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春の足音とか

4年間続けていた塾講師のアルバイトを辞めた。理由は大学を卒業して社会人になるから。
見送られるってほど仰々しくもない別れだけど寂しかった。なにもなくしていないのに穴が空いた。
アルバイト先で出会った人たちの人生の道中に私がいられて幸せだったな。私が担当でよかったって思ってくれてるかな。これから先もずっとずっとずっと、ずっとずっと幸せであってほしい。

久しぶりに電車に乗った。
ドアが開いてぽかぽかの陽気に触れたとき、新しいことを始めたとき、ワンピース一枚でお出かけできたとき、桜の木がピンク色に染まりそうなとき、粘膜がやられるとき、優しい黄色のものがほしくなるとき、街の人々の上着が明るく軽くなっていくとき、春の足音を感じる。
私は冬が好きだけど、春のいいとこも見ていようね。好きが増えるのは嬉しい。

ある人とこれからは会えないかもしれない。
2年前から相談室に通っていた私は、一目見ただけで少し言葉を交わすだけで気が合うと分かった人と会えないかもしれない。
けれど、もしまた会えたときに互いに声をかけようという約束で、あの人とまた出会えると信じて生きていくことで、まだ死んではならないと思えるんだ。この約束は思い続けていく決意だ。またいつかどこかで会いましょう。