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おんな紋(女紋)

東日本の方には、馴染みのない響きかもしれませんね。
私の生まれ育った地方で言う「おんな紋」は、通常辞書などに載っている「替え紋」「通紋」のことではなく、ましてや「お洒落紋」等の類ではありません。
私の紋は「揚羽蝶」。母から譲り受けた紋です。母はその母から、その母はそのまた母から、と代々母系に譲られる紋で、女の子が産まれないと絶えてしまいます。

「悪いものは後ろからやってくる」といわれたその昔、母は、嫁に出す娘の着物の背にどんな思いでおんな紋を入れたのでしょう。
また、昔のことであれば、嫁に出す娘に新しい紋付を用意することのできない暮らし向きの家も少なくなかったと思います。
母のものを譲り、持たせる。母もまた、その母の紋付を譲られたのかもしれません。

私の実家の紋は「丸に抱き茗荷」、婚家の紋も違います。まさに、私の紋です。
嫁ぐときに支度してもらった着物にも揚羽蝶紋が付いています。

昨日呉服屋に行き、色無地の着物への紋入れを頼みました。たしか、20代半ばに母に誂えてもらったものです。「もう少し年をとったら紋を入れよう」とその時には入れませんでした。地味な緑色(海松色)なので独身時代に一度着たきりですがどっしりとした立派な着物を手にして改めて親への気持ちがあふれてきます。


もともと色無地は格の高い着物です。背に紋を入れれば、正装として着て出ることができます。仕上がったら、また見てくださいね。


【散在していた書いたものを少しずつnoteにまとめています。】

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