研修② 33日目
▲bar à jeux ゲームバー
無数にあるボードゲームを楽しめる空間です。
11日金曜日、調理場での研修は残り二週間強です。
持ち場は週ごとに替るため、週終わりのこの日は先週同様にフィードバックを受けます。同じ持ち場のバングラデシュ系の青年は、私の働きぶりに問題はないことを認めます。
"MAIS,"(けれども)と彼は一呼吸置くようにして強調し、フランス語に関して、"stagiaire"(研修生)なら今くらいで良いかもしれないけれど、"commis"(コミ)となれば、より細かな指示も聞き取れるようにならなければならないだろう、と忠告します。
ごもっともです。いつまでも学生または外国人の身分に甘んじる訳にはいきません。彼自身、イギリスから来仏したころの自分に重ねて助言していくれているようです。
非として当たる者はわが師と心得ます。
さて、この日は通常の昼食向け作業に加え、夕食行事の作業にも参加。
大人数の食事会となれば、総出で数日掛けて作業に取り組みます。
ここには筆舌に尽くしがたいエネルギーが働いています。
調理場だけでなく各分野のプロが、最大限に努めて振舞っています。行動の動機に見返りを求める気持ちは一切見受けられません。
私も微力ながら、シェフの言う"top niveau"(トップレベル)の出来を再現します。多忙なシェフは、作業の合間に"très, très jolis"(とてもとても綺麗)と評価します。しかし作り手として、今度はアイディアを出す側として評価されたいものです。
いま、研修で経験していることが今後数年、数十年と経ったときにどのように振り返られるか、ということをよく考えます。
この日の夕食会のことについて言えば、示唆的なことがあまりに多岐にわたるので、簡単にまとめることができません。
しかし、より多くの人の、より多くの時間と情熱が注がれると、到底一人では得難い景色が見えるものなのだと感じます。
夜深く、研修先を後にしてもなお夢見心地です。
おこぼれに与ったポルト酒が、余韻を助長します。
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