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働き蟻

今日も朝から仕事だ。素早く食事を済ませ身支度をし、一晩中仕事をしていた 連中と交代するために僕は持ち場に向かう。

途中で兄貴とすれ違う。

「やぁ、おつかれ。様子はどうだい?」

僕は通路の奥に顎を向ける。

「そろそろだろうな。気を抜くなよ」

兄貴は背を丸め疲れ果てているようだ。

「okay 、十分注意するよ」

兄貴と別れ通路を進む。すると仕事場の前で警備に呼び止められた。

「おはようございます!私に御用でしょうか?」

彼はもぐもぐ口を動かしながら答える。

「君は今日から外部担当に配置変更だ。物資調達は重要な任務だからしっかり頼むぞ」

「はい、了解しました」

やれやれ、折角出勤してきたら急な移動命令だ。しかし命令に逆らうことはできない。僕は外部に続く通路へと向かう。

物心をついた頃から働き詰めだった。外へ出るのは初めてではないが、今回は物資調達という、いわば花形の仕事だ。危険もあるが気持ちを引き締めて任務遂行だ。

手続きを済ませ、出入りの許可をもらい、幾つかの注意を受ける。

ヘッドセットを入念に手入れし、僕は外の世界へ向かう。

幾重ものセキュリティ、警護のメンバー、そして物資を運び込む仲間たちと  すれ違い、とうとう僕は外の世界に飛び出した。

紫よりもさらに偏移した波長に包まれた世界が広がる。ヘッドセットにさまざまな情報が入り込む。

「西、40067。微弱な反応」

「そちらは2分隊でカタがつく。アント部隊は南南西27227へ向かえ。大物が待ってるぞ」

「了解」

初仕事だ。僕は気合を入れて悪路を進んでいった。部隊の仲間も移動を始めた。


「あらあら、タケシちゃん。またケーキをこぼしたのね。アリさんがいっぱいきちゃったわね。あなた〜、殺虫剤持ってきてちょうだい〜」



おわり

新しいことは何も書けません。胸に去来するものを書き留めてみます。