『異世界おじさん』感想

※ネタバレは極力控えるよう執筆しておりますが、完全に無いとは言い切れないかもしれません。その旨をご容赦頂いたうえで読んで頂けると幸いです。


先述した『リコリス・リコイル』とは層は違うかもしれないけれど、これもなかなか反響の大きかった作品のひとつだと思う。
惜しむらくは、某ウイルスのせいで製作が滞り、全話完遂出来ずに先送りになってしまったこと。
続きは秋アニメとして放映されるっぽいかな?

タイトルだけを諳んじれば、流行に乗っ取った所謂「異世界転生モノ」かと錯覚するかもしれないが、主人公は物語序章の時点で異世界から帰還してしまっているので、基本は、30越えで妙に老け顔のおじさんと、冴えない大学生の甥っ子とが、こぢんまりとした団地の一室でシュールな会話を延々と繰り広げていくコメディタイプのアニメである。

魅力は大きく分けて3つあり、まず何を置いても語るべき魅力のひとつが、主人公と甥っ子との会話の空気感だろう。
基本的な展開としては、異世界で経験してきたあれやこれやをおじさんが語るという、如何にも盛り上がりそうな会話の内容ではあるのだが、そんなおとぎ話のような冒険譚を、会社の喫煙室で日常的に繰り広げられている世間話かのようなローテンションで淡々と語り合っている様は、この作品特有の謎空間とでも言うべき独特な空気感を醸し出しており、これこそが他の作品には存在しない何かとクセになる本作の魅力のひとつ。
要は、良い歳したおっさんが唯々仲良くダベってるだけなのに、何故だかツボにハマる謎の面白さを感じてしまう。ふしぎー。

魅力の2つ目は、圧倒的ヒロイン達の可愛さ。
主に会話しているおっさん連中はリアリティ溢れるほどの唯のおっさんであるのに対して、異世界のヒロイン達はゴッテゴテに属性付けされたアニメシーンにおいての王道系なキャラクター達。
このワケの分からない対比の影響か、ヒロイン達の可愛さが何故だか映える。理由は分からない。その目で確認してみるしかないとしか言えぬ。
ちなみに、一部界隈ではおっさん達も可愛い部類に入るらしい。ふしぎー。

魅力3つ目は、ことある毎に話題にのぼる時事ネタや平成ネタの数々。
特に、30代40代の方々にはモロにブッ刺さる内容が多いのではなかろうか。
だとしても、あのSEGAネタ全てに「あるあるぅ!」と共感を覚えられる猛者はなかなか居ないかもしれないが。
オープニング映像の元ネタまとめ等を確認してみると、参考元作品に関して全くの無知であったとしても謎の高揚感を覚えてしまうほどに盛り上がれてしまうので、本作のファンは是非とも確認してみるとよろしいよ。

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