シナリオサンプル5
トモカ「ねぇ、この前ブランドのバッグ持ってたじゃない?」
ママ友のトモカさんが声を弾ませると、周囲には緊張が走る。
「来るぞ」と声をかけられたママ友はもちろん、私もママ友達も身構える。
トモカ「あれ、最近持ってないじゃない?使わないの?」
トモカさんはニヤニヤとママ友に近づき、両手をさり気なく合わせていた。
その仕草を、私はいつも下品だと思っていた。
トモカさんが手を合わせるだけで、次に言うことももう分かる。
トモカ「使わないっていうか、要らないならちょうだい」
ちょうだい。は満面の笑みとセットで。
合わせた手は口元に置かれて、目線はおねだりの相手にロックオン。
ママ友A「えーっと……」
トモカ「いいじゃん、ちょうだいよぉ。私、あのブランド大好きなの」
甘い声、上目遣い。
アラフォーで肝っ玉母さん系のトモカさんが、甘え技の定番を繰り出す。
ママ友A「あれは、母からのプレゼントだから。ムリかな」
ママ友は苦笑しながら、トモカさんからジリジリと離れた。
しかしトモカさんも負けじと距離を詰め直す。
息子を通わせるママ友コミュニティで、度々繰り広げられる光景。
ベテランママ友トモカさんの、容赦ないおねだりとちょうだい攻撃。
友達と呼びたくないタチの悪い人だが、私もママともまだ反撃の糸口はつかめていない……。
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