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そして次の日すべてを忘れたんだなあ まるを -1ヶ月書くチャレンジ Day21-

こんにちは。まるやまです🍡

気づいたら書くチャレンジのテーマが残り10個を切るところでした。8月1日に始めましたから、もう夏が終わるってことですか? そんな……。どうりでセミが鳴かなくなったと思いました。季節の移り変わりって年々はやくなりますね。

21日目のテーマは「これまでで1番のチャレンジ」です。

チャレンジというと大げさな気がしますが、好奇心が旺盛なために新しい扉をノックもせずに開ける機会はちょっとだけ多い方かもしれません。

その中で、いままでにやったことも見たこともない、知識もない、激高いハードルにチャレンジするため全速力で駆けて行って越えねばならぬ棒の下を転がってゴールした話を書いてみます。

チャレンジしたのは「プロ野球のグッズスタッフのバイト」です。

スポーツ好きの方には申し訳ない話で、いままで生きてきて野球と触れ合ったことがありません。

プロ野球に関しても本当に無知でして、ドームで観戦どころかテレビ中継もちゃんと見たことがないと思います。家族にスポーツ好きがいないのもありますが、この辺りはわりと環境に左右されるような気もします。

わたしは大学生の頃にアルバイトをいくつか掛け持ちしていました。そのうちのひとつが「派遣のイベントスタッフ」です。

その名の通り単発でイベント手伝いに行く仕事です。アーティストのコンサート、ミュージカルや演劇、アイドルの握手会、ショッピングモールの抽選会などさまざまな案件があります。

その日のイベントでいちばん自宅から近かったのが某ドームでした。プロ野球の試合は初めてですが、何とかなるやろ精神で応募しました。

ここでチケットもぎりとか、飲食ブースの接客とか、ビールやアイスを下げてスタンド席を練り歩く売り子だったらまだ良かったかもしれません。

わたしは「超多忙」と言われるホームチーム側のグッズ売り場に振り分けられました。

デーゲームで100万は優に超える売上だったと記憶しています。歴戦の武士みたいな表情を携えた手練れのスタッフたちとぼやっとした寝ぼけ眼のわたしの邂逅シーンは、お互いになかなか言葉に表しづらいものがあったと思います。

当日は研修が一時間ありました。そこでひと通りレジ打ちや野球のルールや会場のエリアごとに付いている名前などを叩き込まれました。

グッズ売り場はガラスケースに物品が所狭しと並んでいます。お客様は欲しいものを口頭で伝え、わたしたちが取って会計をします。レジは電卓の手打ちで現金のみの扱いです。グッズを集めて袋詰めする係と会計の係で二人1組のバディ制でした。

だいたいのグッズは選手の顔や背番号だけ描かれています。いちいち誰が何番かを確認しているヒマはありません。

試合が始まる1時間後までにわたしがやるべき仕事はただひとつ。

「暗記」です。

ムキムキの選手たちはみんな同じ顔に見えるし、背番号と役割すら分からないから紐づけて覚えることもできません。

短い時間で記憶するのが最も苦手なわたしは、崖っぷちに立ったような心持ちでした。

受験でもここまでやらなかったというくらい目ん玉かっぴらきます。英単語が入った記憶の引き出しはひっくり返して空にし、ホームチームの情報をつるつるの脳に刻み込みました。

できなければレジでもたつくことになります。波のように押し寄せるメガホンを持ったファンから怒号を喰らうのだけはイヤだ〜! と謎の被害妄想をしながら、必死に叩き込みました。

人って追い詰められたらなんだってできるみたいです。

正面ゲートからお客様が入る頃には、選手名を言われれば0.5秒で背番号を、背番号を言われれば1秒で選手名を完璧に答えられるようになりました。

同じ場所を担当するもうひとりの新人ちゃん(野球好き)が猛練習に付き合ってくれたおかげです。顔も名前も忘れたけれど、スパルタ加減は忘れられません。今でも感謝しています。

ゲームスタート直前になりました。早朝とは打って変わってキリッと真顔になったわたしに、頭頂部までギュッと上げたポニーテールの鬼チーフがこう告げます。

「まるやまさん、あなたにはレジじゃなくて裏で在庫を数える担当をしてもらいます」

そんなことってある?

デイゲームが進むにつれて戦場と化すグッズ販売ブースを遠目で眺めながら、ひたすら数を数えるお仕事に注力した3時間半でした。

バイトとしては期待外れな結果だったかもしれません。ですが、あれは受験の勉強よりももっと強烈に「本気でチャレンジすればできる」感覚を植え付けてもらえた貴重な機会でした。

この記事は、いしかわゆきさん著「書く習慣」の巻末で提案されている「1ヶ月書くチャレンジ」を実践しています。
30個のテーマを1日1個ずつ書いていきます。


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