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スーパー戦隊ヒーローの正義とは

男の子はみんな戦いが大好きで戦隊ヒーローにあこがれています。我が息子も3歳にして日曜9-10時の特撮ヒーローを見てはまねっこをして楽しんでいます。そんな息子を見てかわいいと思いつつも少し気になるのは、戦いの真似をして私にパンチをしてくるのが結構本気パンチで手加減がないところです。男の子はそんなものだ、と思いつつも自分の子供ともなると同じようなことを何の悪意もなく保育園のお友達にしていないか、と不安になります。お父さんは強いし起こらないし何をしても強いから大丈夫だ、という安心感をもってやっているだけならいいのですが。お母さんやお姉ちゃんにも強めにあたって困らせることも多くありましたので、ちっちゃなスーパーヒーロー気取りとおはなしをしてみました。

―ねえ、○○くん。どうしてお父さんにパンチするの?
「僕はスーパーヒーローだから!」
―スーパーヒーローは悪い人をやっつけるんだよね?お父さんは悪い人?
「ちがうよ」
―じゃあ痛いことしないでね?
「うんわかった!」
―おねえちゃんは悪い人?おねえちゃんにも痛いことしちゃだめだよ?
「うんわかった!」

無邪気で素直でかわいいです。悪気がないからこそ、ちょっとこわいところもあります。スーパーヒーローはかっこいい。「スーパーヒーローになりたい、戦って悪い奴らをやっつけるんだ!」と真似をしたくなります。子供にはかっこよく戦う姿だけが印象的にのこります。でも、この世の中に戦ってやっつけていい相手というのは存在しません。そもそも「絶対的に悪い奴」というのはいないし、仮にいたとしてもそれを個人が裁くことはできません。その人は本当に悪いのか、悪いとしても暴力で解決していいのか。そうではないということが、あと2-3年もたてばわかるのかもしれませんが、3歳のおとこのこには戦ってやっつけることこそ正義なんだかっこいいんだとなってしまっています。父親としてロールモデルとなり、正しい問いかけを続けて導く責務があるのだと強く認識しました。

よくよく考えてみると、戦隊シリーズはこの時代に適切なコンテンツではないのではないかという疑問がでてきました。戦闘シーンは明らかに暴力描写です。保育園、幼稚園の子供たちが見るべきものでしょうか。戦隊シリーズのリーダーは常に赤色で男です。リーダーが女子の戦隊ヒーローはあったでしょうか。企業の役員に女性が少ないと叩かれる時代に、五人の戦隊もののうち女子は2人でリーダーにはなれずサポートかお色気担当。わかりやすい悪と暴力による正義。なぜこのコンテンツが叩かれないのか不思議なくらいではないでしょうか。それに、暴力描写はPG12やR15 R18の指定が付くべきではないでしょうか。

映倫のサイトには以下の定義が記載してあります。

G:General Audience(すべての観客)の略号
どなたでもご覧になれます
この区分の映画の主題又は題材とその取り扱い方は、小学生以下の年少者が観覧しても動揺やショックを受けることがないように慎重に抑制されている。簡潔な性・暴力・麻薬や犯罪などの描写が多少含まれるが、ストーリー展開上で必要な描写に限られ、全体的には穏やかな作品である。G 区分の作品には、より大人向けの作品もある。一方、幼児、小学生が観覧の主体となる作品では、より慎重な描写、表現がなされている。

12 歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要
PG:Parental Guidance(親の指導・助言)の略号
小学生には助言・指導が必要この区分の映画で表現される主題又は題材とその取り扱い方は、刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も一部含まれている。一般的に幼児・小学校低学年の観覧には不向きで、高学年の場合でも成長過程、知識、成熟度には個人差がみられることから、親又は保護者の助言・指導に期待する区分である。

15 歳以上(15 歳未満は観覧禁止)
R:Restricted(観覧制限)の略号
15 歳以上がご覧になれます
この区分の映画は、主題や題材の描写の刺激が強く、15 歳未満の年少者には、理解力や判断力の面で不向きな内容が含まれている。従って、15 歳以上の観客を対象とし、15 歳未満は観覧禁止とする。

18 歳以上(18 歳未満は観覧禁止)
R:Restricted(観覧制限)の略号
18 歳以上がご覧になれます
この区分の映画は 18 歳以上の観覧に適する。主題又は題材とその取り扱いは極めて刺激が強く、このため18歳未満は観覧禁止とする。

鬼滅の刃はどうやらPG12のようですね。暴力描写を考えれば当然R15以上は必要な内容だとは思いますが、おそらく商業的な理由からPG12になったことは容易に推察できます。内容的にさすがにGにはできなかったということでしょう。R15は15歳未満禁止なので、拘束力がつよいですが、PG12はある程度、不適切な内容を含むことを認めながらも、視聴の可否を「親にゆだねる」=つまり「警告はしましたけど、親御さん判断にまかせます」といういいとこ取りです。明らかにR15以上の内容の鬼滅は「親の指導の下」保育園幼稚園児まで浸透しています。

思えば日本はルールそのものはあるが、その運用が弱いみたいなところがあります。たとえばパチンコ業界。完全に賭博は違法なのに、景品を発行して、兵品を買い取る別の店があって、パチンコ店は直接的に換金をしていないだけで実質換金ができるギャンブルであることに違いはないのに取り締まられていないですよね。ルールがあってもそれが適切に運用されるか、運用が監視されているかというところのほうがルールの存在そのものより大事だと思います。ルールには、判断の余地を残しておいて、肝心なところは運用権限をもつものが恣意的に事実上コントロールしているのが日本社会ではないでしょうか。

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