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JIMTOF 2020 Onlineにみる機械トレンド マシニング・旋盤編

 こんばんは。先週から始まったJIMTOF 2020 Onlineも今週金曜日で終わりですね。オンラインでみることが手間ですが、なんとか工作機械部門だけ全てに目を通しました。非常に時間と労力がかかりましたが、今まで知らなかったメーカーもしれていい勉強になりました。

 さて今回は、JIMTOFで各機械メーカーが何を売りにしているかを、できる限り新しい(と思う)技術を中心に、自分なりにまとめてみました。メーカー数が多すぎるので、それらを各機械毎(マシニングや旋盤等)に分けてまとめてみました。今回はマシニングと旋盤、次回は研削盤と歯車加工機、その他放電加工機等をまとめてみたいと思います。

1. マシニングセンタのトレンド

・考察
 マシンングで多かったのは、省スペース化、中でも加工室は広くして省スペース化を実現している機械だと思いました。これは、国内の更新需要を狙っているためではないかと思いました。多品種少量生産が増えてきていること、部品の多様化が進んでいる中で、老朽化更新をする際には、複合加工ができる上に、今までの機械が入っていたスペースに納めなければならないため、省スペース化を押しているところが多いのではないかと思いました。 
 ターゲットとしては、EV化需要に伴い、大型金型、特にモーターコア用の金型をあげているメーカーが多数ありました。その他脆弱性の加工を押しているところも目立った気がします。半導体、医療機器関係向けかと思われます。
 全体的に生産性を向上させる方法として、加工の前後工程の集約化、多品種対応への複合化が進んでいるのは前からですが、それらがより実践的、使い勝手を考えられた機械が増えてきたように思いました。

・出展内容で多かったもの
①省スペース(または同サイズで加工室拡大も含む)
 量産機:エンシュウ(機内ローダーで自動搬送も含めた省スペース)、ホーコス、スギノ、ブラザー
 汎用機:安田工業、倉敷機械、芝浦機械

②自動化 (自社製のロボットを搭載できるところが多く見られました。)
 ロボット:ブラザー(自社製)、マキノ(協働ロボット台車)、スギノ(自社製)
 その他:マザック(自動化をするための機械設計)

③工程集約(従来のマシニング工程以外の集約)
 OKK(研削の集約)、松浦機械(5軸機での研削の集約)、マザック(門型で摩擦接合の集約)

④機上計測 (機械の上で計測・補正することで測定の集約、測定時の位相誤差の削減)
 キタムラ(5軸機で3Dスキャンもできる機上測定)、芝浦機械(超精密MCで撮像測定。タッチプローブで測れない製品も測定可能)、安田工業(独自の測定ソフト。刃先形状や摩耗を自動測定して自動補正)、ニイガタ(カメラで3Dデータと実物を検証、補正)

⑤多品種少量生産の自動化 (マガジンやパレット数を極端に増やして、多品種の段替え時間を削減するという機械)
キタムラ(最大80面パレット、314本マガジン)、西島(94個のカセットジグを搭載。ジグをIDで識別)、松浦機械(5軸機で15面、130本マガジン)

⑥切粉対策 (切粉の排出性をよくした機械設計等)
 豊和工業(切粉が排出されやすいベッド、クーラントの2次濾過)、メクトロン(加工面スラント・斜めで切粉の排出性が高い)、マザック(凹凸のないカバーで切粉の排出性が高い)


2. 旋盤のトレンド

・考察
 旋盤では圧倒的にロボットでの自動化が目立った気がします。それも旋盤メーカーがオプションとして、さらに協働ロボットを用意しているところが多かったです。人手不足や人件費削減のための自動化を容易に実現するため、及び多品種変量生産に対応するため、容易に設定変更、移設が可能な協働ロボットや自社性ロボットで汎用性を持たせている旋盤が求められていると考えられます。
 ターゲットもマシニングの金型のように明確なものはありませんでした。やはり多品種対応が最も求められているないでしょうか。
 また複合化を押しているところがそこまで目立たないのは、複合旋盤も既に目新しくなく、切削工程だけでなく自動化等により搬送等も含めた時間削減が求められているためと思いました。

・旋盤のトレンド
①自動化 ロボット・ローダーのオプション
 エグロ(ファナック製ロボットを機械上部に取付可)、北村製作所(ローダー、パレチェン、多軸ロボット等)、高松機械(3台モジュール間を1台の走行ロボットで搬送する機械)、瀧沢鉄工所(協働ロボットが乗った台車で自由に取り外し可能)、中村留精密(協働ロボットが乗った台車で自由に取り外し可能)、オークマ(機内の自社ロボット、計測やクーラント噴射も可能)

②複合加工 多本数工具等で多品種対応 (主に自動旋盤)
 ツガミ(Y軸、工具本数多数な自動旋盤)、シチズン(Y軸、工具本数多数な自動旋盤)、スター(Y軸、工具本数多数な自動旋盤)、中村留精密(120本ATCの複合加工機)、エグロ(5面加工)

③工程集約
 マザック(ギアスカイビング加工ができる複合加工機)、中村留精密(ベベルギアやスプラインも含んだ加工)、高松機械(3つのモジュールでそれぞれ様々な工程が加工可能な加工機)

④切粉対策
 オーエム(切粉画像を撮影、AIで学習して補正装置付き立旋盤)

⑤オンラインソリューション
 シチズン(オンラインでスクールや点検、デモ等様々なソリューションを提供)


 今回はマシニングセンタと旋盤のトレンドをまとめてみました。私の主観が入っているため、偏っているかもしれません。ただやはりもう機械単品ではなく、周辺工程や多品種・人手不足の生産状況を考えた提案が機械メーカーに必要になっているのは明らかです。このあたりの傾向を過去のJIMTOFとも比べてみたいと思いました。
 本日も最後までお読み頂きありがとうございました。




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