エヌビディアの株価はなぜ急落したのか? 24年9月3日
2024年9月3日、エヌビディア(NVIDIA)の株価は大幅に下落しました。(前日比約9.5%)エヌビディアは、AI(人工知能)分野での需要を背景に急成長している半導体メーカーですが、この下落にはいくつかの要因が重なっています。
今回は、この世で最も重要な企業とも言われているエヌビディアの株価下落の要因を解説します。
1. 市場全体の影響:先行きを案じるマーケットの雰囲気
エヌビディアの株価下落は、まず市場全体の不安定な状況に影響されています。以下の3つの要因が、特に株価にネガティブな影響を与えました。
①ISM景気指数の悪化により、景気後退の懸念
2024年9月3日に発表されたISM製造業景気指数(PMI)は、8月の数値が47.2に上昇しました。これは7月の46.8からの増加を示していますが、予想の47.5を下回りました。この数値は、製造業が依然として縮小していることを示しており、50未満であるため、景気の拡大ではなく収縮を意味します。
詳細として、新規受注指数は7月の47.4から44.6に低下し、製造活動が依然として低調であることを示しています。また、生産指数も45.9から44.8に減少しました。
これにより、アメリカの景気後退の可能性が市場全体で強く意識され、ハイテク株を含む成長株に対する売り圧力が強まりました。
② AIが利益を生むのかという疑義、投資疲れ
AI関連の技術革新は大きな期待を集めていますが、それが実際に利益を生むのかについての疑念が高まっています。
エヌビディアはAI用のGPUで市場をリードしていますが、AIへの投資が本当に利益に結びつくかについての不透明感が広がりつつあります。
例えば、メタ(旧フェイスブック)は数少ない成功例ですが、他の多くの企業はまだ十分な収益を上げておらず、投入した資本を回収できるのかと投資家は「投資疲れ」を感じ始めています。このような状況が、エヌビディアに対する投資家の警戒感を高めています。
③ 9月は株価が下げやすいアノマリーがある
アノマリー(Anomaly)とは、一般的には法則や理論では合理的に説明できない現象、変則的事実、例外、矛盾、逸脱などを意味します。
株式市場には「9月は株価が下がる月」というアノマリーがあり、9月は他の月と比べて株価が下落しやすいと認識されています。
歴史的に見ても、9月は多くの年で株価が下落する傾向があり、投資家の心理やポートフォリオ調整が影響していると考えられます。このような季節的な要因も、エヌビディアの株価下落を助長した可能性があります。
2. エヌビディア固有の理由:新たなる王者としての試練
エヌビディアは、急成長しているAI分野でのリーダーシップを確立していますが、その成功には新たな試練も伴っています。
① 米司法省の強制捜査。反トラスト法による提訴の可能性
2024年9月3日、米司法省がエヌビディアに対して反トラスト法(独占禁止法)の適用を検討するための調査を開始しました。
これにより、エヌビディアの市場支配力が競争を阻害しているかどうかについての疑念が高まり、訴訟の可能性が出てきました。
こうした法的リスクは、企業の将来の成長見通しに対する不透明感を生み出し、投資家の売り圧力を強める要因となります。
② 次世代GPU「ブラックウェル」の出荷遅延
エヌビディアは次世代のGPUである「ブラックウェル」の出荷を予定していましたが、製造上の問題や供給チェーンの問題などにより、その出荷が遅れていると報じられています。
このような遅延は、特に技術革新が競争力の源泉である企業にとって重大な問題です。新製品の遅れは投資家を落胆させ、株価下落の一因となります。
まとめ
エヌビディアの株価下落の原因は、複数の要因が複雑に絡み合った結果です。特に、ISM製造業景気指数の悪化という市場全体のネガティブなニュースに加え、AI投資のリターンに対する疑念、中国の輸出規制、さらには米司法省による反トラスト法の調査開始という企業固有の問題が重なり、投資家の不安を増幅させました。
一時的な下げなのか、はたまたこれからより大きく下げるかは「神のみぞ知る」ですが、市場はどんなことでも起こりうるということを肝に銘じて相場に臨みたいところですね。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
本記事が良いなと思っていただけましたら、以下のアソシエイトリンクより、Amazonにてお買い物をしていただけますと幸いです。
ご購入されるのは紹介しているウェルチでなくても良いのですが、ポリフェノールがたっぷりとれるウェルチグレープはお勧めです。
※Amazonアソシエイト申請中
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?