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ワインを評価し、魚をさばく

【写真】魚をさばく授業
グアテマラ人クラスメートがまたなんかしています。

さて火曜日、午前はワインの授業がありました。授業名は"oenologie"(ワイン醸造学)です。
料理コースのプログラムの一環なので、料理人としてワインの評価方法を知ること、料理との相性を考えられるように訓練することが目的になります。

初めてのワインの授業日である今日のテーマは、ワインの製法やテイスティングの概要です。

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実際にテイスティングをして表現の仕方などを体験します。
バゲットはパンコースの学生が作ったもので、テイスティングの合間につまみます。

評価方法は、細分化された項目を、順を追って"medium-""medium+"などと書き留めていきます。(以下のワインの教育機関でのWSETの資料に沿い、評価しました。)大まかに目(→appearance)、鼻(→nose)、口(→palate)で感じたことを言葉にしていきます。

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目鼻口の中でも細かく評価項目があり、特定の項目を意識しながら比較することができます。
ちなみにたびたび登場する"intensity"は、ここでは濃度や強弱の度合いを意味するようです。

項目の境界を見定めることは難しいです。
鼻に残る感覚から"flavour intensity"を捉えようとしても、実は口を潤す作用のある"acidity"が影響していたりします。

授業で強調されたことは「評価が主観でないこと」。
ワイン全体の見取り図があり、その中で目の前にあるワインが、相対的にどの位置にあるのかを評価することがゴールです。
ソムリエの田崎さんの本には、ワインは言語をつかさどる脳で記憶している、というようなことが書かれていました。感覚的に味覚の記憶をたどるのではなく、五感、五味、後味、濃度などを一つづつ評価して頭の中でマッピングしているようです。

もう一つ重要なことは、テイスティングの初めから情報を共有しないこと。
自分が香りを嗅ぐ前に隣の人が「グレープフルーツの香りが感じられる」と言うと、自分が嗅いだ時も、何だかグレープフルーツの香りがするように思えてしまいます。
自分が感じた印象は紙に書き留め、後に共有します。

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授業では、白赤2種類づつテイスティングしました。

表現を共有する段になると、クラスメートの中でも、西洋系と東洋系とで経験の差が現れました。
表現に用いられる果物などの香りなどは、アジア人の私たちにはなじみのないものも多々あります。
前者の年齢層が高く(30歳前後)、後者が低い(20代前半)のも関係しているかもしれません。
西洋系のクラスメートから表現がどんどこ飛び出すたびに、「あー確かにそれ感じる」という腑に落ちる感覚がするのでした。

ワインの勉強法を講師に聞いたところ、3段階に分けて示してくれました。
①単純な味わいのワインで違いを感じること。同時に複雑な味わいのワインで表現の幅を広げること。
②どのような料理に合うか、想像すること。
③熟成による変化を知ること。
ご参考までに。

テイスティングでお家芸のMOTTAINAI精神が発揮され、悉くワインを飲みほした私は、顔を真っ赤にして午後の授業に向かいます。

調理の授業はタンパク質シリーズ第2弾、魚です。

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右上から時計回りに"maquereau"(サバ) "limande sole"(ヒラメ) rouget"(ヒメジ) "merlan"(タラ) saint-jacques"(ホタテ)です。
これらをさばきます。
日本でもなかなか感じられない、鮮度の良さを肌で実感しました。

講師は特別ゲスト、MOFの方です。
Meilleur Ouvrier de Franceの略で、フランスの最優秀職人を意味し、トリコロールのユニフォームを着ることを許される、名誉ある称号です。
様々な部門がありますが、講師はFishmonger-Ecaillerで2017年にMOFを受賞しています。

授業は魚・貝をさばくのがテーマです。
魚は筒状(round)の魚と平たい(plat)の魚とに分けてそれぞれおろし、貝はホタテと牡蠣を下拵えします。

初めて魚をおろすクラスメートもいましたが、日本人である以上、何となく見れば要領は得ます。
3枚おろしは頭も内臓も落とさなかったのですが、日本では初めに頭も内臓も落として洗うケースが多いように思います。
理由は、衛生面の問題と、時間の問題とのことでした。
前者については血を流さないところが気になりましたが、時間の面ではこちらの方が早そうです。週末に家で比較してみたいと思います。

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授業の最後は牡蠣を剥いてそのまま食べました。

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海にぶち込まれるような感覚と、後味にほんのりと甘味が引く味わいでした。
...ワインしかり、表現の幅を広げないとです。。

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