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仏談 -赦して!閻魔さま!3-

◍5週間後(五七日) 裁判官:閻魔大王(えんまだいおう)
 浄玻璃という水晶でできた鏡に映し出される生前の悪い行いと、これまでの裁きの結果を受け、地獄か天国か、地獄の場合はどの地獄に落とされるのかがここで判決が下る。冥界で閻魔王は絶対的な権威があり、この判決で、処遇はほぼ確定するのだ。
 ところで閻魔大王の宮殿は人間の世界の地下約 4,000km (!)にあり、宮殿の大きさも縦横 480km (!!)なのだそうで、大阪から東京間までの直線距離以上の長さを一辺とする正方形だと考えると、広いなんてもんじゃないような宮殿である。恐ろしい形相の閻魔王を前にすると、たいがいの死者は一目見ただけで気を失うほどで、閻魔さまは閻魔帳を開いて、雷のような声で死者の罪を読み上げていく。

◍6週間後(六七日) 裁判官:変成王(へんじょうおう)
 六七日の裁判官である変成王にいたる道の途中に 大岩が流れる大河がある。轟音を響かせ、電光を発しながらぶつかり合い流れ行く岩と岩。その川を前に、渡れるはずがないともたつく死者を鬼が次々に放り込むのだ。死者は身を砕かれては蘇り、蘇っては砕かれ ようやくたどりついた向こう岸にいるのが、変成王(へんじょうおう)という裁判官である。生前の功徳(くどく)を審査されるのたが、これまでの裁判に間違いがなかったかという意味合いのものだ。しかしここの判決によって次に生まれ変わる場所が確定する重要な審議になる。
 変成王ははじめて亡者の言い訳を聞こうとしてくれるのだが、もう一つこの審理中には特徴的な教えが含まれている。この世に遺した縁者や子供たちが供養をしている姿が映し出されると、縛られている縄が解かれ良い処に生まれ変わることが出来るというのだ。墓参りやご先祖の供養はおろそかにしてはいけない。

◍7週間後(七七日) 裁判官:泰山王(たいざんおう)
 この日を迎えるまでの期間を中陰(ちゅういん)、それが終わる日なので満中陰(まんちゅういん)ともいう。満中陰の裁判官である泰山王に至るまでの細くて暗い道の長さは、経文によると1,500Kmもある(7週間目の7日間で到着しようとすると、休まず飲まず食わず寝ずで走ったとしてもかなりのスピードが必要であり、これまでの工程で死者は既にヘロヘロになっている。このランは無理だW)。やっと辿り着いた泰山王の前には六つの鳥居があり、王に促されて誰もが歩みを進めるが、その向こうは 地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上 という六つの世界に繋がっており、この鳥居を出れば次の世界なのだという。もちろんそれまでの記憶はなくなってしまう。

 以上少々私の演出や脚色も入れたが、この辺りが古来より語り継がれてきた死後の裁判の平均的な描写であると思う。当然本当にあるかどうかは、見てないので知らない(笑)    《 おわり 》

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