見出し画像

いまここに生かされて出会へし

この墨絵は、1993年4月に
「長戸庵(ちょうどあん)のくまさん」からいただいた。

「長戸庵」は、四国八十八か所の歩きルートの道中、
第11番札所の藤井寺と第12番札所の焼山寺の間にある。
当時「くまさん」は、長戸庵に籠って修行中だった。


1992年3月に香川大学教育学部を卒業し、
翌月に同大学院農学研究科へ入学した。
そして入学から1年後、
研究室に「しばらく休みます」と手紙を置いて「お遍路さん」に出た。



食品栄養学研究室に所属。
 担当教授から、
「過酸化脂質を評価する」というテーマを与えられた。
本や投稿論文を読み漁っていくうちに、
「何をどうすればよいのか?」分からなくなった。
疑問もあったし好奇心もあったけど、分からなくなっていた。
 
同級生たちが、就職活動に取り掛かろうとする中、
自分の研究はほとんど何も進んでいないことを自覚した。
そうこうするうちに「自分は何をしたいのか?」分からなくなっていった。
 
 
長戸庵には、二泊させてもらった。


長戸庵を去る時にくまさんから言われたこと。
「今回のお遍路で、もし結願できなかったとしても、いつでも再開したら良い」「片意地を張らずに緩く歩いたら良い」

そう聞いて、人生だってそういうものかもしれないな、と思った。
僕の「お遍路さん」は4日間で一旦終了し、帰宅した。

あれからもうすぐ31年が経つけど、再開の縁はまだ訪れていない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?