見出し画像

秋と春は儚い。 #エッセイ

秋だと思う日が増えてきた。

寝る時に扇風機がいらなくなったり、朝自転車を漕いでいても汗をかかなくなったり。

何より風が涼しい。

先週の半ばまでジメッと重い風だった気がするのに、急に軽くなった。

今のうちに長袖シャツを着倒さないと、と慌ててタンスをひっくり返したけれど、去年まで私服で外に出ることがなかったから、2-3枚しか見つからなかった。

それを半袖のシャツと入れ替えでハンガーラックにかける。

カバンも秋らしい色のものをタンスから引っ張り出してきた。

これで秋の準備は完璧だ、と思って寝た。

次の日、ものすごく暑かった。

朝から普通に暑かった。

用意していた秋用の布団は端へ追いやられ、タオルケットすら着ていなかった。

ハンガーラックの長袖など着る暇もなく、半袖に舞い戻り。

日中はクーラーまで付けた。扇風機だけじゃ追いつかない。西向きの太陽の日がよく入る部屋だから。

衣替えの大変さだけを私に残して、期待して待っていた秋は一瞬で去っていった。

どうせまた涼しくなったと思って秋仕様の生活にしたら、次はすぐに冬が来て秋仕様じゃ寒くて泣くことになるに違いない。

秋と春は儚いというのはこういうことなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?