行動を中心にあれこれ考え中

「行動」を中心にして色々考えたことをまとめてみる。(随時追記中)

「行動」・・・活動や行い全般を指す。また、意図や目的を有する活動を指す場合も。思考は行動の対義語。

行動を起こす前

人が何らかの行動を起こす原因は、「動機」である。
何らかの行動を起こす(または起こさない)と判断するからには何らかの動機があったに違いない。
そして、動機は目的とは異なる。目的は「〜のため」という説明になるが、動機は「〜だから」という理由となる。目的があっても直接的に行動を起こすことはなく、何らかの動機が行動を引き起こす。
言い換えれば「動機」=「言い訳」でもある。

「動機」・・・ある状況のもとでその行動を決定する意識的・無意識的な原因。

行動を起こした後

何らかの行動を起こすと「結果」として立ち現れる。
行動はDoという形で表現できるが、結果についてはBeという形で表現される。
結果の中でも、良い結果について「成果」と呼ばれる。
また、結果の状態が目的と合致した場合は、目的を達したということになり、目標に対して比較すると目標を超えたとか目標未達といった表現となる。
結果・成果・目標・目的が直接的に比較できるのは、いずれも「状態=Be」を表す言葉であるからで、「行動 =Do」や「思考」とは異なる。

「結果」・・・行動から生じた状態。
「成果」・・・行動を起こして得られたよい結果。

行動を含むプロセス

行動を含む一連のプロセスは下記のようになる。

意図→方法→行動→結果

何らかの意図があり、状況に応じた方法を選択し、行動を起こして、結果を得る。

意図と方法の選択の際に動機が関係する。

状況と目的に応じた選択

意図と行動をつなぐものが「方法」である。

「方法」・・・特定の状況において、何らかの目的を達成するための手段。

構造構成主義では「方法の原理」と呼ばれるものがあり、それは「方法の有効性とは、状況と目的によって変化する」とされている。

そのため目的が同じだとしても、状況が変われば方法の有効性は大きく変わる。

たとえば、同じ目的地に向かうにしても携帯電話が使える状況であれば、スマホを使ってナビすることができるが、携帯電話が使えない状況であれば、その方法は有効にはなり得ない。

一方で、普遍的な方法というものもあるし、規則や規律による手続き型の方法というものも存在する。

望ましくない結果を引き起こすもの

行動を起こせば何らかの結果を得るが、当初の意図に沿うものである場合もあれば、そうでない場合もある。望ましい結果は成功であり成果となる。一方で望ましくない結果は不成功であり、それを引き起こす行動を失敗と呼ぶ。

失敗は意図的に起こすものではなく、行動した本人にとっての想定外の結果であり、故意に行ったいるとしたらそれは失敗ではない。

失敗学における失敗の定義によると下記のようになる。

「失敗」・・・正しいことをしているつもりだったにもかかわらず、意に反してその行動が望ましくない結果を引き起こした。この時の正しいことをしているつもりだった行動が後に失敗と呼ばれる。

問題と課題は方向性の違い

現時点での状況とあるべき姿のギャップを一般に問題と呼ぶ。一方で似たような言葉として課題というものもある。

2つのものが表しているのはあるべき姿と現状のギャップという点では本質的には同じである。問題は解決するもので否定的な形・過去へ向いた形に対して用いられるが、課題は達成するもので肯定的な形・未来へ向いた形で用いられる。

問題・課題には大きく2種類ある。一つは発生型でもう一つは設定型。

発生型の問題は、あるべき姿は変わらないが、過去に何らかの問題があってギャップを発生しているもので、未達問題と逸脱問題がある。
未達問題は、あるべき姿に対して現状その状態に至っていないものであり、いわゆる弱点的なギャップである。
逸脱問題は、今まではあるべき状態を継続できていたが何らかの要因により維持できなくなったものであり、管理不足的なギャップである。

設定型の問題は、あるべき姿の水準を引き上げた結果生じた現状とのギャップである。これは、周囲の環境の変化によってあるべき姿が変化することによって生じるものであり、成長分野に起こる。

「問題」「課題」・・・現状とあるべき姿とのギャップ。問題は解決するもので、課題は達成するもの。

あるべき姿によって明らかになるもの

あるべき姿は、数値で定量的に表せる場合もあれば、定性的にしか表せないこともあるが、一般的に定量的に表現することで共通認識を得ることができる。

そしてあるべき姿を設定することで、「解決すべきか」「どのように取り組むか」という方針や「どの程度」といった目標、そして「いつまでに」「どうやって」という計画が明らかになってくる。

行動の対義語

行動の対義語は思考。思考には、「分析(Analysis)」「統合(Synthesis)」「比較(Comparison)」「抽象(Abstraction)」「要約(Summarization)」の過程がある。これらの5つの過程に至る思考の作業として「対比」「類比」「因果」といったことを行う。

「対比」は二つのものを並べ合わせて、違いやそれぞれの特性を比べること。また、1つの考えていることの対抗となる異なる考えを持ち出すことも含まれる。2つの異なる点を明確にできるということが重要で、「分析」や「比較」につながる。

「類比」は二つのものを並べ合わせて、類似点を見つけ同じ特性を推察すること。無理矢理でも類似点を探し出し、一見異なる2つのものの共通概念を探すことが重要で、「要約」や「抽象」につながる。

「因果」は、原因と結果の関係のこと。また、先ほどの類比で見つけた共通点と対比で見つけた違いを結ぶものでもある。

対比は今考えていること「テーゼ」に対する「アンチテーゼ」を列挙することで、類比は「テーゼ」と「アンチテーゼ」の共通命題となる「ジンテーゼ」を探し出すこととも言える。そして、このジンテーゼを探し出していく作業が「統合(シンセシス)」であり、逆に1つの命題から具体的な事象のように分けていく作業が「分析(アナリシス)」となる。

「思考」・・・結論を導き出すなど何らかの状態に達しようとする過程において、論理や方法など考える精神の活動のこと。具体的な活動は、「対比」「類比」「因果」といった作業となる。

行動を促進するもの・阻害するもの

行動を起こす要因は動機であるが、さらに本質的な理由は2つあり、「快楽を得ること」と「苦痛から逃れること」である。

行動の直後にメリットを得る場合起こした行動は強化され、その後同様の行動の頻度が高くなる。報酬だったり賞賛だったり肯定感につながるようなメリットがあると行動は強化されることになります。

逆に、行動の直後にデメリットを得た場合起こした行動は弱化され、その後同様の行動の頻度は低くなる。罰だったり叱責だったり否定につながるようなデメリットがあると行動は弱化される。

競争での勝利や効果の高いものや生産性の高いものなどは報酬や賞賛は得られやすいため、行動は強化されやすくなる。

一方で、行動して当たり前のようなことはデメリットもないがメリットも得られにくいため行動が強化されにくい側面がある。だからこそ習慣化が難しい。

行動を強化するような働きかけをするためには、まず行動した結果がわかる必要があり報告してもらうことが必要になるが、その報告でさえ行動なわけでそれを促すためにはまず報告してくれたことを褒めるところから始めるのが良さそう。

安全に対すること・危険なこと・他人を害することについては、行動を弱化させるような反応が必要不可欠である。

行動が面倒だと感じる原因

行動を起こそうとする時に、やらねばならないと思いつつも面倒と感じることは多い。面倒と感じる心理としては以下のようなものが挙げられる。

(期待の過剰) 大きな結果や期待を抱きすぎる
(自信の喪失) 自分の意見や主張に自信がなく、批判や否定されるのが怖い
(失敗の恐怖) 失敗するかもしれないという気持ちから、なかなか始められない
(未達の嫌悪) できない自分を直視できず、始めることができない
(継続の困難) 始めることはできるが、継続するのが難しく感じる
(平穏の維持) ストレスのかかる状況に飛び込みたくない気持ちがある
(活力の不足) 気力や体力が不足していて、なかなか始められない
(価値の未見) やることに価値を見出せず、取りかかりたくない
(予測の容易) 想定される煩雑さに巻き込まれたくない

二重目的と手段の目的化

行動を起こす前には動機があり、目的を達成する意図と状況から動機が生まれる。目的は問題を解決もしくは課題を達成することであり、達成や解決は行動を起こした結果との比較によって判定される。

ただし、目的の中には、「いつ迄に」「誰が」「どうやって」といった条件が付随することがある。しかし本質的にそのような条件は、状況や別の意図から発生するものである。
例えば「いつ迄に」は本来の納期とは別に、他のスケジュールがあるために早く仕上げるとか自分の能力をアピールするために設定される。また、「誰が」は、対象者の教育の一環を兼ねているなどといった場合に設定される。さらに「どうやって」は本来手段であるが、「この手段の有効性を立証する」という別の目的が設定されることがある。
このように結果によって判定される主たる目的の他に、同時に別の目的がある場合にこのようなことが起こる。
特に、「どうやって」が目的の中に設定される時は、「手段の目的化」と呼ばれることがある。主たる目的から見た場合、「手段の目的化」は何の意味も持たないが、主たる目的とは別に他の意図が働いた場合においては、必要なものとなってしまう。
二重目的はそのような構造を生みやすく、組織であったり複数の人が関係していると生まれやすい構造である。

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