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第29週(7/15~7/21)

▲Lago di Garda ガルダ湖
イタリア北部に位置する国内最大の湖です。揺れる水面とスカリジェロ城の堅牢な城郭が美しいです。

17日水曜日、料理学校の元クラスメートらとの、10日間北イタリア横断の旅は5日目を迎えています。日中にガルダ湖観光をした後に向かうは、旅の計画を立てるきっかけともなったレストランです。
ポー平原の真ん中に佇むその場所に半信半疑で近づくと、車を運転するセルビア人のクラスメートは、ミシュランがガイドを作る目的に適った場所だと言います。まさに車を走らせなければ、決して見つけることはなかったであろう場所です。

個人の邸宅も兼ねるその庭

約100年前に創業者が始めた村の小さなレストランは、家族によって代々受け継がれて現在に至ります。
食材やその組み合わせは古典的ながら、それぞれの要素の丁寧な扱い、味わいの上品さからは、食材に対する真摯な姿勢が感じ取れます。蔵で熟成された自家製バルサミコ酢は、検査官によって品質が確認されてレストランで提供されます。また四代目は、食品科学の知識を持って野菜を自ら育てるこだわりを持ちます。
代を重ねるごとに新しい学びや経験を取り入れ、拡張や改変が加えられています。(ダイソンの最新の手洗い場に至るまで!)老舗ホテルが増改築を重ねるようでいて、かつ血の通った挑戦を続けています。

同じ家系のソムリエは、角刈りの真面目な風貌から想像されるよりもさらに真摯な物腰で「ただ、ベストを尽くしたいだけです」と語ります。彼はリットル1ユーロの牛乳と4ユーロの牛乳を例に、品質が良いと感じれば後者を選ぶのも厭わないと言い、価格は重要な指標ではなくただ良いものを作りたい、その一心だと強調します。
彼との会話は私たちの次なる目的地のヴェネチアのおすすめスポットにも発展しますが、会話が小一時間にも及ぶのは一般的な飲食店の対応とは一線を画しています。

個人的に、家族経営やオーナー企業に特別な期待を抱くところがあります。それは、彼らが逆境に耐え、順境にも驕らない長期的な覚悟を持つからです。彼らのサービスには、その真摯な思いが反映されており、単に与えられた時給を稼げれば良いという姿勢から提供されるサービスとは異なります。前者はたとえ遠回りで非効率とも思える選択肢であっても、それが長期的な利益や信頼につながると判断すれば、少なくとも考慮に入れることができます。このような姿勢こそが、家族経営やオーナー企業の独自性と強みを生み出していると考えます。

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