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かわりたくない

桜を見て散って欲しくなくて泣いたのはきっと2回目だと思う

最初は入学式に桜が咲いていないのが嫌で泣いた
我ながら本の読みすぎだったと思う
本の中の入学式の桜は満開で入学する子にはお父さんとお母さんがいつもより張り切った服を着て微笑んでた
私には微笑んだお父さんとお母さんは一緒に見ることはできなかったから桜だけでも本の中みたいに満開でいてほしかった
私の願いは叶って小学校の入学式の時は満開の桜が咲いていた
少し本の中の女の子に近づけた気がして嬉しかった

今回はそれとは違う気がした

これから入学するわけでもない
4月からも今までと同じ制服を着る

それに、満開の桜が咲いていても本の中の女の子になれないことはもうわかってる

それでも私の中で満開の桜はしあわせの象徴だから
帰り道に100円で桜の造花を買って気休めにする
うすっぺらい布でてきた花びらとプラスチックのめしべとおしべ
帰り道にみた桜の方がきれいだけど
枯れないし散らないこっちの桜の方が安心できるから

お金を貯めたらギターを買う