カサブタ

何処で作ったか左腕の肘の辺りに擦り傷が出来ていた。

「やっ、参ったなぁ、まぁでも袖で隠れるからいいか」

大きめの絆創膏を貼り付け、俺は仕事に出かけた。

午前中の仕事を終え、昼休みになると、何やらちょっと痒い。

絆創膏を剥がしてみるとカサブタになっていた。

「なんだか大きくなってないか?、気のせいかなぁ」

午後は腕が気になって仕方なかったので、掛かりつけの医者に電話で予約を入れておいた。

「こりゃ見事なカサブタですな!」

左腕全体がカサブタに覆われていて俺はびっくりした。

「こここ、これは治りますか?先生、なんとかしてください」

「今夜が山ですな」

すっかり打ちひしがれて家に帰った。

「あら、あなた。顔色が悪いわよ」

「今夜が山だそうだ」

「どうしたの?病気?」

「カサブタなんだ」

ケラケラ笑いながら妻はキッチンに戻ってしまった。

その夜、俺は笠を被ったブタになり踊り続けた。

あソレ、カサブタじゃ、カサブタじゃ、あソレ、傘を被ったカサブタじゃ

カサブタじゃ、カサブタじゃ、あソレ、傘を被ったカサブタじゃ

あソレ、カサブタじゃ、カサブタじゃ、あソレ、傘を被ったカサブタじゃ

キリがない。もうどうにでもなれ!

薄れゆく意識の中で、俺は喚いた。



おわり


新しいことは何も書けません。胸に去来するものを書き留めてみます。