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第44週(10/30~11/5)

▲瀬戸内海

一時帰国での日本滞在は三週目。
1日水曜日、瀬戸内の離島に赴きます。
20人ほどが乗り合わせた朝のフェリーでは、顔見知りかその場で知り合ったか、まばらに人が雑談しています。

向かう島の集落の高齢化率は80%を超え、急速な人口減少の局面を迎えています。本土のタクシー運転手が言う「仕事がないところ」のみならず、教育、交通、福祉医療で課題を抱えます。

みかんづくりの名人であるおばあさんは、米を自分で炊けなくなったら施設に入る意思のようです。それも東京へ他出した息子の元へ行くのではなく、年金で賄える近隣の施設を好みます。そうするのは息子の家族に世話を焼かせたくないからだと言います。
そのおばあさんの畑は、周囲からも突出して雑草が抜かれて整っています。来年でみかんづくりを止めると言う人のそれとは思えず、並大抵でない時間をかけたかは素人目にも明らかです。

8年前にこの島を訪れてから、今回で6度目の訪問です。
毎度、いまかいまかと来るべきときを予期しつつ、一方で畑が楽しくてしょうがないと言い放つ屈強なおばあさんもいます。

集落対策には、厳しい現実の中で「どっこい生きている」という実態と、しかしそれがいつ変化するかわからないという強い警戒心、そしてそれを前提とした速やかな対応が必要とされている。

小田切徳美「農山村は消滅しない」(岩波新書、2014)

▼昨年

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