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一流の頭脳  アンダーズ・ハンセン著

①脳からストレスを取り払うことについて
ストレス物質である、コルチゾールを手なずけること。細かい理屈等が沢山あっての結論から、運動をすることは、全体的な気分の向上だけではなくて、ストレスに過剰に反応しないように体をしつける事ができるのである。体を活発に動かす事でストレスに対する抵抗力が高まる。
脳は、心配する度に小さくなる。ストレスで、海馬も前頭葉も小さくなる。
前頭葉が活発化すると、気持ちが穏やかになり、ストレスが減る。扁桃体が作り出した不安をはねのける力が付く。
ストレスを抑えたければ、脳の思考領域、つまり前頭葉の機能を促せばよい。そして、海馬と前頭葉を、体を活発に動かすことからの恩恵を与える事での活性化を可能にすることが出来る。
アルコールについて、お酒はストレスに効くという話もよく聞くが実際はどうなのか?著者は、ストレスや不安等を即座に押さえつける作用がアルコールにあるし、アルコールに匹敵する物質はないとある。
著者は、アルコールと抗不安薬との効果の類似性からの自身の見解を著書に書いている。
また、け気になるストレスと味方になるストレスがあると著書にはある。
恐怖を感じる機能である、扁桃体での実験をさるや蛇で行っている。
扁桃体がなければ、恐怖を感じることはない。人間ではこの実験は難しいが、扁桃体の損傷が激しい病気の女性に協力してもらい数年間の実験をしたところ、扁桃体の損傷により、恐怖心がなくなっていることが検証された。
ストレスを感じない楽天的な性格というのはうらやましいが、恐怖に対する防御が出来ないというデメリットがあると著書ではある。
であるのならば、扁桃体からの恐怖心やストレスに対応することも、必要なのであろう。ここでは、運動からのストレスコントロールを進めている。運動は、脳のブレーキペダルを上手く調整するための習慣とある。忙しくて、運動する時間のない人ほど必要なものだと著者はいう。

②記憶力をたかめることについて
著書からの見解ですが、記憶力を最大限に増すには運動が一番良いと述べられている。能は、生涯を通して縮み続けているという。脳細胞は一生涯作り続けているものの、それより早いスピードで死滅しているのである。
脳細胞は、一日に約十万個失われているという。脳には千億の細胞があるとはいえ、時間と共に失われる脳細胞は膨大である。
アルコールや薬物は、加齢のスピードを加速させる。それに対して、運動によって、記憶力や脳全体の機能の改善が可能になるという。
運動といっても、心拍数の上がる持久力系のトレーニングが有効という。
運動することによって、短期記憶と長期記憶の改善と、加齢による海馬の萎縮にストップがかけられる。ここにある運動は、適度な運動であり、脳が恩恵を受ける運動量と言うのがある。過酷な運動は脳の働きを低下させてしまい、適度な運動が恩恵を与えるのである。例えば、少し長めに歩いたり、30分程走ったりすることが有効で、何時間も走ったりする必要はない。

③頭の中からアイディアをとりだすことについて
アルベルト・アインシュタインは自転車をこいでいる時に相対性理論を思いついた。散歩中のベートーベンが聴覚障害が進んだにもかかわらず、交響曲を三曲作った。チャールズ・ダーヴィンが、自らの思索の小道で進化生物学の着想の発展をさせたのも個々の散歩をしていた頃だろうと言われている。
このように、運動をすることで創造性がますと著者は言っている。
環境や心の状態ではなく、体が動かされることでの強化によって、創造性は増すようだ。
運動によって、創造性を高めたいのであれば、日頃疲れ切ってしまわない程のある程度の健康体であることが必要である。そうすれば、軽い負荷のかかる運動から、創造性に繋げられるわけである。

気付き
著者は、スマホ脳の著者で最強脳の著者であるが、この著書を三冊読んでみて、話している事は一貫して運動は脳を活性化するということだと思った。
スマホ脳に関しては、今の今。リアルな問題となっているだけに注目度も高いだろうし、説得力のある検証事例もあったものの、自然と共鳴した生き方がどれほど人間的か改めて考えさせられた。
もともとがスウェーデン出身の著者が、精神科医としてとらえる視点は、とても説得力があり、わたしのようにパソコンのキーボードを終始パチパチしている典型的な日本人には、とても好き刺激となる良書かと思う。
翻訳本は、場合によっては意味がストレートに伝わってこない場合もあるが、そこを差し引いても彼の本は今の現代人には必要な一冊かと感じた。

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