マガジンのカバー画像

写真集

76
フィルムカメラ(オリンパスOM-1、ペンタックスMX、キヤノンAE-1、コニカSⅢ、ニコンEL)で撮影した写真たち。
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

複眼に憧れて

シュレディンガーの複眼へ 近頃はフイルムの入手が困難になり、モノクロネガばかりを使用する傾向にあるが、行動範囲に唯一の現像できる店舗であるカメラのキタムラでは、C41現像でない現像は工場出荷となり、約1ヶ月を要すことになる現実がカメラ趣味を減衰させている。たしかに、私がフイルムカメラを肯定するときよく言うのが、その場で仕上がりを確認できないことによる仕上がりへの想像性なのだが、そうは言ってもカラーネガの現像に要する時間は長くても1時間程度のもの、3日で36枚を撮影し、その結

開かれ230612

純白を直視するのが難しい。 捨て置かれたもの、鑑賞されるためでない花。得体を知られる機会から抜け落ちていられる幸いと痛苦。 5月は橋村一彦・るみ陶芸展というイベントがあった。わずか2日間の開催だったのが惜しいと思うほどには刺激的な展覧会だった。 陶芸という芸術分野にはこれまで殆ど触れてこなかったが、彫刻として見ることができた。硬質な素材で有機的な柔らかさを、静物でありながら流動性を纏う……このイメージは、私がゴシック系の作家もの球体関節人形に抱いているイメージと重なり合

写真記230529

モノクロフィルムなんていまどきカラーネガをスキャンした画像編集で事足りてしまうと思っていたが、このフィルム入手難によって手にとることになったアクロスⅡにすっかり驚かされている。陰影が強く出るのでカラーと全く別の写真になってしまう。 色なんてもつんじゃなかった。そんな気にさせる。その辺のありふれたものを撮っても、どこか意味深な諧調で鑑賞者に何かを示してしまう。 何が写ったのか、もう分からなくてもいい、という気にさせる。闇に沈んだ部分がわずかな明暗をのぞかせた部分にイマジネー