人は忘れてしまう
私は今バリにいる。
サーフィンをするためだ。友達数人と気の知れたバリガイド達、現地で仲良くなった日本人のサーフコーチとその奥さん。
色々な人にサポートされてサーフィンを楽しんでいる。
一昨日までは。
今これを書いているのは病床の上で点滴を打たれながらである。
1週間前に冬の日本から常夏のバリにやってきて、疲労が取れないままにサーフィンを続けた結果、胃腸炎に見舞われ入院することとなった。
サーフィンはバリガイド、サーフコーチ、周りの友人が乗っているのを刺激にとても楽しい。
自分の課題としているテイクオフのダメなところもはっきりとわかり、改善するための実践と体力強化が必要なことを痛感している。
みんな良い人達で波に乗らせてあげよう、成長させよう、切磋琢磨しようという気持ちをひしひしと感じさせてくれるからつい自分もいつも以上に頑張ってしまう。
これ自体は良いサイクルである。今後も付き合っていきたい良い仲間だ。
ただ、忘れてしまっていたことがある。
自分は身体が弱く、日本でもここのところ運動があまりできていなかったことを。
無理をすればガタが来る。
睡眠を取らないと回復しない。
食事も身体に合わないと良くない。
そんな言われたら当たり前のことを忘れてしまう。いや、忘れているわけではない、あえて目を背けている。みんなと切磋琢磨したい、みんなの気持ちに応えたい。その気持ちを優先するあまり自分の身体を労われない時がある。
そもそも、労わり方を良く知っていないという方が正しいのかも知れない。
なんの成分か良くわからないがマルチビタミンを摂り、身体をほぐすためにマッサージガンを身体に当て、とりあえずたくさん寝ようとまたは疲労回復のために口数を減らす。
だけど、本当にこれが良いのかは良く分かっていない。特に口数を減らすなど楽しくない。
身体を労わり、食事を摂り、身体をほぐし、休め、トレーニングする。そのレベルの解像度では良いサイクルだと理解しているがそれ以上のレベルで自分の身体を理解しようとできる解像度には至っていない。
身体と心のバランスを取らないとどうなるかもすぐに忘れてしまう。
今回経験した体験、運が良かった部分もあるが、辛かったことの方が多い。いつでも振り返れるように記しておきたい。
それはバリに到着して4日目の昼に起こった。
軽い下痢である。
その日までは毎日、空港から降りてすぐから2ラウンドから3ラウンド毎日サーフィンを続けていた。
動画も撮ってもらい、改善点を見ながら普段湘南では体験できないサイズの大きな波に挑み続けた。頭前後の波だったかと思う。
初日、二日目、三日目と自分にとってはハードワークなサーフィンをし、二日目にはあまり綺麗ではない河口付近でのサーフィンもした。
その結果四日目のお昼が終わった頃から下痢をし始める。初めは軽い下痢で、少し調子が悪いなと思いつつ、ボートで行くポイントは腰胸くらいの簡単なポイントだという話であったのでせっかくきたしということで宿泊しているヴィラには帰らずボートに乗った。
サーフィン自体は正直しんどかった。腰腹サイズとの話であったが実際に行ってみると頭前後の波が炸裂していた。
パワーもある波が炸裂しているサヌールリーフ、インサイドで巻かれたら海底のリーフに足をきる。(実際少し切った)
サーフガイドによるプッシュもあったがこの頭オーバーの波で自分なりにかなり奮闘した。
初めのうちは腹痛と疲労で腕もほぼ回らない状態で、テイクオフまで行くことができず、音を上げようとも思っていた。
しかし、ボート代を払っていること、こんなに手厚いサポートをもらえている環境。簡単に音を上げてはカッコ悪いし、もったいないと思い、踏ん張り続けた。ガイドのアドバイスで疲れた時も口で呼吸するのではなく、鼻で息を吸って口で吐く、その呼吸を深くしっかりとすることとのアドバイスをもらいかなりパフォーマンスが上がった。波にもかなり乗れるようになり、めっちゃロングライドしていると褒められるほどであった。
その意味では無理してよかったと思う。
しかし、悲劇は夜に来た。みんなで今日は休息しようと、その日は家で食事を摂ることに、grabでご飯を頼んでそれまでは各々寝るなりビール飲むなり自由に過ごしていた。自分は寝ることにした。
寝ているがなんとなくお腹が緩い感じは続いていた。
下痢は続いていた。
食事が届きみんなとご飯を食べていた。良い人たちばかりで楽しい食事であったが、食事の最中にも一人部屋に戻り下痢をした。
その後、用意した食事は平らげたが外にマッサージに行こうとするも下痢の心配で結局マッサージをせず帰る。そのまま10時前には就寝をした。
しかし、寝初めて1時間もしないうちに激しい腹痛が襲ってきた。
それまでは下痢ではあったが、便の色も茶黄色であったが、この時には緑色に変わっていた。
一晩のうちに何度もトイレに行き下痢をした。熱もある感じがし、少し寒気も感じた。
下痢をし続けて出すものがないはずなのに胃袋がどんどん膨らんでいく。
腸が激しく動き回っている。
そして嘔吐。
食べたものがまだあったのかと言うほど出る。
何も消化されていない。ウイルスに侵されたお腹では何も栄養に変えることができない。
そしてそのまま眠りにつく。
翌日はサーフィンを休憩し部屋で寝る。夜腹痛で眠りにつけなかった分も含めて昼間寝る。
寝続ける。しかし、結局腹痛は治らない。
そのまま入院。夜の7時ごろに病院に向かうが、保険の手続きや診察、その間の待ちなど含め病室につけたのは深夜の一時を回っていた。
そのまま、点滴と薬を処方され眠りにつく。
翌日からの身体は回復傾向にあった。
初めのうちは便の色は緑であったが、薬を飲み、病院食を食べ、だんだんと本来の色に戻っていく。
次の日も一日入院した。
その中でどんどん回復していき、翌日には退院できるまでとなった。
医療従事者への感謝もね。
丁寧な説明。
複雑なオペレーション。
吐きまくる人への冷静なケア。
愚痴をぶつけられてもめげない心。
にこやかなスマイル。
保険の人にも感謝。
保険と感謝を忘れないこと。
高校の頃、引きこもっていた。思考を堂々巡りさせていたが、自転車に乗って葉山みで行ってみたら気持ちがすごく晴れた。
身体を動かす感動はあそこにある。
他にもスケボーで初めてハーフパイプを降りれた時の感動と仲間からの賞賛。
あれもスポーツの感動である。
後半グダグダになったが今の気持ちを記して終わりとする。
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