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頭文字B「破:人生パンチライン」④覚醒するギャングスタ・・・昇竜

この日本でいきなり
オーシェイ・ジャクソンと言う
人物名を聞いてピンと来た人が
いるなら、余程ヒップホップ好き、
特にアメリカ西海岸のヒップホップを
昔から聴いている人か、もしくは
熱狂的なハリウッド映画好きと
思われる。

この人物は少年時代から勉強、
特に文を書くのが得意で、
親御さんの配慮と家柄もあり、
地元からはるか離れた私学校に
わざわざバス通学までしていた。
その甲斐あってキッチリ進学した
大学在学中の時から、
その作詞の才能を周囲の誰もが
認める程にスパークさせていた。
(しかも当時の作詞活動で
一番得意だったのは既存の有名曲の
下品な替え歌ってのもナイス!)
ちなみに大学の専攻は建築学。

つまり、
このオーシェイ・ジャクソンと
言う人物は文系も理数系もイケる
挙げ句にヒップホップな洒落まで
分かる地元でも昔から有名な
デキる青年だったのだ。
ただ、
日本で生まれ育った大多数の
我々と違うのは彼の出身が、
ロサンゼルスでも屈指の犯罪多発
地域であるサウスセントラルで、
常にギャングに囲まれ生活し、
それ故に警察から不条理な
嫌がらせを日常的に受け続けていた 
と言う事実に他ならない。

実は彼自身はギャングとは
何も関わりの無い人生だったのに。

ある時、
その警察の執拗な嫌がらせに
いよいよ怒り心頭となった彼は、
その怒りを自分の歌詞に託した。
一度は自分でもゴミ箱に
放り込み、周囲が余りにも
過激なその内容に及び腰になる中、
音楽仲間の薦めもあり、
“やっぱりあの畜生どもには
コレだきゃ言わなきゃ俺の
気が済まねえ!“とばかりに
その曲の発表を決意する。

(余談になるが、
筆者がかつてニューヨークの
ブルックリンに滞在中の時も、
セダンに乗っていた黒人の若者が
特に理由も無く警察に職質され、
車のボンネットに押し付けられ、
車に乗せていた買い物袋の中身を
全て道端にブチまけられていた。
筆者は一部始終を見ていたが、
その時の怒りと同時に諦めが
入り交じった彼の表情は
今でも忘れられない)

将来を嘱望されていた青年が、
警察の日常的な差別的暴力に
対して音楽と言う武器を使い、
真の意味で覚醒した瞬間だ。

その時、彼は既にとあるグループに
在籍して活動していたので、
地元では英雄の様な扱いだったのだ。
そのグループはN.W.Aと名乗り、
この青年はそこでは本名の
オーシェイ・ジャクソンでは無く、
アイス・キューブと呼ばれていた。
その彼が鬱積した怒りに任せ、
一度はゴミになりかけた件の歌詞は
タイトルにこう書かれていた。

“Fuck the Police“
- 警察なんてクソ喰らえ-

そう!今回のコラムの主役は、
このタイミングにこれ以上
相応しい人物はいない。
アイス・キューブの登場だ。
(以下キューブ叔父貴)


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