電球

出張から帰ってきた日、玄関の扉を開けて明かりをつけようとスイッチを押したのだが、何度押しても明かりはつかなかった。

ついに電気も止められたか。この前水道を止められて水道局まで料金を払いに行った経験をしたばかりの私はそう考えたが、そもそも電気料金はクレジットカード払いにしているのだからそんなはずはないとすぐに思い至り、次にブレーカーを怪しみ探ってみた。

落ちてなかった。では何だというのか。真っ暗な玄関で靴を何とか脱ぎ捨て、リビングへ向かいスイッチを押す。リビングの電気はついた。

なんだ、玄関の電球が切れていただけか。どうやら玄関の電球をつけっぱなしで出張へと向かっていたらしい。

あーでもこういうところが自分の駄目なところの一つだ。母親に電気をつけっぱなしにするなと言われてきたはずなのに、全く学習しちゃいない。

そういうところが駄目なんだ。何も学びはしない。ずっとそうだ。同じことを繰り返してる。学ばない。学べない。同じ失敗を何度も繰り返す。そうして人生を暗くしてるのは自分だ。笑えない。明かりがない。馬鹿馬鹿しいな。つけっぱなしだった換気扇が音を立てて笑ってるよ。散乱してるゴミが俺の頭の中を表してるよ。

もう面倒くさくなって色々後回しにして寝て、起きて、寝て、起きて……


玄関はまだ暗いままだ。

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