「マリーゴールド」

何回も家に至るまで  
基準で満たされただけのような水を  
科学の試験みたいに注いで  
また花を挿す  

あれから 淡い夢を見ていた 
口に出そうとはしなかった  
愛おしさが足枷みたいに  
躊躇として残っていたから  

大通り  
誰かが契った約束が  
また枯れていく  

この街は居場所が切り取られる  
耳に落ちる黒の真実  
震える声で裁ち鋏で  
僕は僕を どう救える   

輝いた無垢な瞳のように  
太陽と育った黄色のまま  
何回も聞いた 君の声が  
しまっていた言葉を まだ 探している  

人通りの上 髪の隙間に  
小さな偶然を見逃した  
待っていると伝えるみたいに  
赤くなって消えていった  

仕事疲れで口に出す  
握った温もりだけ 鍵にして  
柔らかな手首 凄いだとか  
安心した その程度で  

不器用で弱いから  
元気なふりをしなきゃ  
気付かれそうで  

例えば病 取り除くような   
大それた力じゃなくていい  
君がいない 景色のままで 
傍にいた記憶に応えたい  

僕の奥 残った青臭さ   
大人にも消せなかったもの  
逸る心 振り返って    
いつか君に話すべき時が来るだろう  

限界を無視して駆け抜けた  
必要に応じて笑ったりした  
誤魔化してきた瞬間ばかり どうしてこんなに 
未だにいちいち苦しい  

この街は居場所が切り取られる  
耳に落ちる黒の真実  
震える声で裁ち鋏で  
僕は僕を どう救える   

僕の奥 残った青臭さ   
大人にも消せなかったもの  
逸る心 振り返って   
いつか君に話すべき時が

守れなかったものはあったよ  
歩みたい場所だってあったよ  
君がいない 景色のままで  
君といたあの日に応えたい  

輝いた無垢な瞳のように  
太陽と育った黄色のまま  
鮮明に繰り返す 君の声が  
支えてきた希望を まだ  
しまっていた言葉を 今 探している

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