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出来るBCP出来ないBCP

トンガ王国での海底火山爆発ならびにその津波で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

さて今回噴火が起きたのが15日、そしてその2日後は阪神淡路大震災の日でした。あの日からもう27年も経つんですね。そして3月11日は東日本大震災の日になります。

子供心に強烈だった阪神淡路大震災

阪神淡路大震災が起きた1995年、私は中学生にして初めて地震らしい地震を体験しました。私が居た姫路市は確か震度4くらいだったと思いますが、木造家屋の二階に居て、とても怖かった記憶があります。
TVをつければパニックだったし、私立の学校に居たので神戸方面の友人はJRが不通になって通学できなくなりましたし、幼少の頃は神戸方面に居たので幼馴染は被災していたし、父の友人は自宅が半壊して暫く私の家から会社に通っていました。

そんな体験でしたので、大きな災害がいかに普段の生活を一変させてしまうかということは骨身にしみています。

何もできなかった東日本大震災

私は前職では栃木県で仕事をしていました。元の上司などが何度もこのnoteにも登場していますが、本当にいろんな方に育てて頂き、2004年~2009年まで大変でしたがとても充実した5年間を過ごさせて頂きました。

その退職から2年後にまさか震災が起きるとは思いもよりませんでした。元の職場の皆さんは幸い無事でしたが、私が目を瞑っても歩けるくらい各職場に通い詰めた工場は、停電と漏電漏水で2カ月くらい出勤停止だったようです。仮に居たとしても出来たことは限られたと思いますが、その復旧になにもお手伝いできなかったのは今でも悔やまれます。


事業継続計画

前振りが長くなりましたが、皆様BCPってご存じですか?
Business Continuity Planの頭文字をとった略称です。内容は「事業継続計画」と訳され、つまるところ大災害が起きたとか、テロに巻き込まれたとか、システム障害が起きたとか、そういった時にどうやって事業を継続させるのか事前に考えておきましょうねということです。

元々はアメリカで同時多発テロ事件が起きた際、BCPを整理できていた企業は通常業務復帰が早かったことが評価され、広まっていったようです。

大企業のものかと思われがちですが、中小企業でも推進されています。(以下中小企業庁ホームページ)

BCPの狙いは、「緊急事態が起きた時にやることを決めておき、安定した企業活動を確保することで取引先と従業員を支え、地域経済を守りましょう」ということです。その趣旨に一分の間違いも無いのですが、「出来る事と出来ない事があるよ」というのは強く思うのです。

例えば、弊社は揖保川という大きな川の横に位置していますが、単に「洪水に備えましょう」と言っても、近年長野県の千曲川や熊本県の球磨川で起きたような堤が決壊するような洪水がおきたら、もうどうしようもありません。恐らく機械類は全部浸水してガラクタになります。それに備えるためにすべての建物を2メートル底上げするとか、そんな投資は出来ません。

では災害が起きても商品は供給を継続できるようにたくさん製品や原料の在庫を持つことがよいのでしょうか?そうすると普段お客様には製造してから時間の経った製品を渡すことになります。食品製造業としてそれもどうかなと思いますよね。

もちろん出来ることも有ります。大雨や大雪の予報が出た時の安否確認連絡網や、管理システムに外部から侵入された際のデータのバックアップなどは済ませて置くべき項目だと思います。

大企業も頭を抱えるBCP

実は東日本大震災の後、大企業を中心に食品業界でも複数拠点保持の議論がにわかに湧き立った気配がありました。勿論そんなことが出来るのは大企業だけなのですが、それでも結局その殆どが断念したようです。何故なら2か所で同じものを作るというのは大変にムダが多く、上場企業なら株主から相当批判されるであろうことは目に見えていたからです。

そしてもう一つ、これは想像ですが、未曽有の大災害であればあるほど「次に起きるのは相当先だろう」と思ってしまうのが人の心というものだからではないでしょうか。

しかし、「忘れた頃にやってくる。それも予想範囲の外側から。」というのを体現したのが今回のトンガ王国での海底火山爆発だったように思います。日本でも過去にチリ地震の津波が日本で大きな被害を出したりという歴史はありましたが、まさかトンガで海底火山が爆発するとは思わないですよね。

備えとして出来る事は他にないかと常に考えておこう

今弊社ではいくつか建物の建て替えと設備投資を計画しています。まだまだ検討段階ですが、災害に備える点をどう盛り込むか等頭が痛い内容ばかりです。しかし老朽化した建屋が倒壊して従業員に何かあってはそれこそ事業が継続できなくなりますし、経営者として失格です。時間はかかりますが、それまでのつなぎも含めてしっかり考えていきます。

ご家庭でも同じではないでしょうか。大体何日分の食糧が家にあるか把握する。時々保存食も食べて回転させる。何かあった時に家族で集合するのはどこにするのか話合っておく。自宅周辺のハザードマップを見ておく。日々の生活に追われていると忘れてしまうことです。

私が最も大切だと思うことは「何が起きても大丈夫と過剰なところまで備えるのではなく、何か起きた時に何があって何が無いか、最初に何をすべきか、などが把握できていて、落ち着いて対処できること」だと思います。普段の消費量が分かってないからパニックになってトイレットペーパーを買い占めたりするのです。完璧でなくとも最低限のことが把握できれば、初動から間違えることは少ないのです。企業でも家庭でもそういう点が最初の一歩として大切なのだと思います。核シェルターつくるとか無理ですしね。笑

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