映画「空気人形」感想

※現在、GYAO!にて10月25日まで配信中!
 https://gyao.yahoo.co.jp/p/00908/v14442/

誰かの代用品でしかなかった空気人形が「心」を持ってしまった。
空気人形によるささやかな冒険がはじまる。

今まで「いっしょに暮らし」ていた男の本質を誰よりも知っている、そんな空気人形がなんとも切ない。愛されている感覚を理解しきれないまま、心を持つ、そのバランスの悪さがいとおしい。
ビデオレンタルショップで昼間働きだした空気人形が、とある男性店員と出会って、「人間らしさ」を獲得していいく。ぎくしゃくとした二人の関係は、ずっと幸せなままに過ぎてほしいと願ってしまう。

ただ、たびたび空気人形の空っぽなありさまを「きたない」男たちに見破られて、文字どおり性欲処理の道具にされてしまう。本来の目的に沿っているということが、「人間」になれないことを証左にしているようで、余計に哀れだ。
でも、登場人物たちを笑うことができるのか? 私たちだって、誰に誰かに何かを仮託していきているときがある。きたないたましいに囲まれても、空気人はうつくしい。それ故に、空気人形は「人間」もなれやしないのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?