吉野家のアレの話

生娘をシャブ漬けっていう見出し語感に批判が集中してるように思いますが、生娘のところを若者とか青二才に替えれば、今更なのでは?という表現のような気もします。
シャブ漬けって字義通り読んだら犯罪用語だけど、コンサル界隈ではクライアントがコンサルにどっぷり依存するようにすることをシャブ漬けっていうっぽいし、そんな感じの表現を(内輪でブラックジョークとして)する界隈というのは他にもあると思います。
強烈なリピーターにするという意味で使ってるんだな、と、下品な言い方だし顧客に対する蔑視はほの見えるけど、そこは本題ではないのでは……?と思ったのです。

私がくだんのfacebookスクショを見て一番カチンと来たのは「男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」の方です。

前段の文脈に含まれる「生娘」は大学進学や就職で親元を離れて一人暮らしするようになった未婚の若い女性……という意味合いをひとまとめにした言葉だと思います。
そこに性的なニュアンスが多分にある生娘という単語を当てはめてしまうあたりクソホモソワードだと思いますが、そういう意味だと解釈します。

実際、親元で暮らしている若い女の子で「吉野家の牛丼大好きー!」という人はあまり多数派ではないと思います。
私が初めて吉野家の牛丼を食べたのは高校時代ですが、生徒会役員として文化祭準備で帰宅が遅くなり、残っている生徒への差し入れと称して生徒会顧問の先生がテイクアウトの牛丼を差し入れてくれたのが初めての吉牛でした。
お店は学校のそばを走っている国道沿いにあって、何度も通っていたしそれがなんの店なのかはもちろん知っていましたが、子連れ家族でご飯を食べに行く場所ではないと認識していたし、母が外出帰りにご飯を買ってくるとしても丼ものとかではなく幕の内弁当とかデパ地下のお惣菜とかなので、まあ自分の生活には馴染みがない食べ物でした。
あの時一緒に牛丼を食べていた女子のほとんども同様なリアクションでした。

その後上京してからもなかなか一人で吉野家に入ってご飯を食べようと思い至るようなことはなく、徹カラオフが朝5時にはけた後優待券を持ってるから奢るよと言ってくれた同行者にご馳走してもらったのが2回目で、初回から10年後くらいだったと記憶しています。

私の細かいエピソードはどうでもいいんですが、くだんの講師の言いたいことの大意は、私のように
・幼少期吉野家に馴染みがなく
・親にあまりファストフードを食べさせられずに育って
・一人暮らしをはじめて歴の浅い
・独身の女
というF1層とかそういう顧客をどんどん取り込こむ、という意味なんだろうなと

表現が極めて下品で蔑視的であるということを度外視すればそこは理解(共感ではなく、翻訳できるという意味の理解)できるんです

私がアカンわと思ったのは「男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」の方です。

私は40代喪女ですが、高いご飯も食べますよ!美味しいお肉も食べます!素材よりも雰囲気とか格式重視のお高いお店に行くこともあります。
デートでもなければたかりでもありません、自分の稼ぎで自腹で行くんです。
私が知っている美味しいお店の8割は自力開拓か女友達の紹介です。(残りの2割は男友達とか男女問わず上司とか叔父叔母の紹介)
年上で高給取であることを公言してる女友達には奢ってもらったこともありますが、基本は自腹です。
男友達とご飯を食べに行くとしても自腹です。割り勘を固辞されて奢ってもらってしまったことはないではありませんが、たかり目的でご飯を食べに行ったりはしません。
年下の女友達を美味しいお店に連れて行って悩みを聞きがてら奢ったこともあります。
面白いところに連れてってあげると言われて一見さんお断りの料亭に連れ行ってもらって、ネタになるー!と萌え話に興じながら懐石料理をいただいたこともあります。帰りがけにお会計が無いスタイルでしたが、後日ちゃんと折半しました。

ちなみに今も牛丼は食べます。
コロナ前の前職の時は残業で帰りが遅くなったら駅前で牛丼かカレーかうどんか串カツを食べて帰ることが多かったです。
可処分時間を優雅に使ったり、友達との楽しい時間をゆったり楽しむための食事とは別に、早い安い旨いの日常のご飯は必要です。席に座って3分で出てくる牛丼は男女問わず社畜に優しい。

あの講師の頭の中では、若い女は男に奢ってもらわないと高いご飯を食べる機会がない存在なんですかね?
高いご飯、美味しいご飯、そういうものを自力で見つけて食べるようになることが出来ないくらい愚かで貧しくて主体性がないのに、男性にたかって贅沢をしたがるのが若い娘だ、と言いたいんですかね。
その上、自腹を切らない高給ご飯を時折食べるようになったらもう日常でも贅沢して牛丼屋には近寄りもしなくなるとか頭のおかしいこと思い込んでるんですかね?

この部分だけはどう善意に解釈して翻訳しても、穏当な意味にはならないと思うんですよ。

結婚して主婦になったら幼い子供に味の強い牛丼を食べさせる人は少ないし子連れで吉野家に入るのはなかなか難しいから、常連だったとしても10年くらいは足が遠のくだろうからそこで離れられないような施作が必要とか
一人暮らしも年数が経って自炊がこなれてきたら外食が減ってしまうからそこを繋ぎ止めたいとか
仕送りもらってる学生から就職して自活始めたら吉野家より高い店に行くようになるからそれを引き止めたいとか
そういう意味にはならないですよね、男に高い飯を奢って貰えるようになれば は。

生娘をシャブ漬けよりも、こっちの方が圧倒的にアウトな発言だと思いました。
なんかあれですかね、同伴出勤とかするタイプの接客業の人に「こんな高いご飯奢ってもらったらもう牛丼とか食べられなーい」みたいなことをたくさん言われてきたんですかね?
営業トークですよそれは。間に受けるのはアホだけですよ
そういう営業職のお嬢さん達だって休日や仕事明けにはマクドや牛丼屋に吸い込まれます
男にたかるデート以外で外食しないとかいうアホ発想なんすか?
女も普通に一人で牛丼食うし焼肉食うし串カツも食うんすよ、生き物ですから


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