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社会人のための学び直し数学【高校数学方程式編その4】

4.2次方程式③

 $${α,β}$$ が実数のときに,2 次方程式 $${(x+α)^2=β}$$ を解いてみましょう。
$${x+α}$$ は 2 乗すると $${β}$$ となる数なので $${x+α=\pm\sqrt{β}}$$ となります。このとき $${β}$$ は $${β≧0}$$ であっても $${β<0}$$ であっても構わないことは,これまでの説明から問題ないでしょう。
したがって,$${(x+α)^2=β}$$ の解は $${x=-α\pm\sqrt{β}}$$ となります。
 実は $${p,  q}$$ が実数のとき 2 次方程式 $${x^2+px+q=0}$$ は,上に述べた方法で必ず解くことができます。
そのために,因数分解の公式 $${x^2+2ax+a^2=(x+a)^2}$$ を利用します。
$${x^2+2ax+a^2=(x+a)^2}$$ において,$${a=\frac{p}{2}}$$ とおけば
$${x^2+px+(\frac{p}{2})^2=(x+\frac{p}{2})^2}$$ となることがわかります。
よって,$${x^2+px+q=0}$$ を $${x^2+px=-q}$$ と変形して,両辺に$${a=(\frac{p}{2})^2}$$ を加えると $${x^2+px+(\frac{p}{2})^2=-q+(\frac{p}{2})^2}$$ であり,$${(x+\frac{p}{2})^2=\frac{p^2-4q}{4}}$$ となります。
したがって,$${x+\frac{p}{2}=\pm\sqrt{\frac{p^2-4q}{4}}}$$ であり

$$
x=\cfrac{-p\pm\sqrt{p^2-4q}}{2}
$$

です。
 ところで,$${ax^2+bx+c=0}$$($${a≠0}$$)を変形して$${x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}=0}$$ から $${\frac{b}{a}=p,   \frac{c}{a}=q}$$ とおいたものが$${x^2+px+q=0}$$ であったので,

$$
x=\cfrac{-p\pm\sqrt{p^2-4q}}{2}
$$

の $${p}$$ や $${q}$$ に

$$
p=\cfrac{b}{a},   q=\cfrac{c}{a}
$$

と代入して,式を変形すると

$$
x=\cfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
$$

となります。
これが 2 次方程式 $${ax^2+bx+c=0}$$ の解であり,有名な 2 次方程式の解の公式です。(ここで,$${a,   b,   c}$$ は実数です)

【注】 $${\sqrt{a^2}=a}$$ はいつでも成り立つわけではないことに注意が必要です。$${a<0}$$ のときは $${\sqrt{a^2}=-a}$$ としなければいけません。
このことは,例えば $${\sqrt{(-2)^2}=\sqrt{4}=2}$$ なので
  $${\sqrt{(-2)^2}=-(-2)=2}$$
となることから理解できるでしょう。ここでは,

$$
x=\cfrac{-p\pm\sqrt{p^2-4q}}{2}→x=\cfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
$$

と変形するときに必要な考え方です。 
ただ,$${\sqrt{p^2-4q}}$$ の前の符号が $${\pm}$$ なので,$${\mp}$$ という符号変化を与えるだけなので,本質に影響しないのです。

 さて,2 次方程式 $${ax^2+bx+c=0}$$ は $${x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$$ をとしますが,解が実数であっても虚数であってもこのとおりになります。そして,実数の解と虚数の解を分けるのはルートの中にある $${b^2-4ac}$$ の部分です。そのため,この部分を $${D=b^2-4ac}$$ とおき,2 次方程式の判別式と呼び,2 次方程式を解くことなく,それが実数の解をもつのか虚数の解をもつのか判別するために使います。その判別法は以下のとおりです。

2 次方程式 $${ax^2+bx+c=0}$$ は,判別式 $${D=b^2-4ac}$$ について
  $${D>0}$$ のとき異なる 2 つの実数
  $${D=0}$$ のときただ 1 つの実数重解といいます)
  $${D<0}$$ のとき異なる 2 つの虚数
を解にもつ。

$${D>0}$$ のとき $${\sqrt{D}}$$ は実数であり,$${+\sqrt{D}}$$ と $${-\sqrt{D}}$$ は異なる実数ですから $${x=\frac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}}$$ は異なる 2 つの実数です。
$${D=0}$$ のとき $${x=\frac{-b\pm0}{2a}=-\frac{b}{2a}}$$ ですから,1 つの実数です。
$${D<0}$$ のとき $${\sqrt{D}}$$ は純虚数であり,$${+\sqrt{D}}$$ と $${-\sqrt{D}}$$ は異なる純虚数ですから $${x=\frac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}}$$ は異なる 2 つの虚数です。

練習問題(1)2 次方程式 $${x^2+x+1=0}$$ を解の公式を使って解け。

(2)2 次方程式 $${x^2+x+1=0}$$ は 2 つの異なる虚数解をもつ。
($${D=1^2-4×1×1=-3<0}$$ なので異なる 2 つの虚数解をもつ。)
その一方を $${ω}$$ とおくと,もう一方は $${ω^2}$$ となることを確かめよ。

(3)(2) の $${ω}$$ について $${ω^3}$$ を求めよ。

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