『リターニア王国』まとめ・考察
リターニアとは
正式名称はリターニア王国であり、英語表記はLeithania(the Kingdom of Leithania)です。主としてキャプリニーが暮らしているようですが、ペッローのカーディもリターニア出身のため、他種族も暮らしているようです。
現君主は「双子の女帝」と呼ばれており、一人は金ぴか、もう一人は黒ずくめの容姿をしているようです。前君主の巫王をクーデターにより殺害した後に君主となりましたが、術師としての能力は巫王に軍配が上がり、今なお極秘裏に巫王のアーツ研究がなされているようです。なお女帝の一人は「声を失った」とされており、これが比喩的な意味なのかどうか定かではありませんが、現体制にはヒビが入っていることが伺えます。
ロドスにおいては、エイヤフィヤトラ、アーススピリットがリターニア出身かつリターニア陣営、カーディ及びTouchはリターニア出身のロドス陣営、カーネリアンはサルゴン出身ですがリターニア陣営に属しています。
また『ニアーライト』で登場したヴィヴィアナ・ドロステ、『風雪一過』での黒騎士ことデーゲンブレヒャー、『ファントムと緋き貴石』の黒幕「劇団の喉舌」、クリムゾン劇団の演者「ズルカマラ」もリターニア出身です。またイグゼキュターが追うアルトリアという人物も、今はリターニアにいる可能性が高いようです。
後述しますが、リターニアはアーツが発達した国であり、アーツを使用できないカーディ及びデーゲンブレヒャ―はあまり馴染めなかったとのこと。逆にアーツに秀でているカーネリアンは、リターニアの術師からもその実力を買われているようです。他方でヴィヴィアナはアーツに秀でているものの、貴族の私生児であったことからリターニアを追放されることとなり、貴族間の権力闘争も繰り広げられているようです。
地理的状況
リターニアの地理的状況を見ていきましょう。
隣接している国はウルサス、シラクーザ、ヴィクトリア、カジミエーシュの4つがあります。後述するように、リターニアのモデルは、かつてのオーストリア=ハンガリー帝国及びドイツ帝国が予想されます。隣接する国がそれぞれロシア、イタリア、イギリス、ポーランドをモデルに含むことを考えると、概ね地球における地理的関係とも一致します。
またかつての大国ガリアがフランスをモデルに含むと考えられ、これもまたリターニアに隣接していたと考えられます。
このように多くの大国と隣接する状況にあることから、国家間での衝突も多かったと予測され、地政学的に争いの多い国ではないかと考えられます。現にガリア崩壊の原因となった四皇会戦にはガリア、ウルサス、ヴィクトリア、そしてリターニアが参戦しており、そもそも四皇会戦の原因となったのもガリア・リターニア間での戦争です。
現在はガリアこそ滅んだものの、ウルサス、そしてヴィクトリアが国力を付けてきており、今なお争いの危険は大きいと言えるでしょう。
文化
リターニアの文化を見ていきましょう。
リターニアは学術文化が色濃く発展しています。現在判明しているだけでも、ウィリアム大学、シューマン芸術学院、ティッセン美術大学、グルク私立学院と4つの学術機関が確認されています。
特に音楽に関して発展しているようであり、天災トランスポーターとして各地を飛び回るプロヴァンスが「音楽学校ばっかりのリターニア」と述べています。またアーススピリット曰く、リターニアでは高い音楽的素養を持った人は、高いレベルの教育を受けた人だと見なされるとのこと。
『ウォルモンドの薄暮』において登場した地名の「ドデカフォニー」も十二音技法という音楽に関する用語であり、アーススピリットの先生であるバッハマン教授も音楽家のヨハン・ゼバスティアン・バッハに由来するものと思われます。アーススピリットがオルガンを得意とするのも、バッハがオルガンの演奏家であったことに由来するのでしょう。
同時にアーツ技術もリターニアの代名詞であり、義務教育の一環としてアーツが組み込まれているほどです。そのため街の車引きといった労働階級、つまりは高等教育を受けていないような者でも簡単なアーツが使用できるとのこと。
ですが、このアーツ技術の発展は同時に負の面も生じさせており、後述する巫王の他、アーツを使えない場合にはリターニア国内で良い待遇を受けることは出来ないようです。
なお、音楽とアーツには不思議な繋がりがあるようであり、このことがリターニアでの音楽とアーツの発展に繋がったのでしょう。
社会環境
リターニアの社会環境について見ていきましょう。
リターニアは貴族社会であり、貴族は高塔と呼ばれる場で地上で暮らす一般市民とは関わらずに生活しているようです。この貴族社会は一度巫王の時代に恐怖政治の下で鳴りを潜めることになりますが、双子の女帝により巫王が殺害されてから数十年で改に蘇ったようです。
リターニアの貴族間では権力闘争が繰り広げられており、リターニアで私生児として生まれたヴィヴィアナがリターニアを離れたのも、この権力闘争において父である大貴族の弱点となることが理由とされています。
他方『ウォルモンドの薄暮』で敵として登場する「リターニア反乱兵」の説明には、急進主義、つまり革命等の手段により、既存社会や価値観の根本的変更を主眼とする政治原理を持つ者との記載があります。
様々な要因があったとはいえ、この封建主義と急進主義との衝突、感染者に対する対応の悪化により暴動が起きたのがウォルモンドでの事件です。ウォルモンド自体は一つの街に過ぎませんが、急進主義を掲げる者が「リターニア」への反乱軍として描かれていることから、恐らくはリターニア全土において似たような暴動の火種が燻っている可能性が高いでしょう。
なお後述するように、リターニア国内では未だに巫王を支持する層もいるようであり、巫王のアーツ研究が秘密裏に続けられているようです。
このことからも、双子の女帝を支持する現体制と、巫王を支持していた旧体制間での争いもあるのかもしれませんね。
感染者に対する対応
感染者に対する対応を見ていきましょう。
リターニアは高度なアーツ教育が普及している国家です。そのため体内の源石を使用してアーツを使用できる感染者にも、ある程度寛容な政策が採られてるようです。
ドデカフォニー通りを始めとして感染者居住区が定められており、その区域内での生活が許されています。区域内には喫茶店(飲食)、コンサートホールやアートサロン(娯楽)があり、ウルサスに代表されるような、感染者であれば問答無用で排除するような国と比べ寛容な国といえます。
ただし『ウォルモンドの薄暮』と『灯火序曲』のエピソード「異類」での記述を見る限り、実態は感染者を区域に閉じ込め、有事の際には感染者区域ごと切り捨てたり、劣悪な待遇を受けたりするような状況にあるようです。
先述したようにリターニアは貴族社会であり、貴族階級と貧民である感染者階級との間では大きな格差が存在します。
同時に感染者の対応については近年悪化しているようであり、感染状況が深刻だったケオベがリターニアの警察等に捕まってしまった場合には「殺処分」される可能性があったようです。「処分」という単語が使用されていることからも、ある程度感染者に寛容とはいえ、やはりその扱いは良いとは言えないのが現状でしょう。
巫王
巫王について見ていきましょう。
巫王はリターニアの先代統治者であり、テラ史上最も偉大で最も悪名高く、最も強大な術師です。その角は不気味な形にねじ曲がり、奇妙なエネルギーを放っているとの噂があるようですが、常に塔から全土を見ており、塔から降りてくることはごく稀だったとのこと。写真ですらその姿を写したものがないとのことから、実際に彼の姿を見たものは限られると思われます。
巫王については統合戦略『ファントムと緋き貴石』の公式サイトにおいて登場する「リターニアの王笏」に詳細な情報が記載されています。
その説明によれば、巫王は齢五十近くの頃に選帝侯たちにより玉座に担ぎ上げられ、名目上の統治者となったようです。ここにいう選帝侯とは、神聖ローマ帝国においてドイツ王とも呼ばれるローマ王、つまりは君主に対する選挙権を有する貴族を言います。
最初の十年は統治者として優れた才能と見識、また術師としての能力を見せていたようであり、この時点では民からも信頼される善き王として君臨していたと思われます。
ですがその後に巫王は次第に狂気を帯びるようになり、完全に常軌を逸した巫王による恐怖政治が始まり、それからクーデターにより統治が終わるまでの50年間リターニアは暗黒の時代を送ることになります。
巫王のアーツは詳細が語られていないため具体的なものは分かりませんが、人体を分解して塑像に変えることが出来たようであり、アーツによって直接人体に働きかけることができたようです。
この巫王のアーツはリターニアにおいて秘密裏に研究が続けられており、マドロックの小隊を襲った術師は感染者の体内の源石を利用してアーツユニットにすることが出来たようです。
また近年の感染者に対する対応の悪化には、この巫王のアーツ研究も影響しているようであり、感染者を奴隷として捉え実験体とする等されているようです。
なおローグライクにおいて、6層に到達するためのアイテム「インスピレーション」を入手できるイベントから、かつて巫王のアーツ研究を行っていたアーレンツという人物がクリムゾン劇団に助力をしたことが伺われ、もしかしたらかの劇団にも巫王のアーツが何かしらの形で受け継がれているのかもしれませんね。
リターニアのモデル国家
最後にリターニアのモデルとなった国について考察していきましょう。
Leithaniaの表記からは、1867年以降のオーストリア=ハンガリー帝国のオーストリア帝冠領を示す"Cisleithanien"(ツィスライタニエン)、ハンガリー王冠領を示す"Transleithanien"(トランスライタニエン)が想起されます。
実際、アークナイツにおいては当初リターニアの英語表記は"Leithanien"とされており、これが変更されてLeithaniaとなっています。そのためか、初期実装のエイヤフィヤトラ、アーススピリット、カーディのプロファイルにおいては[Place of Birth]の欄にはLeithanienと記載されています。
この二つの呼び方は、オーストリア帝国とハンガリー王国の国境となっていたライタ川を基準に、オーストリア側から見てこちら側、あちら側を分けたものです(ハンガリー側から見た場合には、それぞれハンガリー語で"lajtáninnen"と"lajtántúl"と呼ばれることになります。)。
オーストリア=ハンガリー帝国は、オーストリア帝国が1867年のアウスグライヒ(和協)によりハンガリー王国の建設を認めたことで発足した二重帝国です。元はハプスブルク家を君主として統一されていたハプスブルク帝国が、1866年におきたドイツ統一の主導権を巡るプロイセンとの闘いで大敗を決し、これに合わせてオーストリア帝国内の非ドイツ系民族が活発に自治・権利を獲得するための運動を行ったため、ハンガリーのマジャール人を政治的パートナーにすることを決定し、アウスグライヒという協定がなされました。
リターニアでは、協議ではなくクーデターによりかつての当事者であった巫王が倒され、恐怖政治が終わり、双子の女帝が玉座についています。このクーデターは恐らく選帝侯が秘密裏に計画していたものであり、住民が自治・権利を獲得するために行ったものではないようにも読み取れます。実際、このクーデターによって貴族は権力を再び得ることになり、リターニア内で急進主義と封建主義との対立が起こっています。
この違いが果たしてどのような影響を及ぼすのかにも注目していきたいですね。
なおオーストリア帝国の公用語はドイツ語です。レインボーシックスシージとのコラボで実装されたオペレーターBlitzはドイツ出身であるところ、彼のプロファイル資料にはEN版でのみ加筆がされています。
この記述からリターニアの言語は私たちの国でいうドイツ語に近いものと分かり、やはりオーストリア=ハンガリー帝国がモデルの一つにあると思われます。
なお、カーネリアンの雇い主であるホーエンローエ伯爵は、恐らくかつてドイツ・フランケン地方を治めた貴族一門のホーエンローエ家から、またエイヤフィヤトラの両親が勤めていたウィリアム大学(William University)は、彼女のファミリーネームがナウマンであることから、ドイツの地質学者であり、日本とも関係の深いハインリッヒ・エドムント・ナウマンが講師を務めていた、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(Westfälische Wilhelms-Universität)から来るものと思われます。
このことからドイツの要素も見ることができ、オーストリア=ハンガリー帝国の時代と合わせるならばドイツ帝国もモデルの一つにあると思われますね。
おまけ・ローグライク秘宝まとめ
リターニアの王笏/LITHANIEN SCEITAS
至宝の指輪
リターニア栄誉勲章
「アーツジャマー」
断杖・術を織り成す者
断杖・詠唱
「フレリーベの左目」
*cf.「フレリーベの右目」
ガリア皇后のティアラの一部であり、現在はロンディニウム王立博物館に保管されている。皇帝の崩御を知った彼女は、最後の時まで敵と戦うことを決意した──国家の為に、今は亡き夫の為に。
「ズルカマラ」
『傍観と凡庸』
*cf.『カンドの花』
石版に掘られたこの叙事詩は、800年前のガリアで活躍した詩人による傑作である。後世の文学家はこの詩を高く評価しているが、歴史的資料によると、その詩人は太った体と醜い顔立ちで人々から嘲笑されていたらしい。
『この世の美と醜』
15年前に出版されたヴィクトリアの伝説的な著作。著者の美学とそれに関する多くの文学、芸術、音楽の知識と歴史までもが簡潔に記されている。本書の内容は古今東西を網羅し、誰にでもわかりやすく、「今世紀の芸術大典」と呼ばれている。しかし著者はとある小さな劇団の劇団長にすぎず、数年前に「クリムゾンソリティア」というコードネームの暗殺者に殺されたと噂されている。
身代わりのネッカチーフ
狂った高塔の魔術師は、特別なパーティーを主催した。体面を気にしてホールに集まった賓客たちは、幕開けの瞬間の目撃者である。
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パーティーに赴く
インスピレーション
巫王のかつての信者は、芸術にその身の全てを捧げた。血肉も、骨も、信仰も、魂も。
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信者の会合
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