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silent〜佐倉想〜

「silent」は、観ていると色んな人へ(なんなら登場人物全員に)感情移入をしちゃってるので、一人をじっくり考えることにしました。
5話までの想に着目。
6話はちょっとまだ複雑に絡まって見えてこないので一旦置いておくことに。


「好きな言葉を紬ぐ人」
彼が言葉をとても大事にしていて、自分の言葉も好きな子からの言葉も大事にしていて。その手段が口で伝える以外の方法がなかった。筆談だってメールだってあるけど、それまでメールよりも電話を好んでいたお互いの好きなコトをひとつ失うということで。そんな悲しい想いをさせたくないから別れた。

でも再会して、3度目には自分がもっともスムーズにコミュニケーションがとれる手で好きな子が話をしてくれる。あの時の嬉しそうな想の笑顔がとても印象的。

古賀センセイの言葉で、向き合っていたようで逃げていた8年間を、好きな子に言葉にしてみようと思えた。その言葉を受け止めてくれると思えた。その決意が、一枚の手紙でもなく、メールでもなく、書きながらでもなく、あらかじめ用意した、一文一文を自分の想いを乗せて伝える方法があのノートだった。

主婦の目線からみると、そんな素敵なノートに、一ページ一文なんて勿体ないとか思っている情緒の欠片もない感想も、今この便利な時代に、あえて自分の文字で、目の前で話しかけるように言葉を伝える手段として、なんて効果的で素敵なことなんだろう。

だんだんとできないことが増えて、聞きたい言葉が聞こえなかったり、聞きたくない言葉は聞こえちゃったり。自転車に乗ることも躊躇われ。誰ともコミュニケーションがとれず、少しづつ溜まっていった澱を、何気なく話しかけてくれた奈々が掬ってくれた。

友達と楽しそうにおしゃべりしている姿に、自分もそんなふうに話せるようになりたい。別にたくさんの友達が欲しかったわけじゃなく、同情とか気遣いとかない、同じ目線でいてくれる奈々と話ができることが支えだった。もう紬とは叶わない言葉を交わせる相手。

紬が目の前に現れなかったら、紬が手話で話しかけてこなかったら、きっと想の未来には確かに奈々が隣にいたのだろうけれど。過去に無理矢理置き去りにしてきた紬への気持ちを、自分の言葉を聴こうとまっすぐ見てくれる紬の目を、自分もまた目を逸らさず見られるようになった時、紬に対しても、湊斗に対しても、何より奈々に対して、自分がしっかりけじめをつけないといけないと思えた。想にとって、奈々は紛れもなく支えだったから。

#silent #佐倉想  


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