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社会人のための学び直し数学【高校数学文字式編その3】

5.展開公式3

 $${(a+b)(a-b)}$$ を考えます。
展開公式1 $${(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$ において $${x}$$ を $${a}$$ に,$${a}$$ を $${b}$$ に,$${b}$$ を $${-a}$$ に置き換えます。
 $${(a+b)(a-b)=a^2+(b-b)a+b×(-b)=a^2+0×a-b^2=a^2-b^2}$$
これを展開公式3とします。

    展開公式3 $${(a+b)(a-b)=a^2-b^2}$$

 この公式を使って,展開の技術を 2 つ紹介します。
 $${(x^2+4)(x+2)(x-2)}$$ の展開を考えます。
考えられる展開の方法は,3 つのカッコのそれぞれの項を分配法則を使って 1 つ 1 つ丹念にかけていくことです。しかし,かけてできる項の数は 3 つのカッコの中にそれぞれ 2 つの項があるので,$${2×2×2=8}$$ で 8 つとなり,少し手間がかかります。そこで,積の交換法則を使ってかけるカッコの順序を入れ替えるのです。
$${(x^2+4)(x+2)(x-2)=(x+2)(x-2)(x^2+4)}$$
そして,前から順番に展開公式3を 2 回使って展開できます。

3 番目の等号でも,積の交換法則を使っていることに注意してください。
このように積の交換法則を使って,かける順序を入れ替えることで展開公式が使えるようにするのです。

 $${(a+b)(a^2-ab+b^2)}$$ の展開を考えます。
まず,後ろのカッコの中の項のうち $${a^2-ab}$$ が $${(a-b)a}$$ とできることに着目します。そして,前のカッコの式をひとかたまりにして(1 つの文字で置き換えると考えてもいいです)後ろのカッコの各項にかけます。少しイメージしずらいですね。下の展開の過程を見てイメージをつくってみてください。

ポイントは $${a+b}$$ に対して $${a-b}$$ がつくれ,それをかければ展開公式3により項の数が減ることです。このように,なるべく項の数が少なくなるような工夫ができれば展開が楽になります。

【注】$${a^2-ab=(a-b)a}$$ としましたが,分配法則の逆を計算して,積の形にすることを式の展開に対して,式の因数分解といいます。因数分解に関しては後で詳しく説明します。

 ところで,$${(a+b)(a^2-ab+b^2)=a^3+b^3}$$ という結果でしたが,この $${b}$$ を $${-b}$$ に置き換えることで
$${(a-b)(a^2+ab+b^2)=a^3-b^3}$$
とできます。これら 2 つの展開も公式として覚えておくと,展開の項を減らす技術として使えます。

練習問題 次の式を展開せよ。
(1)$${(2x+3y)(2x-3y)}$$    (2)$${(2x+3y)(4x^2-6xy+9y^2)}$$

【答】(1)$${4x^2-9y^2}$$(2)$${8x^3+27y^3}$$




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