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MCA Meet Up #07「マーケティング職キャリアガイド:越境人財がマーケターとして活躍する時代」開催レポート

第一線で活躍するマーケターをゲストに招き、パネルディスカッションとネットワーキングを通して「社内ではなかなか解消できない悩み」を解決するきっかけを提供する、MCA Meet Up。第7回目も「マーケティング職キャリアガイド」として、今回は「越境」というワードを切り口にマーケターのキャリア形成について一緒に考えていきました。
一言でマーケティングと言っても、その仕事は様々。いまマーケターとして取り組んでいる仕事が本当に自分にフィットしているものなのか、実は疑問に感じている方も多いかもしれません。
あらゆる垣根を「越境」しながら、しなやかにキャリアを構築していくためには…。そんなヒントが感じられたセッションの様子をレポートします。

MCA Meet Up #07
「マーケティング職キャリアガイド:越境人財がマーケターとして活躍する時代」

2020年12月1日(火)19:00~20:30

<パネリスト>
株式会社ADKクリエイティブ・ワン 事業計画本部事業計画局 局長
中條 裕子 さん
イベントレジスト株式会社 マーケティング担当
岸田 真由子 さん

<モデレーター>
MCA理事
株式会社ニューバランス ジャパン マーケティングディレクター
鈴木 健 さん

<MC>
一般社団法人渋谷未来デザイン 理事/事務局次長
NEW KIDS株式会社 代表
長田 新子 さん

今回もZoomとFacebook Liveでのオンライン配信を通して、「お酒などを飲みながら」リラックスしたムードで会はスタート。

キャリア

まずはパネリストのおふたりのこれまでのキャリアを振り返ります。

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中條さんは大学卒業後、新生銀行でリテール顧客向けのコンサルティング営業に1年半ほど携わります。外資系戦略コンサルティングファームにて化粧品などを中心に複数のプロジェクトに参画したあと、ドミノ・ピザ ジャパンへキャリアチェンジ。マーケティング部のリサーチ・データ分析全般の責任者として、プロモーションから商品開発までのマーケティング全般、営業オペレーション、店舗開発等まで幅広く関わったのちに、現職であるADKクリエイティブ・ワンへ転職します。ここでもやはり経営企画からその他コーポレート全般と幅広く手がけるご自身の仕事ぶりを、「何でも屋のように経験を積んでいる」と喩えます。

一方岸田さんは、大学卒業後、会計系のコンサルティング会社で4年間法人営業に携わりました。その経験から「クライアントの課題解決に従事したい」という思いを強め、広告代理業に転身。大手クライアント向けにデジタルプロモーション支援に取り組むなか、2011年の東日本大震災を経験します。

SNSで社員の安否が確認できたことが強く心に残り、今度はベンダーサイドで市場価値を磨いていきたいと思ったのだそう。ちょうどSNS市場も円熟期を迎えた頃。アドテクノロジーの会社であるフリークアウトに転職し、広告配信運用に取り組みました。やがて「アドテクはいずれ自動化される」と感じるようになり再転職を決意、デジタル一色のキャリアを振り返り、今度はリアルなイベントに関わることに可能性を感じ、現職であるイベントレジストに移り、マーケティング周辺を担当しています。

自らすすんで不慣れな環境に身を置く

こうしていくつかの環境を転々としてきたおふたり。中條さんは「チャレンジしてみようという好奇心で新しいことをやり続けてきた。まさか自分が広告代理店からデリバリーピザチェーンまで幅広く携わるとは思わなかったけれど、これが越境のおもしろさなのかもしれない」と語ります。

岸田さんはこれまでのキャリアと現在のご自身をあらためて見つめて、「イベントレジストに入社するまではクライアントの満足という明確なゴールがあったが、マーケ周辺を自分で押し進めなければいけない今の立場になってから、ゴールのない世界に慣れるのに時間がかかっている」と言います。

おふたりとも、自らすすんで不慣れな環境に身を置き、それぞれの環境での成長を積み重ねておられるようです。複数のキャリアを積み重ねることは、たくさんの異なった種類の成長を重ねられることと同義なのだと気付かされます。

化粧品やピザのような消費財に関わる仕事から、現在は経営やコーポレート関連の仕事に携わるようになっている中條さんは、こう言います。

「仕事の内容は変わっても基礎は変わらないです。いろんな会社で経験をしてきて感じるのは、“どのような環境でも意外とチャレンジできている”ということ。実はもともと大企業に苦手意識があり、日本の大きな企業でやっていけるとは思わなかったけど、ADKで約2年半勤務できていることが自信に繋がっています。」

岸田さんも同調して「大企業にいると、物事の進め方などにおいて“大企業筋力”みたいなものがついてくるんですよね。時間がかかることでもいろんな人を説得して解決に向かっていく。そのためには準備やフォローがとても大切です。」と言います。

キャリアチェンジのタイミングをどう見極めるか?

業種も様々なら会社の規模も小規模から大企業まで、自由に渡り歩いているように見えるおふたり。しかし多くの人の場合、そうしたいと思ってはいてもなかなか行動に移せないものではないでしょうか。おふたりにとって、転職のタイミングというのはどんなふうに見極めるものなのでしょう。

岸田「フリークアウトのときは最初から『3年』と考えていました。最後の1年で転職準備をしていましたね」

中條「どの職でも吸収することは多かったんですが、だんだん成長カーブが落ち着いてきたと感じたときに転職を考えました。思い至ってからはすぐにエージェントに相談します。簡単にいい会社にめぐり合うわけではないですが、中の人に会ってみたりもしながら1年くらいかけて検討しました」

キャリアに悩むマーケターのみなさんへのアドバイス

社会が混乱し、あらゆる面において大きな変化の多いこの時代性もあいまって、自分のキャリアに迷い悩むマーケターの方々も多い今、なにかアドバイスがあるとしたら。おふたりはこのような答えをくれました。

岸田「デジタル業界は動きがすごく早いので、“金の生る木”の終盤にただ居ても得るものは少ない。今向き合っている業務のなかで、普遍的に使えるスキルは何かを自分に問い掛け続けることが大切だと思います。人生何が役に立つかわからないですから(笑)。目の前の業務をこなすことだけに追われてしまいがちだけど、ある程度で振り返って、今やっていることが次のステップにどう役立つかを考える癖をつけることが大事です。」

中條「転職活動を通じて私が得られたことの1つは、キャリアアップにあたって自分に足りないものが把握できたこと。自分の市場価値を確認できますし、それをきちんと振り返ることが大切だと考えています。
また、いろんな会社に行って良かったのは、いろんなタイプの意思決定やカルチャーを知ることが出来たこと。経験と引き出しが豊富になりました。それによってあらゆる対応力や、物事の変化に動じない力がついたと思います。人間は経験したことや知っていることの範囲を超えて物事を考えるのには限界があります。その領域を広げるためにも、いろんな環境に身を置くことが大事です。」

貴重な経験を振り返るなかでお聞きできた、力強い言葉。きっと背中を押されたマーケターの方も多かったのではないでしょうか。
しかし「まだ道半ば」と岸田さんが語るとおり、おふたりのキャリアはこれからもより豊かに積み重ねられてゆくのでしょう。越境し、成長を続ける。おふたりのこれからのますますのご活躍に期待が高まります。

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