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皆に好かれようとはしないマーケティング

今回はここ数年感じていた変化から、最近読んだ記事までさらって、当社の公告はこういう風にしていくしかないなーという話をします。

中吊り広告を見かけなくなってきている

最近電車の中吊り広告とかラッピングバスとか見かけなくなったと思いませんか?コロナまっさかりの頃から消えたなーと思っていたのですが、人々の行動が戻ってきた最近になっても相変わらずJRの中吊りはJR関係会社の旅行とかイベント、あとは出版社の本の広告ばかりです(電車で本を読む人はア時々いるので一番親和性が高いのか?)。阪急電車なら宝塚歌劇団のものが目立つけど、これは前からかもしれない。笑

コロナの最中に減ったのは在宅勤務が増えたからですが、その後も戻らないのは、みんなスマホを見ていて顔すら上げない中では中吊り広告なんか見ることも無いという判断をスポンサーがしたのだろうと思います。

ということで検索してみると、経済産業省が「特定サービス産業動態統計調査」というものを行って、結果を公表していたので、その中に含まれる広告産業の推移について拾ってきました。

抜粋して雑に作成したグラフがこちらです。

特定サービス産業動態調査から抜粋(単位:100万円)

ご覧の通りです。ちなみに広告産業の取扱総額は5.9兆円→5.3兆円→5.7兆円とV字回復の形になっています。間にあったオリンピックをどう考えるかはちょっと難しいですが、業界全体の伸び縮みは横ばいと考えたとしても、いずれにせよみんなインターネット広告に流れて行っているのが見てとれます。電通の売り上げもネット向けが半分超えたそうですしね。
TVは戻っている様に見えますが、直近では原料高により経費削減が進められて広告が取れず、減益の企業が出ています。(日テレ・フジ・TBS)

冒頭で触れた電車の中吊り広告はグラフの「交通広告」に含まれます。減ってますねぇ。

広告とはマーケティング

広告を何故企業が出稿するかといえば、認知を広めたりブランドイメージを作ったりと、大きくはマーケティングの道具として使うことが多いかと思います。私は昔からTVCMが好きで「よく考えるわこんなの…」と感心しながら見てました。特に2000年前後くらいまではCM作成に沢山の資金が投入されており、サントリーのDAKARAの小便小僧とか写ルンですのデーモン小暮閣下とか名作が沢山生まれました。

ところが昨今はTVを見る人が減ったり録画再生でCM飛ばしをすることが当たり前になったせいかTVからはCMが減り、SNSや動画サイトへの出稿が増えているのが先ほどのグラフに繋がっています。

そしてSNSでの「バズり」(一気に拡散すること)に注目が集まったせいなのか、広告効果が出にくくなってきたせいなのか、何とも微妙な手法が昨今増えてきました。
例えば「ステルスマーケティング」、これはいわゆるSNSでフォロワーが多い人に協力料を払い、「まるで自分が見つけてハマッているかのように」SNSに投稿してもらうというやり方です。最初は食べログなどで問題になり、今年はTikTokが謝罪するケースがありました。最近ではステルスマーケティングで炎上すると逆効果もいいところなので、「PR」とか「広告」とつくようになりました。当社にも「SNSの有名人に宣伝させることができますよ!」という営業はよくあります。
他にはスシローの「おとり広告」があります。特定の食材でキャンペーンをはり、TVCMするところまではいいのですが、それが売り切れても宣伝広告を止めず、お客さんを呼び寄せるのに使うというものです。これについては公正取引委員会から怒られて謝罪するに至っています。

こういった流れを踏まえて、日経クロストレンドというサイトでこんな特集がありました。

色々なマーケターの方々が、昨今の有様に危機感を抱いていることが伝わってきます。こちらの記事は有料で読めないと思いますのでザックリと趣旨を表現すると「マーケティングは集団に向けた効率的なものではなく、一人一人に向けたものであり、共感したり参加したりして、共にあるものでなければならない」とのこと。

つまりバブルのころから尾を引いていた、たくさんの人を一気に洗脳するかのような価値の押し付け的広告はもう機能せず、一人一人に「ああそうだよなぁ」とか「そうそうこういう時あるよね」と感じさせるような、好かれる人に好かれるという小さく丁寧なアプローチじゃないとマーケティングとしての機能を果たさないということのようです。上記のような問題のあるマーケティングはその変化に対応できなくて出てきたものという捉え方の様です。

「私はこれが好き」の時代

推し活などが最たるものですが、「私はこれが好き」が求められる時代です。その中で「ウチにこんなイメージ持ってくださいよ!」というマーケティングアプローチから「こういうの好きじゃないですか?」というアプローチに変わってきたことは以前から感じていました。「いかにも宣伝っぽいもの」は割と嫌われます。(とはいってもTV通販みたいな手法はいまだに効果としても健在ではあるんですが)

当社ではFacebookアカウントも若手社員に「会社や仕事について、自分はこれが好きとかここが苦労したとか思い思いに書いて」と運用を任せてあります。もちろん文章の校正や情報の確認をすることはありますが、テーマや内容そのものはほぼ手直しを誰もしません。大切なのは彼ら彼女らからみたイメージです。
ラジオでも同じです。聞いてくれている人たちの食卓を楽しくしたいなと思ってやってますから、会社の宣伝なんか二の次というか五の次くらいになっていて、局の皆さんとは「とにかく楽しく」ということを最優先でやっています。その結果、最近では色々と興味を持っていただける方が増えた気がします。

元々宣伝広告、マーケティング活動というのは費用対効果が測りにくいものです。「このくらいのGRP(TVCMの回数と視聴率を掛け算した指標)なので」などとビジネスで使われていますが、今でも昔でもそれが結果いくらの売上に直接つながったのかは検証不能です。今ではさらにインターネットが不確定要素として乗っかるので尚のこと分かりません。

それでもやはり、会社のことや取り組んでいることを知ってもらうには、広告をしたり、広報から記事を作って貰ったりするしかないのです。とはいえ、かけられる費用に限界はあるので、出来る範囲でやっていることを伝えて、万人に好かれるのではなく、好きになってくれる人を探す、それが今の正解であるような気がします。

最後にこれまで見た中で一番好きな企業コミュニケーションをご紹介します。ロッテが70周年で作ったBUMP OF CHICKENとのコラボムービー。おなじみのロッテの製品が様々にキャラ付けされて登場します。どのキャラクターがどの製品か、一瞬しか出ない物も含めて皆さんわかりますか?(ちなみにコアラのマーチのコアラとクールミントのペンギンはそのままですw)

キャラも可愛いし、声も無いんだけどストーリーも可愛い。製品が愛されているからこそ出来たムービーだと思うし、とても良くないですか?こんなプロモーションいつかやってみたいですねぇ。(お金ないw)


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