前回に引き続き、ここからレシピ考案をスタートさせました。みなさんにはもっとレタスを楽しんで食べて貰いたいですしね。

レタスの特徴はなんといっても「生で食べることが多い」ことです。サラダに入れるには定番の野菜ですね。火を入れる料理もありますが、やはり視聴者さんから頂いた多く生食メニューで、数少ない加熱メニューは「レタス炒飯」が筆頭で、あまりイメージが湧かないか、「生で食べられるものを加熱するのはわざわざ面倒」と思っているか、いずれにせよ世間一般の印象は生野菜ということで間違いなさそうです。

最大の問題点はサラダに代表されるように、レタスとは「レタスも入れとこ」という素材であって「レタス食べよう」となるメニューは少ないということだと感じました。

さあどうやってコヤツを主役に据えるか…。

生か加熱か、それが問題だ

今回もレシピは2案考えなければいけなかったわけですが、大体いつも何らかの対立軸というか、比較対象しやすい構成にすることにしています。レタスと言えば先述の様に圧倒的に生食レシピが多い中、「生」VS「加熱調理」という形にするか「生食の対照的な味付け(例えば和風VS中華風)」という形にするかに非常に悩みました。
実は今回真っ先に思いついたのは「レタス包み」でした。あの町中華風の味噌ベースの味付けが家庭でイッパツで作れるなら楽になるのではないかなと思ったのです。また、レタス包みは私の母親がよく作ってくれた記憶があることも少なからず影響しています。
しかし、レタス包みと言えば春雨の素揚げがついてくるのが定番です。サクサクとした食感を活かすのが目的ですが、揚げ物は家庭料理では手間がかかり、めっぽう嫌われますので、無くてもまぁいいだろうとこの時点では考えました。

どんな姿になるか例として大好きな神戸元町別館牡丹園さんのホームページをご紹介。

ちなみにレタスの生食の定番はサラダですが、ドレッシングの製造は当社にはかなり手間がかかり、技術的な難しさもあります。今開発部がかなり忙しいことも有り、そこにチャレンジするつもりはありませんでした。
では生食なら他になにを候補に据えるか?この時点で思いついていたのが「生春巻き」でした。自分で作ったことも有るのですが、今やライスペーパーは割と手に入りやすいですし、巻き方もそんなに難しくありません。そして、具はなんでも合いますから、手ごろな予算で家族で手巻き寿司のように楽しんでもらえれば面白いかもしれない、というアイデアに行きつきました。
肝心の「つけたれ」はスイートチリソースはライスペーパーと同様に売ってますから、今回の企画で作ってもつまらない。そこで、すこしエスニックな風味のピーナツソースにしようと決めました。

さて、加熱する食べ方のレシピが問題で、ここから探し回ることになります。コウケンテツさんが美味しそうなものを紹介されていましたが、とても味付けがシンプルで、「合わせ調味料」をわざわざ作る必要が無い素晴らしいレシピだったので参考にはできませんでした。
その他のレシピも当たりましたが、炒めたりするとレタスは途端に色が悪くなり、食欲をそそる感じにならないので、レタスを加熱することの難しさを改めて痛感することになります。

加熱レシピが難しいならいっそ「生VS生」にするか?今回はゴールデンウィークを挟んでいて開発期間が短く、結論を出すのが遅いと開発部のメンバーに負担をかけるので、だんだんとタイムリミットが近づいてきました。

熱をかけて変色するなら熱を極力かけなければよい

うんうん唸っていた時に当たったのがこのツイートでした。

そうです。「しゃぶしゃぶ」という手がありました!
しかしこちらのレシピnoteは有料だったので、料理名で中国語サイトを探してみました。もちろん読めません。しかし「外国語できなくても技術者同士だと専門用語でなんとなく伝わったりするんだよね」なんてよく言う様に、料理やってると「大体わかる」ので、そういうのはやっぱりあるんだと思いました。笑
私が大学時代第二外国語で中国語を選択していたことは内緒です。所詮再履修を食らう程度の学力です。(食らうなよ

さて、こちらも割と基本的な醤油ダレだったので、もうちょっと手を加えないとコーナーから生まれたオリジナル調味料とは呼べそうにありません。何より、レタス単品だとちょっと栄養バランスも悪いです。レタス包み、生春巻き同様、食卓のメインを張れる料理にしてやりたい。これはもう創作気味に組み立ててみるしかないという結論になりました。

これからの季節にも耐えられる味

そこで少し肉を加えることにしました。レタスはさっぱりとした野菜なので、少しこってりさせた方が美味しいだろうということで豚肉を選択。問題は味付けです。兵庫県のレタスの旬は5月頃までということでしたが、ここからの季節は梅雨~夏と過ごしにくくなる一方です。肉を加えて食べ応えを出しつつも、サッパリと食べられる味付けが良い。ならば醬油ベースか塩ベース。味噌ではしんどい。
もう一工夫欲しい。参考レシピのベースは中華系、中華系で使えるもので「旨味があり、差別化が出来て、なおサッパリするもの」…

「酢を足そう」

これはなかなかに名案だと自画自賛しています。酢は強いのでこの時点で旨味が少なめの塩ベースの路線は消え、醤油ベースになりました。ただ、作ったことは無かったので、開発部への指示が「五目かた焼きそばに酢をかける程度の味のバランス」という猛烈にボンヤリしたものになるという悲劇を生みました。すまねえ開発部のみんな。笑

しかし、まだ問題がありました。「酢豚」という誰もが知る料理は火を加えた中に酢を足しています。あれはかなりこってりしていて、湿度や気温が上がってくるとちょっとしんどい味付けです。もうワンアイテム欲しい。そこで「山椒(もしくは花椒)」を選択しました。レタスは青臭いと言えど、甘くもなくクセのないサッパリした野菜ですから、山椒の香りとは相性がいいはずです。これでしゃぶしゃぶレタスの肉あんかけがほぼ完成しました。製品への落とし込みは開発部に丸投げです。すまねえ開発部のみんな。(反省の色なし

では生のレシピはどうするのか

加熱レシピは私が一人で自画自賛自己満足するものが完成しました。となると生のレシピが今度は問題になります。席は一つしかありません。
レタス包みか、生春巻きか。

結論から言うとレタス包みを捨てました。コーナーに頂いていたメッセージにレタス包みが入っていたので家庭でも作られていそうということが分かったこと、もう一つは生春巻きで手巻き寿司風パーティという演出がとても食卓を楽しそうなものにしてくれそうだったからです。

今を遡ること2年半前、このコーナーを始めたのがコロナ真っ最中だったこともあり、「ごはんを楽しく」というのは隠れコンセプトとして私の中で確たるものがあります。そして昨今のインフレの中、手巻き寿司に比べるとずっと手ごろに作れます。家庭料理はお金をかけて素材を良いものにしたり増やしたりすれば確実に美味しくなります。でもそれだけではしんどいのが日々の生活です。「楽しく、簡単に、そしてお手頃で」高いハードルですが、大事にしたい価値観です。


ということで「レタスの肉あんかけの素」「レタスの生春巻きのたれ」二つの候補が完成しました。開発部も無事組み立ててくれて、今回は当日殆どいじることなくプレゼンテーションが出来ました。創作料理としたものの、世界には星の数ほどレシピがありますから、同じものが既に存在するかも知れません。もしあったら、その点はご了承ください。笑

さてここから二週間、キスナーの投票結果やいかに。

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