水温の安定化と釣果の回復

※下書きのまま、気づけば翌年の秋になってしまっておりました※

まだまだ寒波の影響から冷え込む日が続いています。そのためか、ブリ属の釣果はめっきり上がってきません。ただ、寒波ウォッチ①の記事でも取り上げた通り、魚種ごとの適正水温から考えると「サワラは釣れても良いのでは」という仮説を取り上げました。2020年12月31日の「年越し寒波」の到来からは10日が経過し、2021年1月7日の強烈寒波の到来からは3日が経過しました。そして、ようやく1月9日には徐々にサワラの釣果が見られるようになってきました。これを機に、本日は水温の安定化と釣果の回復について考えてみたいと思います。

寒波後から釣果回復までの海の変化

改めて、ブリとサワラの適正水温を振り返ります。ブリは最低水温16℃〜、サワラは諸説ありますが、最低水温12℃〜です。サワラの方が低水温に対する耐性も、高水温に対する耐性もあり、より広い水温域で生活することができると言えそうです。

ブリ:16~21℃
サワラ:12℃~24℃

次に、年越し寒波前から直近までの水温の推移を確認してみたいと思います。寒波到来で釣れなくなった日から、再び釣れるようになった1月9日までの間にどのように海の状況が変化したのかを確認したいと思います。

0110グラフ①

こちらは平均気温と、平均水温・最高水温・最低水温を並べたグラフです。12月31日からの年越し寒波と、1月7日からの強烈寒波でグラフの色を変えています。強烈な気温の変化と共に、水温の低下が起こっています。さらに、1日の中でも最高水温と最低水温の差が激しくなっていることがわかります。この水温の寒冷化と1日の水温差は、魚にとって、厳しい状況をもたらしていることでしょう。次に、釣果の上がっていた日と、上がっていなかった日で分けてみたいと思います。

0110グラフ②

12月31日の年越し寒波の到来から9日間はパッタリ青物の釣果が出ていませんでしたが、1月9日から徐々に静岡県中部エリア各所でポツポツとサワラ・サゴシの釣果が上がってきました。この全く釣れていない”魔の9日間”は魚にとって慣らしの期間だとすれば、最低でも急激な水温低下から9日間(棒グラフのグレー部分)は活性が下がることになります。次に釣果の回復に繋がると思われる「水温の安定化」について考えてみたいと思います。

「水温の安定化」とは

久しく釣果の上がり始めたたった1日だけを「回復日」とするならば、寒波前・年越し寒波中・強烈寒波中の3つの区切りの中で複数の切り口から「水温の安定化」とは何かを考えてみたいと思います。

考えられる内容としては、以前の記事『寒波後の青物狙い、どう乗り切るか?(寒波ウォッチ①)』でもあげた通り、以下のいずれか。

①1日の中で、水温の上下差がなくなること
②複数日を跨いで、日毎の水温の上下差がなくなること
③上記のいずれも満たすこと(1日の中での水温差が少なく、1週間など複数日に渡って大きな水温変化がないこと)

まずは、寒波前・年越し寒波中・強烈寒波中の3つの区切りで水温変化をまとめてみたいと思います。

画像3

3つの区分でそれぞれの最低水温・平均水温・最高水温・最高水温と最低水温の差分の平均をとってみた表です。

「①1日の中で、水温の上下差が少なくなること」については、3区分の期間ごとに「最高水温と最低水温の差分」平均をとり、1日の中での水温差で比較してみたいと思います。

0110グラフ③

こちらは3区分(期間)ごとの最高水温と最低水温の差を使い、期間中の平均値をとったものです。どれだけ1日で温度差が発生したのかを目安として捉えています。寒波前であれば1日の水温の上下は0.62℃であり、年越し寒波の期間中は、1日で0.84℃もの水温変化が起こっていいます。そして、強烈寒波の期間中は、意外なことに寒波前に近い水温変化となっています。魔の9日間はほぼ1℃近い水温差が1日で発生していたことも、釣果を下げた要因の1つと考えられそうです。釣果が回復し始めた強烈寒波中は、1日の中での水温差が、安定して釣果が出ていた寒波前に近い水温差となっています。1つの傾向としては、1日の中での水温差が激しくない≒安定していることが釣果を上げる要素として考えられそうです。

次に、「②複数日を跨いで、日毎の水温の上下差がなくなること」が釣果UPに繋がるのかを考えてみたいと思います。

画像5

こちらは、平均水温・最高水温・最低水温の3つを前日と比較した水温差を3区分での期間ごとに平均した数値です。こちらも見やすく比較してみます。

0110グラフ⑤

最低水温と平均水温に関しては、どの期間においてもあまり前日と大きく上下することは無かったようです。最も前日と比べて変化しやすいのは最高気温です。意外なことに、安定して釣果の出ていた寒波前が最も最高水温の変化が前日と比較して起こっていたようです。グラフの高さが低いほど、前日との水温差が無かったことを表していますが、釣果と照らし合わせると、日ごとで水温が安定しているかどうかはあまり関係が無いとも思えます。ここまではあくまでも水温の差だけに着目してきましたが、絶対的に欠かせない要素としてこの3つの期間で平均水温が何度だったのかという観点です。平均水温を重ねてみます。

0110グラフ⑥

最高水温の上下差が大きかった寒波前のは安定して釣果が出ていたのは、やはり適正水温内での水温変化であったからと考えられそうです。ブリ属に関しては、やはり適正水温内の範囲であれば悪く影響しないということがわかります。

年越し寒波期間と強烈寒波期間を比べてみると、サワラの釣果が再び上がり始めた強烈寒波期間は、前日と比べて水温差の上下がなくなり、安定していると言えます。ですから、連日で最高水温、最低水温ともに上下差がなくなる水温の安定化は釣果の回復に繋がりやすいとも考えられそうです。

ここまで分かったことをまとめると、1日の中で水温差の上下は少ない方が良いということ、1℃高い平均水温の低下があった場合、適正水温内であっても釣果が下がる(活性が下がる)こと、急激な水温低下から9日ほど経過すると、その水温が適正水温である魚種に関しては釣果が回復する、ということが考えられます。

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