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『リターニア王国』まとめ・考察

几帳面かつロマンティック、それがリターニアである。
その開放的で色濃い学術文化は、多彩で奇想天外なアイディアを日々積極的に受け入れている。そして古い幻想を元にした研究の成果が、リターニアを日々成長させ続ける原動力となっている。

TERRA EXPLORATION

リターニアとは

正式名称はリターニア王国であり、英語表記はLeithania(the Kingdom of Leithania)です。主としてキャプリニーが暮らしているようですが、ペッローのカーディもリターニア出身のため、他種族も暮らしているようです。

現君主は「双子の女帝」と呼ばれており、一人は金ぴか、もう一人は黒ずくめの容姿をしているようです。前君主の巫王をクーデターにより殺害した後に君主となりましたが、術師としての能力は巫王に軍配が上がり、今なお極秘裏に巫王のアーツ研究がなされているようです。なお女帝の一人は「声を失った」とされており、これが比喩的な意味なのかどうか定かではありませんが、現体制にはヒビが入っていることが伺えます。

ズオ・ラウ
一年前に、炎国はあることに気付きました。
ヴィクトリアで事変が生じて、ウルサスの動乱が収まる気配は全くなく、リターニアでは女帝の一人が声を失った。
この大地はまもなく混乱を迎えます。炎国は来るべき嵐に備えなければなりません。

IW-9戦闘前

ロドスにおいては、エイヤフィヤトラ、アーススピリットがリターニア出身かつリターニア陣営、カーディ及びTouchはリターニア出身のロドス陣営、カーネリアンはサルゴン出身ですがリターニア陣営に属しています。

また『ニアーライト』で登場したヴィヴィアナ・ドロステ、『風雪一過』での黒騎士ことデーゲンブレヒャー、『ファントムと緋き貴石』の黒幕「劇団の喉舌」、クリムゾン劇団の演者「ズルカマラ」もリターニア出身です。またイグゼキュターが追うアルトリアという人物も、今はリターニアにいる可能性が高いようです。

後述しますが、リターニアはアーツが発達した国であり、アーツを使用できないカーディ及びデーゲンブレヒャ―はあまり馴染めなかったとのこと。逆にアーツに秀でているカーネリアンは、リターニアの術師からもその実力を買われているようです。他方でヴィヴィアナはアーツに秀でているものの、貴族の私生児であったことからリターニアを追放されることとなり、貴族間の権力闘争も繰り広げられているようです。

地理的状況

リターニアの地理的状況を見ていきましょう。

製作者:ニココガタリ(@nicoco_taro )

隣接している国はウルサス、シラクーザ、ヴィクトリア、カジミエーシュの4つがあります。後述するように、リターニアのモデルは、かつてのオーストリア=ハンガリー帝国及びドイツ帝国が予想されます。隣接する国がそれぞれロシア、イタリア、イギリス、ポーランドをモデルに含むことを考えると、概ね地球における地理的関係とも一致します。

またかつての大国ガリアがフランスをモデルに含むと考えられ、これもまたリターニアに隣接していたと考えられます。

このように多くの大国と隣接する状況にあることから、国家間での衝突も多かったと予測され、地政学的に争いの多い国ではないかと考えられます。現にガリア崩壊の原因となった四皇会戦にはガリア、ウルサス、ヴィクトリア、そしてリターニアが参戦しており、そもそも四皇会戦の原因となったのもガリア・リターニア間での戦争です。

現在はガリアこそ滅んだものの、ウルサス、そしてヴィクトリアが国力を付けてきており、今なお争いの危険は大きいと言えるでしょう。

文化

リターニアの文化を見ていきましょう。

リターニアは学術文化が色濃く発展しています。現在判明しているだけでも、ウィリアム大学、シューマン芸術学院、ティッセン美術大学、グルク私立学院と4つの学術機関が確認されています。

特に音楽に関して発展しているようであり、天災トランスポーターとして各地を飛び回るプロヴァンスが「音楽学校ばっかりのリターニア」と述べています。またアーススピリット曰く、リターニアでは高い音楽的素養を持った人は、高いレベルの教育を受けた人だと見なされるとのこと。

『ウォルモンドの薄暮』において登場した地名の「ドデカフォニー」も十二音技法という音楽に関する用語であり、アーススピリットの先生であるバッハマン教授も音楽家のヨハン・ゼバスティアン・バッハに由来するものと思われます。アーススピリットがオルガンを得意とするのも、バッハがオルガンの演奏家であったことに由来するのでしょう。

同時にアーツ技術もリターニアの代名詞であり、義務教育の一環としてアーツが組み込まれているほどです。そのため街の車引きといった労働階級、つまりは高等教育を受けていないような者でも簡単なアーツが使用できるとのこと。

サルカズ戦士
アーツはリターニアの義務教育の一環でもあるんだ。ここじゃ街の車引きですら、簡単なアーツは使える。火を放つくらいはやってのけるだろう。

TW-7戦闘前

ですが、このアーツ技術の発展は同時に負の面も生じさせており、後述する巫王の他、アーツを使えない場合にはリターニア国内で良い待遇を受けることは出来ないようです。

ロドスに入る前、カーディは大都市への好奇心に駆られて、故郷を離れ、リターニア中心部のあちこちで仕事を探しに行った。しかし中心部ではアーツ技術が浸透しているため、アーツを使えないカーディにとってはかなり馴染みにくかった。

カーディ第三資料

デーゲンブレヒャー
「アーツを使えないリターニアの不良品」から、「天性の武者」って呼ばれるようになるまで、どれだけかかったか知ってる?

BI-8戦闘後

なお、音楽とアーツには不思議な繋がりがあるようであり、このことがリターニアでの音楽とアーツの発展に繋がったのでしょう。

社会環境

リターニアの社会環境について見ていきましょう。

リターニアは貴族社会であり、貴族は高塔と呼ばれる場で地上で暮らす一般市民とは関わらずに生活しているようです。この貴族社会は一度巫王の時代に恐怖政治の下で鳴りを潜めることになりますが、双子の女帝により巫王が殺害されてから数十年で改に蘇ったようです。

リターニアの貴族間では権力闘争が繰り広げられており、リターニアで私生児として生まれたヴィヴィアナがリターニアを離れたのも、この権力闘争において父である大貴族の弱点となることが理由とされています。

リターニアの巫王時代が双子の女帝の手で幕を引かれてから数十年、この国は恐怖から蘇り、貴族たちは再び権力を手にしました。女帝たちの下で繰り広げられる醜い権力闘争を、私たちはたくさん見てきました。
*発言者アーミヤ

カーネリアン第四資料

ヴィヴィアナ・ドロステ。これがあなたの名前。
あなたの存在は、一族の恥……ほかの貴族に知られれば、あなたの父上を攻撃するいい口実になってしまう。
あなたは秘密裏に追放されるか、いっそのこと処刑されるべきだ。この高塔に赤子の泣き声など響かない方が良かったのだ。
~~~~
なんと尊く哀れなことだろうか。……高貴な父も、卑しい身分の母も――彼らは二人とも、あなたを愛しているのだ。

NL-4戦闘後

他方『ウォルモンドの薄暮』で敵として登場する「リターニア反乱兵」の説明には、急進主義、つまり革命等の手段により、既存社会や価値観の根本的変更を主眼とする政治原理を持つ者との記載があります。

様々な要因があったとはいえ、この封建主義と急進主義との衝突、感染者に対する対応の悪化により暴動が起きたのがウォルモンドでの事件です。ウォルモンド自体は一つの街に過ぎませんが、急進主義を掲げる者が「リターニア」への反乱軍として描かれていることから、恐らくはリターニア全土において似たような暴動の火種が燻っている可能性が高いでしょう。

なお後述するように、リターニア国内では未だに巫王を支持する層もいるようであり、巫王のアーツ研究が秘密裏に続けられているようです。

リターニア感染者
あの術……感染者の命を弄ぶアーツは……
あれは……もう存在しない類のものだ。だが少数の貴族が、今も研究を続けている……
あいつらは塔の侍従か、アーツの研究者である可能性が高い……あいつらは、あいつらは……

『在りし日の風を求めて』‐振り返る

このことからも、双子の女帝を支持する現体制と、巫王を支持していた旧体制間での争いもあるのかもしれませんね。

感染者に対する対応

フォリニック
リターニアはアーツが普及しているおかげで、他の街とは違う特色が二つあるわ。一つ目は音楽とアートが盛んなこと、もう一つは感染者に対して寛容なことよ。
感染者は完全に自由って訳にはいかないけど、少なくとも、対価を払うことで生活の権利を得られる。

TW-1戦闘前

感染者に対する対応を見ていきましょう。

リターニアは高度なアーツ教育が普及している国家です。そのため体内の源石を使用してアーツを使用できる感染者にも、ある程度寛容な政策が採られてるようです。

フォリニック、
……隔離エリアはこのすぐ隣よ。それなのに騒ぎを起こしていた感染者が追い払われた後は、すっかり静かになった。
スズラン
えっと……他の場所とそんなに変わらない様子ですね。
フォリニック
そうね。いろんなお店に喫茶店、コンサートホールにアートサロンの広告だって出てる……
ここに住んでる感染者は、衛兵に捕まることも、凍土に放逐されることもない。普通の生活空間があるだけじゃなく……何て言うか、いい生活ができてるみたい。

TW-1戦闘後

ドデカフォニー通りを始めとして感染者居住区が定められており、その区域内での生活が許されています。区域内には喫茶店(飲食)、コンサートホールやアートサロン(娯楽)があり、ウルサスに代表されるような、感染者であれば問答無用で排除するような国と比べ寛容な国といえます。

ただし『ウォルモンドの薄暮』と『灯火序曲』のエピソード「異類」での記述を見る限り、実態は感染者を区域に閉じ込め、有事の際には感染者区域ごと切り捨てたり、劣悪な待遇を受けたりするような状況にあるようです。

フォリニック
普通の住民だけじゃなく、感染者もたくさんいるみたいね。でもそれは別に重要じゃない。
さっき暴徒たちを抑えてるときに思ったの。このエリアは、規模的には小街って感じよね。
そこにただ感染者たちが集まって生活してるだけで、表面上は非感染者との差別も見られないけど……
スズラン
はい……
フォリニック
でも実際は、感染者たちは自由を奪われてるんだと思う。あの「利用価値のある」人たちを除いてね。だってほとんどの感染者は、この小街で一生過ごすんでしょう?
それって、監獄が一つの街に変わって、監獄仲間が何十倍にも増えただけよ。

TW-2戦闘前

カーネリアン
君たちは?ここの領主はずっとこうなのかな。感染したら、衛兵に捕まるの?
少女
……ここも元はこんなふうではありませんでした。
両親が採掘場で働いているので、私たちは採掘エリアに最も近い街に住んでいます。そこで多くの人が感染してしまいました。
坑道で働くおじさんやおばさんたちも、みんな最後にはこの病気にかかり、体から石が生えてしまいます。それでも仕事を続けなければいけません。
少しでもお金がある偉い人たちは街に足を踏み入れませんし、まだ健康な人は、なんとかして早くそこから出て行こうとします。
カーネリアン
隔離エリアみたいだね。
少女
似ていますね。でも聞いた話では、待遇の良い隔離エリアはお金を払わなければ住むことができないそうです。そこではパンも支給されるらしいですが、ここではそんな待遇は受けられません。
でもこんな状況であっても、私たちはどうにか暮らしていけます。
カーネリアン
暮らし? 君の両親のように採掘場の労働者として、一生街から出ないことを言ってる?
少女
……それもそう悪いものじゃありません。住む場所があって、お金をもらえる仕事がある、それで十分です。
少なくとも以前はそう思ってました。
でも坑道が崩れ、両親は帰ってきませんでした。街の大通りは突然衛兵たちに封鎖され、彼らは道行く人を捕え始めたんです。
それから……それから誰も外へ出られなくなり、みんな家でじっとしていました。でも衛兵たちは一軒一軒押し入ってきて……私たちが一体何をしたというんです?

『灯火序曲』‐異類

先述したようにリターニアは貴族社会であり、貴族階級と貧民である感染者階級との間では大きな格差が存在します。

同時に感染者の対応については近年悪化しているようであり、感染状況が深刻だったケオベがリターニアの警察等に捕まってしまった場合には「殺処分」される可能性があったようです。「処分」という単語が使用されていることからも、ある程度感染者に寛容とはいえ、やはりその扱いは良いとは言えないのが現状でしょう。

ハイビスカス
それにリターニア分会の会長さんも言ってたじゃない。
「彼女(ケオベ)を見つけてくれたのが、君たちでよかった。リターニア警察や賞金稼ぎに捕まっていれば、彼女に救いはなかっただろう。」
「最近のリターニアの感染者に対する政策から鑑みると、この感染状況では、殺処分されてしまう可能性が高いからな。」
「彼女が生きるために……もしできることなら、リターニア領外まで連れて行ってやってほしい。どうかよろしく頼む。」って。

『午後の逸話』‐流れ者の帰る場所


巫王

巫王について見ていきましょう。

巫王はリターニアの先代統治者であり、テラ史上最も偉大で最も悪名高く、最も強大な術師です。その角は不気味な形にねじ曲がり、奇妙なエネルギーを放っているとの噂があるようですが、常に塔から全土を見ており、塔から降りてくることはごく稀だったとのこと。写真ですらその姿を写したものがないとのことから、実際に彼の姿を見たものは限られると思われます。

巫王については統合戦略『ファントムと緋き貴石』の公式サイトにおいて登場する「リターニアの王笏」に詳細な情報が記載されています。

その説明によれば、巫王は齢五十近くの頃に選帝侯たちにより玉座に担ぎ上げられ、名目上の統治者となったようです。ここにいう選帝侯とは、神聖ローマ帝国においてドイツ王とも呼ばれるローマ王、つまりは君主に対する選挙権を有する貴族を言います。

最初の十年は統治者として優れた才能と見識、また術師としての能力を見せていたようであり、この時点では民からも信頼される善き王として君臨していたと思われます。

ですがその後に巫王は次第に狂気を帯びるようになり、完全に常軌を逸した巫王による恐怖政治が始まり、それからクーデターにより統治が終わるまでの50年間リターニアは暗黒の時代を送ることになります。

巫王のアーツは詳細が語られていないため具体的なものは分かりませんが、人体を分解して塑像に変えることが出来たようであり、アーツによって直接人体に働きかけることができたようです。

この巫王のアーツはリターニアにおいて秘密裏に研究が続けられており、マドロックの小隊を襲った術師は感染者の体内の源石を利用してアーツユニットにすることが出来たようです。

リターニア感染者
体が……源石の結晶が、体内で暴れて――あ――あ――うああぁ――
サルカズ戦士
やつらは……感染者をアーツユニットそのものにしているとでもいうのか?
そんなこと……あり得ない! 術師はどこだ? こんなアーツ……一体どうやって!?
~~~~
サルカズ戦士
敵が近くにいるのを感じる。これは巫術の類だ……現代のアーツで説明できるものじゃない……
やつらは……感染者の――ガハッ――体内の源石を利用しているんだ……!

『在りし日の風を求めて』‐振り返る

また近年の感染者に対する対応の悪化には、この巫王のアーツ研究も影響しているようであり、感染者を奴隷として捉え実験体とする等されているようです。

カーネリアン
そこで黙りこまないで欲しいな。前に君たちがアーツを使うとき、奴隷たちを連れていたのを見たよ、あれってみんな感染者だよね?
カーネリアン
どうやら巫王が残した暗黒の記憶は、未だに根深く残ってるみたいだね。あんな残酷な術を研究している人がまだいるなんてね……
カーネリアン
君たちが感染者を捕まえるのは、それのためなんじゃない?

『灯火序曲』‐異類

なおローグライクにおいて、6層に到達するためのアイテム「インスピレーション」を入手できるイベントから、かつて巫王のアーツ研究を行っていたアーレンツという人物がクリムゾン劇団に助力をしたことが伺われ、もしかしたらかの劇団にも巫王のアーツが何かしらの形で受け継がれているのかもしれませんね。

リターニアのモデル国家

最後にリターニアのモデルとなった国について考察していきましょう。

Leithaniaの表記からは、1867年以降のオーストリア=ハンガリー帝国のオーストリア帝冠領を示す"Cisleithanien"(ツィスライタニエン)、ハンガリー王冠領を示す"Transleithanien"(トランスライタニエン)が想起されます。

実際、アークナイツにおいては当初リターニアの英語表記は"Leithanien"とされており、これが変更されてLeithaniaとなっています。そのためか、初期実装のエイヤフィヤトラ、アーススピリット、カーディのプロファイルにおいては[Place of Birth]の欄にはLeithanienと記載されています。

この二つの呼び方は、オーストリア帝国とハンガリー王国の国境となっていたライタ川を基準に、オーストリア側から見てこちら側、あちら側を分けたものです(ハンガリー側から見た場合には、それぞれハンガリー語で"lajtáninnen"と"lajtántúl"と呼ばれることになります。)。

オーストリア=ハンガリー帝国は、オーストリア帝国が1867年のアウスグライヒ(和協)によりハンガリー王国の建設を認めたことで発足した二重帝国です。元はハプスブルク家を君主として統一されていたハプスブルク帝国が、1866年におきたドイツ統一の主導権を巡るプロイセンとの闘いで大敗を決し、これに合わせてオーストリア帝国内の非ドイツ系民族が活発に自治・権利を獲得するための運動を行ったため、ハンガリーのマジャール人を政治的パートナーにすることを決定し、アウスグライヒという協定がなされました。

リターニアでは、協議ではなくクーデターによりかつての当事者であった巫王が倒され、恐怖政治が終わり、双子の女帝が玉座についています。このクーデターは恐らく選帝侯が秘密裏に計画していたものであり、住民が自治・権利を獲得するために行ったものではないようにも読み取れます。実際、このクーデターによって貴族は権力を再び得ることになり、リターニア内で急進主義と封建主義との対立が起こっています。

この違いが果たしてどのような影響を及ぼすのかにも注目していきたいですね。

なおオーストリア帝国の公用語はドイツ語です。レインボーシックスシージとのコラボで実装されたオペレーターBlitzはドイツ出身であるところ、彼のプロファイル資料にはEN版でのみ加筆がされています。

Due to his natural linguistic abilities, Blitz has already grasped three or four our[sic] most commonly used languages, his most well-versed one being Leithanien.
"It sounds just like the language of my home town. Very familiar, except with a completely different set of rules when it comes to grammar, characters, and spelling."
(これは俺の故郷の言語と同じように聞こえる。うん、聞きなれた音だ。ただ文法と文字、あとスペルは全く違うね。)*太字部分加筆箇所、当該箇所のみ訳

Blitz-Archive 3

この記述からリターニアの言語は私たちの国でいうドイツ語に近いものと分かり、やはりオーストリア=ハンガリー帝国がモデルの一つにあると思われます。

なお、カーネリアンの雇い主であるホーエンローエ伯爵は、恐らくかつてドイツ・フランケン地方を治めた貴族一門のホーエンローエ家から、またエイヤフィヤトラの両親が勤めていたウィリアム大学(William University)は、彼女のファミリーネームがナウマンであることから、ドイツの地質学者であり、日本とも関係の深いハインリッヒ・エドムント・ナウマンが講師を務めていた、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(Westfälische Wilhelms-Universität)から来るものと思われます。

このことからドイツの要素も見ることができ、オーストリア=ハンガリー帝国の時代と合わせるならばドイツ帝国もモデルの一つにあると思われますね。

おまけ・ローグライク秘宝まとめ

リターニアの王笏/LITHANIEN SCEITAS

昔々、巫王の王笏には昼と夜が流れていた。

 リターニア先代の統治者であり、テラ史上最も偉大で最も悪名高い術師でもある巫王の王笏。彼がリターニア人にもたらした深刻な苦難と、その後に双子の女帝が帝位を継ぎ、二人の女帝がともに権力を握るという特殊な状況が生まれたことから、王笏はリターニア統治者のレガリアとして使われなくなり、リターニア女帝図書館の収蔵品とされた。
 この王笏はもとは巫王自身のアーツユニットだった。巫王が選帝侯たちによって玉座に担ぎ上げられ、リターニアの名義上の統治者となったのち、選帝侯たちの合意を得てこのアーツユニットがリターニアの象徴とされた。それ以来、この王笏は巫王の残虐な統治を見届けてきた。統治がはじまった最初の十年、巫王は統治者として非常に優れた才能と見識を見せた。また人々はアーツを極める道のうえで、巫王に勝る術師など存在しないということを知った。しかし、巫王の掲げる統治理念と方針は次第に狂気を帯びるようになっていった。その後、完全に常軌を逸した巫王が五十年ものあいだ統治を続けた結果、この国はすっかり闇に閉ざされ、救いの道などどこにもないような状態となった
 ガリア皇帝がリターニアに使者を送り、その属国として従えようとしたとき、この暴虐な術師の王はその怒りを示す返答として、リターニアに来た使者の一行をすべてアーツによって分解し、塑像に再構築してガリアに送り返した。これより、四皇会戦の発端となるガリア-リターニア戦争がはじまったのである。
 他国の支援を得てリターニアは勝利を収めることができた。しかし彼らの故郷も戦火によって荒廃し切っていた。そして見上げれば、いまだに冷酷な巫王は君臨を続けている。戦勝によってガリアの領土と人材、技術を手にした選帝侯たちは、秘密裡にリターニアを救うためにある計画を実行したのだった……

至宝の指輪

リターニアの神話が語るところによれば、この指輪を手にすれば大地の財宝が全て手に入るが、最後には貪欲さに身を滅ぼされる運命が待ち受けている。

リターニア栄誉勲章

二人の女帝が一緒に同じことをするのは稀で、芸術の創造者への勲章の授与はその中の一つだ。

「アーツジャマー」

リターニア人のアーツは音楽と密接に結びついていることから、誰かが騒音を用いてアーツに対抗するという馬鹿げたアイデアを思いついた。

断杖・術を織り成す者

リターニアで塔を仰ぎ見る時は、しばしば不思議な現象を見かける……時には、不思議な天象と呼ぶ方が正しい場合もある。

断杖・詠唱

音楽とアーツには不思議なつながりがある。しかしそれは誰かさん達の音痴の言い訳にはならない。

「フレリーベの左目」

ガリア皇后のティアラの一部であり、現在はリターニア女王図書館に保管されている。彼女は全ての侍従に暇を出し、あらゆる罪人を釈放したのち、かつて夫が座っていた玉座に座り、侵入者の到来を待った──彼女は敵の凶刃に倒れるのではなく、源石結晶で死ぬことを決意した。

*cf.「フレリーベの右目」
ガリア皇后のティアラの一部であり、現在はロンディニウム王立博物館に保管されている。皇帝の崩御を知った彼女は、最後の時まで敵と戦うことを決意した──国家の為に、今は亡き夫の為に。

「ズルカマラ」

「クリムゾン劇団」の一員の遺品。「ズルカマラ」は、リターニアの有名なミュージカル俳優である。「リターニアの高塔に咲くズルカマラ」と呼ばれた彼女は、多くの貴族とプライベートな関係を持ち、それによって貴族間の争いを引き起こそうとしたと言われている。

『傍観と凡庸』

有名な美術品、200年前のリターニアの狂気の彫刻家の遺作である。その彫刻家は溢れる才能だけでなく、残忍な連続殺人事件に関与したことで知られる。しかし歴史的資料によれば、当時彼の作品が注目されることはなく、その美貌ゆえに崇拝されていたようだ。

*cf.『カンドの花』
石版に掘られたこの叙事詩は、800年前のガリアで活躍した詩人による傑作である。後世の文学家はこの詩を高く評価しているが、歴史的資料によると、その詩人は太った体と醜い顔立ちで人々から嘲笑されていたらしい。

『この世の美と醜』
15年前に出版されたヴィクトリアの伝説的な著作。著者の美学とそれに関する多くの文学、芸術、音楽の知識と歴史までもが簡潔に記されている。本書の内容は古今東西を網羅し、誰にでもわかりやすく、「今世紀の芸術大典」と呼ばれている。しかし著者はとある小さな劇団の劇団長にすぎず、数年前に「クリムゾンソリティア」というコードネームの暗殺者に殺されたと噂されている。

身代わりのネッカチーフ

狂った高塔の魔術師は、特別なパーティーを主催した。体面を気にしてホールに集まった賓客たちは、幕開けの瞬間の目撃者である。

*入手イベント
パーティーに赴く

パーティーに赴くリターニアの貴族たち、その中の一人があなたに教えてくれる。
パーティーの主催者は舞台マニアで、何につけても大げさで贅沢を極める高塔の術師。招待客に対しても要求が高いらしい。
その貴族はあなたをチラッと見て、少し考えてからこう言った。
もしあなたもパーティーに参加したいのなら、彼の招待状をあなたに譲り、ただで彼と同じような相応しい服をくれるという。
~~~~
リターニアの貴族が安堵のため息をついて言うには、パーティーの主催者は禁じられたアーツの研究に没頭し、ここ数年は言動がどんどん狂気じみてきているらしい。
しかし幸いなるかな、あなたが代わりにパーティーに参加してくれるのだ。

インスピレーション

巫王のかつての信者は、芸術にその身の全てを捧げた。血肉も、骨も、信仰も、魂も。

*入手イベント
信者の会合

部屋から諍いの声が漏れてくる。注意深く耳を傾けると、強いリターニア訛りの中から一言二言聞き取ることができた。
「彼は本当にパーティーの参加者を皆殺しに? あの何とかという演劇のためだけに?」
「だから俺は言ったんだ、アーレンツを俺らの計画に触れさせるべきじゃないと。あのクリムゾン劇団に遭遇してから、奴は狂っちまった!」
「そんなふうに言うなよ、アンドレアス。少なくとも彼は偉王のアーツに関して確かに研究を進めた。それに、私もあの芸術家たちはなかなか悪くないと思うよ……」
「ハッ、お前も発狂する日が近いと見たぜ!」
~~~~
部屋の中には誰もおらず、折れた長い杖だけが床に転がっている。
さっきまで聞こえていた諍いの声は、あなたの幻聴にすぎなかったようだ。


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