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PARAクラス「パフォーマンス(アート)のボーダレスな動きを探る」ゲスト紹介

【概要】

PARAの講座クラス「パフォーマンス(アート)のボーダレスな動きを探る」では毎回、ゲストアーティストにこれまでどのような仕方で動いてきたかについてインタビューをしていきます。以下、ゲストでお招きするアーティストの方を紹介します。

【ⅰ】10月13日(木)  濵田明李

PHOTO_ Katnira Bello

第一回は、「好奇心の赴くままに」各地を飛び回り、2017〜19年にはメキシコに移り住んで、パフォーマンスアートの実践を続けてきた濵田明李さんにお話を伺います。

maron comment:
私の主戦場は演劇でした。つまり、新劇、アングラ・小劇場演劇、静かな演劇、ナラティブの演劇……と通俗的に歴史化された小劇場演劇の文脈に根ざして色々な活動をしてきました。そうしたなかで、2年前に初めて目にした濵田さんのパフォーマンスは、不可思議としか言いようのないものでした。行為の意図するところがモヤに包まれたようにあてどがない。実現されるべき意味や効果が未規定のまま開かれている。それは、規範的な成功/失敗の基準がそもそも想定されていない、ある特定の環境に対して「こうすると、どうなるか」のひらすらな繰り返しに見えるものでした。試行によって生じた事実(変異)をただ事実(変異)のままに受け入れるパフォーマンへの態度は、劇場構造の必然として、一定時間の集中と没入的な体験に価値を見出す演劇の形式においては、あまり見られないものでした。自由だな、と私は思いました。そして、そのパフォーマンスのあり方は濵田さんのプロフィールに記載された「好奇心の赴くままに」、メキシコに移住する、あるいはパフォーマンスを実践する、軽やかな移動性/モビリティと響き合うものがある。別言すれば、濵田さんのパフォーマンスアートに含まれる世界の見方(世界観)、あるいはそれのやり方(方法)は、現実の活動や生き方においても境界を超えて”移動する生(活)”を形作るもののように思えるのでした。そうしたわけで、濵田さんがパフォーマンスアートに関わりを持つ重要な契機のひとつになったNIPAF(ニパフ)をはじめ、濵田さんの活動の軌跡をたどりながら、パフォーマンスアートのどんなところに”面白み”を感じたのか、あるいはパフォーマンスアートを実際にどのような仕方で行ってきたのか、お話を聞いてみます。

濵田明李(はまだ・みり)
1992年高知県南国市生まれ。武蔵野美術大学油絵専攻油絵学科卒業。
パフォーマンスで作品をやり始めしっくり来る。その中では、達成を目指さなかったり、中止したり、その場所の特性を取り入れたり、オブジェを持ってきて、15分とか20分とかのあいだに起きる一連のことを観客と共有するというのが特徴。
2017年から2019年位までのメキシコに住み、好奇心の赴くままに学ぶ。
他のアーティストとの有形無形の恊働や自主企画にも積極的。

2012年より NIPAFを通じて国内およびネパール、インド、ベトナム、バングラデシュなどのワークショップやフェスティバルに参加し、パフォーマンスアートの発表をする。また、他のアーティストと協働したイベントのオーガナイズも継続的に行なっている。2018 年メキシコ政府奨学金を得てメキシコシティに渡航。パフォーマンスアートがより活況な地でのリサーチや、豊かなメキシコの文化に触れる。

【ⅱ】10月27日(木)  村田峰紀・白川昌生

ドロー、写真:木暮伸也

群馬・前橋を拠点に活動するおふたりに、パフォーマンスアート/アート活動と前橋がどのような結び目を作り出していったのか、お伺いできればと思います。

村田峰紀(むらた・みねき)

Neck Live、写真:若林勇人

1979年群馬県生まれ前橋市在住。2005年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。 原初的な行為で"かく"ことの語源にある要素を意識=書く、結果=描く、行為=掻く、潜在=欠く、と捉えてドローイング制作やパフォーマンスをおこなっている。Ongoing Collective、身体の人たちに在籍し活動。

2022年 「eye drops」シネマキネマティカ 宮城 2021年 「effect」rin art association群馬 2021年 「庭へ 村田峰紀×盛圭太」void+ 東京 2019年 「2019 LIVE International Performance Art Biennale in Vancouver 」カナダ 2018年「vision inside」/rin art association、群馬、 2017年「 + 」 / ギャラリーハシモト、東京、グループ展 2016年「現代ドローイング国際芸術祭『TWO STICKS』」ヴロツワフ建築博物館、ブロツワフ、ポーランド、パフォーマンスイベント 2016年 「間人」(村田峰紀+首くくり栲象+山川冬樹)、前橋市芸術文化れんが蔵、群馬 2015年 「VOCA 2015」上野の森美術館 東京 2010 年「あいちトリエンナーレ 2010 都市の祝祭」長者町会場 ( 愛知)

白川昌生(しらかわ・よしお)

白川昌生は1948年福岡県生まれ。国立デュッセルドルフ美術大学卒業。83年より群馬県を拠点に、立体作品や絵画を制作する。93年に、地域と美術をつなぐ美術活動団体「場所・群馬」を創設。これまで、県内の工場で製造されるインスタント食品を無人駅で食べるというゲリラ的パフォーマンス《無人駅での行為(群馬の食)》(2000)や、前橋市内で空想の祭りを考案、実施した《駅家の木馬》(2011)などの作品を発表。ダダイストとしての姿勢を根底に、地域の歴史や文化に基づいた表現活動を継続し、欧米や都市部を中心とした芸術の価値観や、日本の美術市場に批評的に向き合ってきた。作品制作や展覧会の企画と並行して、『美術、市場、地域通貨をめぐって』(2001)『西洋美術史を解体する』(2011)、『贈与としての美術』(2014)といった著書を通して、美術についての言説も展開。主な個展に「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ 地域に生きる想像の力」(アーツ前橋、2014)など。これまで参加した主な展覧会に「群馬の美術2017─地域社会における現代美術の居場所」(群馬県立近代美術館、2017)、「ミュージアムとの創造的対話 vol.1 - MONUMENT」(鳥取県立博物館、2017)、あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ。

【ⅲ】12月15日(木)  武谷大介


カナダのトロント市と日本を拠点にアーティスト・キュレーターとして活動。パフォーマンスアートの国際プラットフォーム「Responding」の代表も務める武谷さんにパフォーマンスアートを介したネットワークの拡がりについて聞いていきます。

武谷大介
カナダのトロント市と日本を拠点に活動するインターディシプリナリーアーティストであり、インデペンデントキュレーター。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現する。Responding国際パフォーマンスフェスティバル代表。スクールオブビジュアルアーツ学士過程修了 、ニューヨークアカデミーオブアート修士過程修了。

パフォーマンスアーティストとしては、Asiatopia(‘23タイ)、PAUSA(‘22米国)、Flow(‘22、‘21米国)、eye drops(‘22石巻)、Black KIT 40(‘22ドイツ)、ECHT JETZT(‘19、ドイツ) 、Kathmandu International Performance Art Festival(‘19、ネパール) 、NEVER CROSS THE SAME RIVER TWICE(‘21ギリシャ、)、Zero Platform(‘18ミャンマー)、Above Clouds(‘18中国))、undisclosed territory #11(‘18インドネシア)、UPON(‘16中国)などに参加。また、2021年には、宮城県石巻市に循環する多様性のあるコミュニティDAIS石巻にて一般市民が主体的に企画運営する「ちょどフェス」と呼ばれるパフォーマンスイベントの立ち上げに関わる。

武谷大介ホームページ/ Daisuke Takeya Official Website
http://daisuketakeya.com/

【ⅳ】2月2日(木)  KOURYOU

KOURYOUさんは、2019年に「瀬戸内国際芸術祭」(女木島)で発表した《家船》を出発点に、箱崎、有田、小豆島、淡路島など各地を漂流する《EBUNE》の船長です。現在、《EBUNE》は大阪・西成に漂着中。ある種の歴史=偽史的な想像力を駆使して、「アートイベント」とは形容しがたい何か、動き続け、変容し続ける《集まり》の母型(のようなもの)を制作するKOURYOUさんに、もう端的に《EBUNE》ってなんなんですか!?と聞いてみます。

KOURYOU
1983年、福岡県生まれ。2008年東京藝術大学大学院美術研究科修了。08年よりウェブサイトゲーム《クリックスピリット 》を開設。2013年活動の場が異なる作家たちが一堂に会する「であ、しゅとぅるむ」(名古屋市民ギャラリー矢田)に出展。その後カオス*ラウンジやパープルームに参加し、サイトの設計図や模型のような絵画•立体作品を発表。福島県いわき市の伝承を再構成したウェブサイト《いわき伝説ノート─キツネ事件簿─ 》の原画が愛知県美術館に収蔵される。「VOCA展2019」「瀬戸内国際芸術祭2019」に出展。瀬戸芸2019•女木島で発表した《家船》を継続したチーム作品《EBUNE》航海中。

クリックスピリット
kurisupi.com

【ⅴ】2月16日(木)  手塚夏子

『私的解剖実験シリーズ』や「Floating Bottle Project」、そして近年の「合意のでっちあげ」に関する実験作りワークショップ。ダンサー・振付家として手塚さんがこれまで辿ってきた実験と観察の軌跡についてお話を聞いてみたいと思います。

手塚夏子(てづか・なつこ)
ダンサー/振付家 神奈川県横浜市に生まれる。1996 年より、マイムからダンスへと以降しつつ、既成のテクニックではないスタイルの試行錯誤をテーマに活動を続ける。2001 年より自身の体を観察する『私的解剖実験シリーズ』始動。同年、私的な実験の小さな成果が「私的解剖実験 -2」に結晶。同作品はトヨタコレオグラフィーアワードファイナリストとして同年 7 月に上演。体の観察から関わりの観察を経て、社会、世界で起きる様々なことを観察するべく実験的な試みを行う。2013年、関東から福岡県へ活動拠点を移行させる。2018年10月にKyoto Experiment(京都国際芸術祭)においてFloating Bottle Project「点にダイブする」を上演。2018年4月から2021年6月までベルリンでダンス活動をしていたが、2021年の7月より、福岡を中心にした活動に移行。

【ⅵ】3月30日(木)  篠田千明

写真:Ryo Oguchi

演出家・作家の篠田さんに快快からバンコク移住、そして近年の「劇のやめ方」や「リハーサル」をキーワードにした演劇実践まで、これまでの「動き方」についてお伺いしていきます。

篠田千明(しのだ・ちはる)
演劇作家、演出家、イベンター、観光ガイド。 2004年に多摩美術大学の同級生と快快を立ち上げ、2012年に脱退するまで、中心メンバーとして主に演出、脚本、企画を手がける。以後、バンコクに移動しソロ活動を続ける。 『四つの機劇』『非劇』と、劇の成り立ちそのものを問う作品や、チリの作家の戯曲を元にした人間を見る動物園『ZOO』、その場に来た人が歩くことで革命をシュミレーションする『道をわたる』などを製作している。2018年BangkokBiennialで『超常現象館』を主催。2019年台北でADAM artist lab、マニラWSKフェスティバルMusic Hacker's labに参加。 2020年3月に帰国、練馬を拠点とする。

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