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これまで触れたフイルムカメラを紹介その5 【NIKON NikomatEL】

今回紹介するのはNIKONのニコマートEL。最近はこれをメイン機種に使用している。なので今のところ使用しているカメラとしてはこれが最後になる。じつはこの間新たに2機種ジャンク品を買ったので、あとはそれを紹介して終わりになるかな。

これまでの記事はこちら↓


さて、NikomatELはこれまで触ったカメラのなかでもっとも重い機種じゃなかろうか。

780g 1972年 NIKON    NikomatEL
700g 1963年 KONICA  SⅢ
590g 1976年 CANON  AE-1
510g 1972年 OLYMPUS OM-1
495g 1976年 PENTAX  MX

いまざっくり検索してみたらこんな感じ。重い。手に持ってみるとあからさまに他の一眼レフフイルムカメラより重く、腕にずっしりと乗ってくる。OM-1やMXあたりは手に提げているとほとんど意識しないでいられるが、ELは腕にぶら下がっていることを常に意識させられる。これがハンデになるかというと必ずしもそうでもなくて、構えたときの重心を意識しやすいあたりが気に入っている。

NikomatとはNIKONのFマウントに対応した廉価版一眼レフに使用された名称らしい。電子式のELシリーズのほかに機械式のFTシリーズがある。このへんは付け焼き刃なので詳しいことは調べてくれ。

シャッター幕は金属板を組み合わせたもので、この仕様のシャッターをさわるのはELが初めて。縦走り。これまでさわったのが横走り布幕シャッターなので最初は金属音に違和感というかチープな印象をもった。布幕のほうは裏蓋を外して空シャッターを切るとパフンッとエアをはらんだ音がする柔らかさがあるけど、金属幕はチャンッと金属感が強い。

この個体はカメラのキタムラで50㎜レンズと合わせて10,000円ほどだったので買ってみたもの。そのときちょうど常用していたOM-1の調子が優れず、別の機種がほしくなって店頭で買ったもの。OM-1の不調というのはフイルムが20枚目以降うまく巻き上がらないという不具合だったが、のちにこれは単純に最初のフイルムをセットする際、スプールに差し込み過ぎているのが問題だったようだ(OM-1の巻き上げスプールは中空になっていてスリットが5つほど空いているのだが、深く差し込むと反対側のスリットからフイルムが出てくる。これが支えて巻き上げを阻害していた模様。心配性が悪い方向にはたらいたということだね)。

これまで触った機種のなかではサイズも大きく、私個人としては握りやすいという印象がある。

NikomatELは電池ありきのカメラで、自動露出にはもちろん電池を必要とし、シャッタースピード制御についても電気的に制御している。電池なしの状態では1/90秒シャッターのみ可能。シャッタースピードダイヤルを回しても1/90秒しか切れない。たぶんここを起点として電気的に変動させてB、4~1/1000秒までを実現している。そう、4秒まで設定可能なんよね(三脚で撮らないので使うことがないけど)。

今のところ、なんで電気制御を採用したのかはよく分からない。機械式なら機械が生きていさえすれば撮影ができるし、1/1000秒を超えるわけでもない(ただ聞くところによるとオート露出設定では1/1000以上を出せるとか)。

自動露出撮影は絞り優先オート。シャッター速度を「A」に設定すると、そのときの絞り値とISO感度を元に適正露出を導出してくれる。ただ、私の個体はCdSセンサーがへたっているのか、かなりのアンダーになるので自動露出を使うためには修理が必要。使わないからそのままにしている。

NIKONのカメラに特徴的なのはマウント部に露出計連動ピンがついていること。本体にピンがついており、レンズ側にこれを噛む爪がついている。レンズを取り付ける際は、絞り値を5.6に合わせておき、連動ピンを噛ませて回す必要がある。これは名称のとおり絞り値を露出計に伝達するための機構。なので、露出計使わないならこれを噛む必要もないのだが、噛んでないのも気持ち悪いので噛ませている。

レンズを取り付けると、F5.6になっていて、一度絞り最大から最小まで絞りリングを回す。すると取り付けたレンズの絞り幅の情報が本体に記憶される。面白い。

この絞りの記憶とシャッター速度の電気制御、どちらも基点があることが分かる。絞りなら5.6でシャッター速度は1/90秒。基点からの幅を計測している。考え方が共通しているところは美意識を感じるところ。

電源のON/OFFは巻き上げレバーにあり、レバーを起こすと電源ONとなる。なので、撮影するときはレバーが起きた状態になっていて、逆に仕舞っている状態ではシャッターが切れない。この仕様に慣れるのに少し時間を要した。また、私は撮影するときレバーに指を掛けない場合もあるので、これが起きているとちょっと邪魔に感じる。これも慣れの問題で、最近は気にならないが。
ただ、AE-1のときは電源がシャッターボタンの外周にあったので、うっかり電源切り忘れということもあったのだが、ELはレバーの動作に集約しているため切り忘れということがないのは好ましいところ。

ELの使用感でもうひとつ思ったことはロックが多いと感じさせる。

シャッターボタンは上に書いたようにレバーが寝ているとロックがかかっている。これは、仮に押した場合1/90秒になってしまうからでもあるだろう。私の場合OM-1に慣れているためロックということをあまり意識してこなかったため、他機種に触れるとここにもロックが! という衝撃を受ける。ELでその最たるものが裏蓋。一般的には巻戻しクランクを引き上げるとフックが外れて裏蓋が開く仕様で、ELもそうではあるんだけど巻戻しクランクの引き上げ自体にロックが付いている。クランクの横についているロックレバーを引いてクランクを引き上げないといけない。これはうっかり蓋を開けてしまわない配慮で優しいのかもしれない。

わりと初見殺しが多い機種だなと思ったりする。

ロックといえば、シャッター速度ダイヤルには1/1000秒のあとにオート露出用の「A」があって、ここに入れるときは単純にダイヤルを回すだけでいいのだが、手動に戻すときにロックを解除しなくてはいけない。これがわりと厄介に感じるところ。すでに書いたように自動露出は基本的に使用しない私は「A」を使わないのだが、速度を設定しているとうっかりオートまで回してしまうことがあり、そこから戻すのに一手間かかってしまって使いにくさを感じた。「A」から抜けるときよりは入るほうにロックがあってほしいと思ったりする。
AE-1の場合はシャッター優先オートだけど、絞りリングの「A」に入れるときも外れるときもロックがかかる仕様で、こちらのほうが間違いがなくていいなと思う。マニュアルからオートにスムーズに以降させたい瞬間ってそんなないだろうし。

と、いろいろ思うところもありはするけど、わりと気に入っている機種である。これまで修理はしたことがなかったけど、モルトを張り替えたのもELが初めてだし、ミラーが架台から脱落したのを接着剤で付けたりなどもしていて、愛着はOM-1と同等にある機種である。購入したレンズが綺麗なのもあって現在常用している一本。

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