納得いかないものたち(短編ストーリー)

「犬って恵まれてるよなぁ」

「急にどうした?」

「どこかの国のスケート選手が韓国に行ったんだって。そのとき犬をたべる文化を見て『犬を食べるのはやめてー! かわいそうだからー!』って訴えたんだって」

「そうなんだ。まあ犬って可愛いからなぁ。相手の目を見つめて、尻尾をブンブンふりながら、笑ったような表情して近づいてきたら、飼い主なんかイチコロだよな」

「いやいや、俺たちだってかわいいだろ!そもそも同じ動物なのになんで俺らは食べられるんだよ⁈」

「確かにそうだな」

「そうだろ?よく考えてみろよ。俺たちなんか豚小屋で生活してるのに、あいつら人間様が住むエアコン付きの快適な家に住んでさ。死んだ時には葬儀もやってもらえてさぁ、涙まで流さるんだぜ⁈俺たちなんかいつか殺されて食べられる前提で育てられるのに、納得いかないよ!」

「確かにそうだな。誰か俺たちのことも訴えて欲しいな」

「『豚を食べないでください!あの子達だって生きる権利はあるはずよ!太っていて美味しいからって人間が食べるために殺されるのはおかしいわ!』ってね」

「でもいまさらちょっと訴えるだけじゃ人間の意識は変わらないんじゃない?俺たちが美味しいって分かってるし、食べるものっていう固定観念があるからね」

「うーん、じゃあこんなのはどう?ダイエットして美味しくなさそうな体型になる。そうすれば人間の意識も変わるかも。『ガリガリの豚ってうまそうじゃないな』ってふうにさ」

「でも美味しそうなエサを目の前に出されたら、俺は我慢できる自信はないよ」

「だよな」

「うーん、まぁいつかは死ぬんだし、好きなもんいっぱい食べてブクブク太ってさ、人間に美味しいって食べられるのが俺たちの生きがいって考えれば、そっちのほうが楽だしお互いいいかもな」


「だな」

「まぁ深く考えず気楽に生きて行こうぜ!」


おわり


※初めて短編小説風なものを書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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