アルデヒドの地図(1)
身近ではないアルデヒド
ふつうに生活していると、「アルデヒド」というコトバに出会うことなんてまあほぼありませんね。意識しなかったら、生まれてから死ぬまでにこのコトバに出会ったことに気付かない人もいるかもしれません。
「ホルマリン漬け」なら聞いたことがあるかも。
子どもの頃を振り返ると小学生や中学生の頃に、博物館や理科室の照明の少ない薄暗い部屋の中でガラス瓶に入った魚の標本とか。ただ、飽くまでも「魚の標本」なのでそれを包んでいる液体がホルマリンということには興味が及ばないでしょう。ましてホルマリンがホルムアルデヒドの水溶液だなんて見過ごされて当然です。ちなみに、37%のホルムアルデヒド水溶液をホルマリンと言うそうです。
Q なんで魚などの動物を標本にするために、ホルマリン水溶液に漬けるのでしょうか?
A 強い殺菌力のおかげで微生物などの腐敗から組織を守ってくれますし、高い浸透圧のせいで保存作用があり長期間にわたって原形を保つことができます。
ただし、強い刺激性があり取扱注意の有害物質です。もしも普通の水道水に漬けていたら、ほかの動物や微生物に喰われたりして腐ってしまいますよね。
ホルムアルデヒド の アルデヒド基
で、その殺菌力が何に因るかというと、これがホルムアルデヒドの構造に因ります。アルデヒド基(-CHO)のもつ「還元性」がタンパク質分子のアミノ基(-NH2)に作用して結合します。標本になる生物体を原形を保ったまま、タンパク質の変性を起こして固めてしまいます。
大学の医学部の実習で使われる解剖用の検体がホルマリン漬けになっていて、浮かび上がると空気に接触して傷んでしまうのでそれを沈める必要があるのだとかで、そういう仕事が夜間の学生アルバイトとして募集があるという話を聞いたことがありました。今もあるのかな?
聞きなれない用語が連続すると、読み進める気力が失われそうなので、とりあえずここまでに留めておきます。
次は「アセトアルデヒド」。
こっちのほうが身近ですよね、きっと。
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