時たまの読書記録。宇沢弘文「社会的共通資本」岩波新書(2000年)より。
本書を初めて手に取ったのは大学生のときです。
前回の読書記録で書いたように、農地が転用される実態を目の当たりにしたとき、土地所有のあり方の点で参考になるから、という理由で先生に薦められたものです。本書で言うところの希少資源の私有制に関わるもので、フィデュシアリーに基づく管理という社会的共通資本の特徴につながる論点です。
本書の問題意識は経済学の基本に立ち返り、人間の基本的権利が満たされた、ゆたかな社会を目指すものです。
私にとってその問題意識は読み返すほどに深く共有され、一方で読み返すつど新たな示唆を受ける本です。その考えを実践して何かしら形にしてみたいという思いは、今となって人生の大きなテーマの一つです。
宮本憲一氏の「環境経済学 新版」では、資本主義などの経済的な主義を容器と表現しています。人間社会の基礎条件をなす中身は容器に決定され、あるいは中身が容器を変えようとするので、資本主義の法則だけで中身を解明することはできないと言います。
本書は農業や医療、教育、環境といったものに対し、本質的な意味で向き合う機会を与えてくれるように思います。
以下が各章の自分なりの要約です。
序章
1章 社会的共通資本
2章 農村
3章 都市
4章 教育
5章 医療
6章 金融
7章 地球環境