シーケンス制御愛

 昔していた排水処理の仕事の関係で愛着をもったもののなかにシーケンス制御がある。物理はあまり習っていないので電気も苦手分野ながら、現場の制御盤とシーケンス図を交互に睨むうちに自ずと文法を身につけることができた。むしろ、基礎からの学習では習得が難しかっただろう。
 排水処理のフローが頭にある段階で、機械の起動/停止の感覚は体感としてももっているというアドバンテージによって、指令の発出契機が分かっているゆえに、逆算的にシーケンス図を読み解くことができるのだった。これができるようになると電気的な流れからトラブルシューティングが可能になる。たいていのリレーはランプ点灯やマグネットの押し込みといった視認できる動作が付随している。制御盤のなかは電線が張り巡らされ、経路を物理的に辿ることは困難だが、何が起動していて停止しているかを知ることは(コンピュータ制御は別として)見るだけででき、それができれば盤内の装備にはいちいち記号番号が割り当てられているのでシーケンス図と見比べれば、動作上の連動関係をもとに故障箇所を特定することができる。
 制御盤とは、電気的に組み立てられた具現的論理なのだ。論理が分かれば機械が近く感ぜられる。近く感ぜられることによって愛着が生まれる。彼らは寸分違わず動いていて愛おしい。

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