見出し画像

仕事終わりに海を聴きながら飲む幸せ

私は普段、ほとんどお酒を嗜まない。

仕事や友人との飲み会に出向いても、乾杯のビールの後は

烏龍茶を挟んで こっそりブラックコーヒーを注文する。

かと言って全然、飲めない訳でもない。

一時期、お酒を嗜んで見ようと思う時期があった。

はるか南国の地でヘアメイクをしていた時だ。

世界中のお金持ちしか泊まれないような

"超” 高級リゾートへ出張し

到着すると用意された控え室などで仮眠をとり

昼食を食べ、昼過ぎからが私の出番だ。

ゲストがサンセットクルーズに出かけると、あとは深夜まで自由だった。

そのリゾートで連続してウエディングが続く時は泊まりなので
空いている客室を与えてくれる。

自腹では絶対 泊まる事ができないような "超” ラグジュアリーな水上コテージを独り占めできて

とてもラッキーなお仕事だった。

その南国は100%イスラム教徒で、私たちが暮らす住民島には酒と豚肉が無い暮らし。

私はそこで長く暮らしていても、それが別段、苦痛でもなく

カフェが徒歩圏内に沢山あるので、むしろ天国だった。

その国の主な産業が漁業と観光で

外国人はリゾート島であれば飲酒も豚肉も摂取可能だ。

だから 禁断症状の出る旅行会社などの日経駐在員たちは

空港島のホテルや1番近いリゾートに頻繁に通っていた。

私はと言うと、仕事なので毎日リゾートに行く。

仕事が終わり、帰る時まではその島に缶詰だ。

だから、与えられた部屋で好きな小説を読んだり

海を眺めてくつろぐ。

そんな時、ふと、「飲んでみようかな」と思った。

冷蔵庫の中にはたくさん海外のビールがあり

ルームサービスを頼めばもっと色んな種類のお酒もある。

しかも、スタッフ割で半額だ。

(ほんと、贅沢な仕事よね)

ここで飲む幸せ

その中にキリンビールがあった。

迷わずそれを掴み、部屋の明かりを消し

足元を照らす小さなライトだけにした。

コテージの外にでると

そこには海と私だけが存在し

初めは優越感に浸るけど、少しだけ心細くなってくる。

掴んだままのビールを1口飲むごとに

シュワーと炭酸の弾ける音がする。

鼻に抜ける香りと、喉が飛び起きるような刺激に

少しづつ、酔いが回り顔が火照り出す。

今日一日の仕事を振り返り、ゲストの幸せそうな笑顔や

一緒に働くフォトグラファーやアテンダントとの楽しい会話を思い出す。

1人なのに何だかニコニコと口角が上がる。

このまま眠れたら至福すぎる。

いい気分で一日が終わると、明日への活力になる。

ほろ酔いでシャワーを浴び、ベットに潜るとすぐに寝落ちた。

翌朝には軽い頭痛と肩こりはあるものの、

「今日も仕事終わったら飲むぞ」と誓った。

#ここで飲むしあわせ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?